誰とも仲良くなるきとかねえから
小説初心者なので悪態をつきながらご覧ください
私立陽毬学園。僕が憧れていた名門への入り口がすぐそこまで近づいている。
天気は快晴で風が心地いい、舞っている桜の花びらが美しい、田舎に行ったわけでもないけど空気が美味しい。
なぜか今だけは五感が感じる全てがプラスに繋がってくる。それだけ僕はこの日を楽しみにしていたんだろう。
周りにいる自分と同じ境遇であろう人達も希望に満ちた目をしながら、まだ見慣れない門を潜っていく。
不安気な顔をしてる人もちらほらいるが、歩みを止めずしっかり前を向いて小さな希望を抱いている。
みなが希望を抱くのも無理はない。
待ちに待った高校生活が始まり、新しい仲間、新しい環境、新しい自分、まさに可能性の塊がすぐそこまで近づいているんだから。
「・・・・・・楽しみだ。」
僕、林道 幸太郎は他の人達と同じように希望を抱きながら門を潜る。
「クソみたいな日だな。」
「・・・・・・ん?」
僕は門を潜る時に驚いて急に立ち止まってしまった。なぜなら僕の横を横切った少女がドスの聴いた声で、高校の入学式に似合わないであろう言葉を発したからだ。
入学式の途中や終わってからなら何かあってもおかしくないが、まだ始まってもいない状況であんな言葉を発するだろうか?
もちろん全員が全員楽しみにしているわけじゃないのはわかってるつもりだが・・・・・・。
視界に違和感を感じて、僕は先程横切った少女を見る。
「でも楽しそうにスキップしてるんだよなぁ・・・・・・。」
発言と行動の不一致さからか、僕はなぜかその少女に興味をそそられた。一瞬しか横切らなかったから詳しい容姿はわからないし、声しか判断材料がないがもし同じクラスだったりしたら友達になってもいいかもしれない。
いくら楽しみにしていたとはいえ、校長先生、生徒会長の長ったらしい話は退屈だ。
歓迎したいのはわかるが言い方が遠回しすぎる。だがさすが名門と言うべきか、ほとんどの生徒は真剣に聴いている。
僕はこういう話を真剣に聞けるタイプじゃないので、ふと思い出して朝にみた少女を探してみる。
事前に配られていたクラスの出席番号順に並んでいるので前の列にいれば同じクラスになるんだけど・・・・・・。
前の列をチラッと見てみるが・・・・・・まぁみつかるわけもない。まずまず詳しい容姿がわからないんだから当然か。
だけど普通に過ごしていれば自然とわかるだろう。
やっと入学式がおわり、僕が楽しみにしていた時間があらわれる。
入学式が終わると、クラスのみんなで集まって自己紹介を済ませる時間があるのだ。
僕はこの時間が楽しみだ。新しい仲間の顔が見れるのだから。もしかしたら早速友達もできるかもしれない。
中学の頃の友達もこの学校にいるが、残念だが同じクラスじゃない。少し悲しいがプラスに考えることもできるから問題はない。
体育館は別館なので、本館に戻り5階まで登る。人が混んでるのもあると思うが、1階から5階まで登ったのでかなり疲れた。
少なくともI年間この苦行を強いられるのは少し憂鬱だな。
クラスは1から7まであり、僕のクラスは6組だ。噂だが成績のいい順にクラスがわけられてると聴いたことがある。流石にないと思っているがもし真実なら結構ショックだ。
クラスの場所に当たり外れはないと思うが、トイレと真逆の位置にあるのでどちらかというと外れだろう。
6組にはかなりの人数が入っていっている。
僕は緊張していながらもあたかも平然かのように装いながら、6組に入っていく列に混ざる。
クラスに入るとほとんどの生徒は座って静かにしているが、もう集まって喋っているところがちらほら見られる。
まだ担任が来ていないから自己紹介はまだなのだが、中学の友達がいたのか、それともSNSで繋がっていたとかだろうか。
最初の席は出席番号順で決まっているので、僕は誰にも見向きもせずスムーズに自分の席へと向かう。
僕の苗字は林道なので出席番号はいつも後ろになる。今回は40番、1番最後だ。
ドアから1番遠く、窓際だから席替えするまでは最高の席だ。だが大抵すぐに席替えするからあんまり意味はない。
誰かに喋りかけられることもなく自分の席に座って2、3分待っていると担任らしき人がやってきた。
男の先生で、印象は背が高く渋めのお兄さんといった感じだ。これは人気がでるだろうな。
「えー、まずは席に座ってください。」
先生が教壇に立ってそういうと全員が自分の席に座る。
そして先生はチョークを手に取り、黒板に名前を丁寧に綺麗な字で書いた。
名前は天童 彰というらしい。容姿ともあっていてかっこいいな。
「私は天童 彰と言います。この1年6組の担任になりました。担当教科は数学です。よろしくお願いします。」
天童先生が一旦話し終えると拍手が起こる。
話すべき事を淡々と言ったので、あまり言葉数が多いタイプではないのかもしれない。
「なにか質問はありますか?」
天童先生がクラスを数十秒見渡すが、手を挙げている生徒は誰もいない。まぁそういうもんだよな、大体こう言う場面では誰も手をあげない。
「まぁそうですよね。では早速クラスのみんなへの自己紹介をしましょう。私はもうしたので・・・・・・では出席番号1番のかたから。」
「えっ・・・・・・。」
1番の男子は素っ頓狂な声をあげる。どんまい1番。
だが1番は素っ頓狂な声をあげたわりに自己紹介を事前に準備していたのかちゃんとしている挨拶をした。
それが終わると拍手が起こる。その後の出席番号の人達も1番の男子の挨拶を参考にして挨拶していく。
いいね、このクラスなら上手くやっていけそうだ。まだ簡単な自己紹介だけだがいい人そうな人ばかりだ。
特に自己紹介でボケる人が出てくることもなく、だんだんと順番が回っていく。
そういえば朝の少女らしき人の声は今のところ聞いていないな。
そりゃあ7クラスもあるから確率は少ないと思っていたが・・・・・・少し残念だな。
「次は35番の人。自己紹介してください。」
そんな事を考えてるうちにもう横の席にまで順番が回っていた。
ダメだダメだ、真剣に聴かないと。そう思って僕は横の席へ目を向ける。
僕は横の席に座っている人を見て驚いた。
自分の席に着いた時に横からチラッと見た容姿は黒髪ボブの女の子としかわからなかったが、目が赤いのだ。
充血してるとかではなく、本当に目が赤い。
しかも顔立ちが整っていて、小顔だからかすごく赤目が似合っている。
僕以外の生徒も驚いているのか目を見開いている。
その赤目の女の子は席をたち、一度深呼吸して口を開いた。
「真泉 鏡花です。」
聞き覚えのある声だった。
・・・・・・もしかして朝の少女?いやでも声の記憶なんてあてにならないか。
赤目の少女は続いて口を開いて、とんでもない言葉を発した。
「誰とも仲良くなるきとかねぇから。」
今ここにいる生徒、天童先生もが唖然とした。この真泉という少女は結構いい感じで進んでいた自己紹介の空気を急にぶち壊したのだ。それもドスの聴いた声で。
・・・・・・だが全員が思っただろう。
でもこの子めちゃくちゃ愛嬌のある笑顔してる!!と。
普通あんな発言をする時は不機嫌そうな顔をするものだろう。するとしてもせめて真顔だ。
だが真泉さんはとんでもない笑顔で言い放った。
僕は確信した。
朝に見た発言と行動が不一致な子だと!!
見ていただきありがとうございます。
よければアドバイスください。