表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人狼  作者: 秋山 炎
2/3

プロローグ、中編。

 アタシたちは車から降りて、賞金首が入っていった路地に向かった。


 肌は透き通るように白く、若い男がするようなヘアスタイルをし、髪は黒く、白目の所が赤くなっている。


 本当に美しい女性だ。


 だが、124人も殺した賞金首ということを忘れてはならない。


 アタシたちは奴が襲ってきた時に、いつでも反撃できるように身構えた。


 アタシたち、「ライカン」を持った賞金稼ぎだ。


「ライカン」とは、超能力を持った人型の生命体に変わる事ができる変身能力だ。


 人それぞれ変身者を象徴するような姿と能力になる。


 能力に強い弱いは特になく、変身者によってはどんなにショボい能力でも、恐ろしい脅威になるのはそう珍しい事ではない。


 そして、この賞金首は「ライカン」の出来損ないの「ウィッチ」。


 ウィッチは大抵弱いが、こいつは例外。


 被害が桁違いだ。


「ちょっと、そこのあんた。」


 アタシは奴に近づいた。


「なんだ。」


 何と奴は男の声で、アタシに問い返した。


(男かよ。)


「探してたんだ、あんたの事を。」


「俺を、なぜ。」


 アタシは、確実に仕留めるために嘘を考えた。馬鹿正直に、「あんたを捕まえに来た。」なんて言ったら反撃にあう。


「これ、あんたのか。」


 奴に渡したのは、探している最中に買った安い財布。親切な奴だと思わせて、不意打ちをねらう。


「いや違う。」


「あぁ、そうか。あれー、あんたのポケットから落ちたように見えたけどなぁ。」


「人違いでは。」


「だよな。悪い、引き止めて。この辺はよくひったくりに合うからな。気をつけろよ。」


 アタシは路地から離れた瞬間。


(今だ。)


 路地の奥から、仲間の一人、女の子のサキがライカンに変身し、背中から生えた6枚の翼で飛行。持っていた弓矢で賞金首を撃った。


撃った矢が飛んできて奴の頭を直撃。かと思えば、矢を素手で掴かまれた。


 攻撃は失敗したと思ったら、矢からいばらが生えてきて、賞金首を拘束した。


 いばらの拘束は強く賞金首を絞め、肌が傷つき血を流す。


「よくやった、サキ。」


 彼女はで弓を肩にかけ、腕を組んだ。


「相手に命中できなかった事を想定してたみたいだ。いい使い方だな、能力は()()()()()使()うのかを工夫するためにあるからなぁ。」


 賞金首は彼女の行動を賛美した。


「よし、それじゃあ俺も能力を工夫しようか。そうだな、、、まず今やるべき事は、このいばら(拘束)を溶かすところから始めるか。」


 いばらは血の付いた所から煙を出し、徐々に溶かしていった。


 アタシはすぐに変身しようとしたが、うまくできない。


(何で、変身できないんだ。)


「サキ、もう一度いばらを生み出せ!!」


 彼女は地面からいばらをはやすが、生えた瞬間に目元から枯れ始めた。


「嘘でしょ。正常な地面だったら生えるはず、、、」


 その時、サキは恐ろしい物を見るかのような表情をした。


「どうした、サキ。」


「アカリ、今すぐ離れて!!」


 サキは、アタシに向かって叫んだ。


「気づいたか、俺の能力に。けど、もう()()()()から。」


 その場から離れようとした瞬間、視界がぐらついて倒れてしまった。


 そんな状況で、アタシの中にあった疑問が解けた。


 ウィッチなのに100人以上を殺傷できるほどの力、女性のような容姿、そして赤く充血した白目。


「お前の能力は、毒か。」


「正解。」


 賞金首はニヤリと口角を上げた。


「俺は液体に毒素を混ぜる事ができる。俺は空気中の液体を毒に変えようとしたけど、全然できなくてね、もたついている間に捕まった。


 危機的状況だったが俺は考えた。その時、いばらの棘のおかげで血が流れて、脱出。そこから出た煙をお前は吸った。


 最初はまだ弱いが、弱くても人を殺せる。それが毒だ。」


「さすが、死の女神だ。」


「ありがとう、褒めてくれて。」


 賞金首は、皮肉をこめた言い方で感謝した。


「だけど、あんたは()()()()をしている。」


「思い込み。」


 その時、賞金首の地面に正方形の模様が現れた


「何だよこれ。」


 賞金首は、危機を察して正方形外に出ようとした。


「動いたか。」


 すると、賞金首はいきなり真上に高く飛ばされた。


(いきなり高速の何かが、俺に向かってアタックしてきた。


 まさか、あの地面に現れた正方形の模様に出たから、俺はぶっ飛ばされたのか。)


 賞金首は必死に原因を考えた。考えているうちに異変に気づいた。


「そういや、あの女は何処にいった。」


「ここにいるぜ。」


 アタシはライカンに変身した状態で、賞金首の背後をとり、勢いよく地面に叩きつけた。


 その勢いで地面にクレーターができた。


「やっと、アタシの能力が使える。」


 賞金首は痛みにもだえながら、立ち上がった。


「正方形の模様。まさかお前か、お前が原因か。」


「残念、不正解だ。その正方形の模様はこの場に居ないフジヤマって仲間の能力だ。


 アタシも詳しい事は知らないけど、どうやらアタシたちが危機的状況になると、その正方形の模様が出現して、アタシたちを有利な状況にするみたい。」


「じゃあ、お前のそれは、、、高速移動か。」


「さぁね。」


 アタシは、高速で賞金首に接近して思いっきり路地の外にぶっ飛ばした。


 賞金首は店の窓ガラスを突き抜け、店の中で気絶した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ