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(人質)

戸田尭光「三河の海まで干渉されては叶いません。叔父上ありがとうございます。」

戸田宣光「これに対し太原様は?」

戸田光忠「少し残念がっていました。」

戸田宣光「三河の海も今川軍で埋め尽くそうとのお考えだったのでありますか?」

戸田光忠「考えてはいるのでは無いでしょうか?しかしこれは軍事面でありまして、海上輸送の利益を奪おうと画策されているわけではありませんでした。」

戸田康光「松平の本貫地である安祥城の奪還。更には織田が持つ熱田や津島攻略も視野に入れた場合、水軍の強化は必要不可欠。うちが今持っている船だけでは対応出来ないのは事実。今は今川から認められた人と物の輸送業務で稼ぎ。これを元手に船の建造と担い手を育成していく。このための時間と割り切る事にしよう。」

戸田尭光「わかりました。」

戸田光忠「もう1つ太原様より提案がありました。」

戸田康光「どのような提案だ?」


 吉美。


戸田忠次「えっ!私が駿府に。でありますか!?」

太原雪斎「はい。忠次殿のお話を聞いている内、この雪斎。忠次殿に様々な事をお教えしたいと。親御さんに相談した所。」

戸田忠次「父は何と?」

太原雪斎「『是非お願いします。』

との回答をいただきました。」


 二連木城。


戸田光忠「太原様は心配されていました。うちと松平との関係を考えた場合、

『松平は駿府に出して、何故戸田は誰も出さないのだ。』

と松平様に思われる事を。」

戸田宣光「人質として。でありますか?」

戸田光忠「厳密に言えばそうなります。ただ今回の場合、太原様自らによる提案であります。今川から強要されての事ではありません。」

戸田尭光「もし我らが今川様と事を構える事になった場合、忠次は……。」

戸田光忠「その予定は……。」

戸田尭光「ありません。」

戸田光忠「ならば問題無いでしょう。もし何かあったとしても私の息子であります。戸田本家の問題にはなりません。それに……。」


 同じく駿府に行く竹千代との繋がりが出来て損な事は無い。


戸田光忠「駿河の方々。竹千代様同様駿河に入られている他国の方々との縁が生まれるかもしれません。うちの得手は船を使っての海上輸送。新たな仕事を得る機会となるかもしれません。」

戸田康光「それで良いのか?」

戸田光忠「連絡を取り合う事は可能でありますので。」


 吉美。


太原雪斎「しばらく私が預かる事になります。」

戸田忠次「宜しくお願いします。」

太原雪斎「ただ私は今橋城に長沢城の接収。更には岡崎の情勢を落ち着かせる必要があり、ここを離れる事は出来ません。後から駿府に向かいます。」

戸田忠次「わかりました。」

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