85 いざ 歓迎
当面朝9時に自動投稿予定です。
開拓村を出て4日目に目指すエルフの第三村に到着した。
門番兵が皆に向かって手を振っている。
一人の兵が村の中に駆け込んでいく、オサに連絡するのだろう。
「皆無事に帰ってきたかい?良かった 良かった してこちらの二人は初めて見る顔だが?」
だよね。オサ達は見知らぬ顔ですよね。
アーシャとミューがそれぞれオサに挨拶をして最後に 妻ですとはっきり明言する。
オサの驚く顔にさらに追い打ちをかける。
私達も妻です。とエルフ三名が笑って報告した。
エルフの里が一気に騒がしくなる。
ようやく騒ぎが落ち着いたのは翌日になってからである。
夕方からユウゾー達を祝しての宴会が始まり飲めや歌えやの無礼講状態に発展する。
殆どの者がまだ酔いつぶれている状態で、宿酔いで痛い頭をふりふりユウゾーは、もう陽が上がりそれなりに経過している中を体内のアルコールを抜く為にも剣の素振りの日課に励んでいた。
「ユウゾー元気だな・・・」
アーシャが窶れた顔で玄関口に座り込んでユウゾーの鍛錬をボーッと見ていた。
「体から酒を抜かなければな。アーシャこそ大丈夫か、かなりの量を飲んでいたが?」
「ふふん 冒険者家業は酒を飲む事も含まれるからな」
確かに酒場では毎晩の宴会騒ぎをよく見かけるな。
時折例の二人組も抜け出して酒場に通っていたな・・・。
怠そうに体を起こすとユウゾーに近づき、剣をふる手の位置や踏み込む足の位置を指導する。
ほんの少しの事だが、ユウゾーには今までの剣の動きとは違う事に気付かされる。
やはり良い指導者に就くのが上達の早道かも知れない。
「ユウゾー!朝飯だ」
ミーアの元気な声が庭に響く。
主だった者は皆食事は終え、残りはユウゾー達だが他の者達は半分はまだ寝ている。
今いる3人で食事を始めるとようやくミューがフラフラと食事の席に座る。
「ミーアは昨夜あまり酒は飲まなかったのか?」
元気なミーアにふと疑問を感じた。
「いや 家系の血かな?何とも無いぞ」
うん? オサやミランダさんは余程嬉しかったのだろう、かなりの酒を飲んで潰れていたような?
怪訝な顔を見たミーアが慌てて前言を取り消した。
はて? まわらぬ頭で少し考え込むユウゾーであった。
午後から昨日渡す暇が無かった持参分の食料関係や各日用品類の引き渡し作業に追われる。
主食の麦だけでも倉庫には入りきれず、1袋分の2.5トン分だけ取り敢えず収める。
残りの7.5トン分は魔法袋にいれたまま倉庫に保管とした。
オサや村人は大層な喜びと感謝をユウゾーに何度も繰り返した。
まだまだこれからですぞ。
次に根菜類が1トン。更に野菜関連が1トン。保存期間の長い菓子類関係等をともに袋で倉庫保存とする。
最後に各種香辛料を大量に提示した。
あまりの量に村人達は思考停止状態に陥る。
食品関連はここまで、後は布地等の大量の日用品をマーラが取り出し説明を始めるも、すでに意識が半分とんでいる村人達は次々に出てくる品にカクカクと首を頷くだけであった。
オサが補佐のミランダさんに厳重に管理と采配の役目を命じてようやく騒ぎは治まる。
荷の引き渡しは順調に終わり、ユウゾー達もようやく一息入れる。
意識が正常に戻った村人達は次々に倉庫を訪れては、入口から倉庫内に並ぶ各種品を眺めては驚きの声を上げていた。
夕食後にオサに呼ばれユウゾー達は改めて村の幹部連から持参品のお礼を述べられ逆に恐縮する。
その後ユウゾーだけが残りオサと補佐の3名にて話合いが行われた。
5人の妻達と一緒に住める新居を明日から手の開いてる村人を動員して作るとのことで、暫くはオサの家にて客として住んで欲しいとの依頼と、5人の妻を持つにいたるなりそめをそれはそれは目を輝かして詳細に説明を求められた。
何の事はない その好奇心を満たすのが目的か・・・。
最終的には各妻達がアーシャを省き、全員限界値が+5になった事までしつこい詮索の末話す事になる。
特にミーアの限界値上昇に関しては母の補佐役から何度もお礼の言葉があった。
この件で一時ミーアがかなり落ち込んでいた時期があったので、心を痛めていたのだと話してくれた。
これに関しては持って生まれた運命に依るものなので、個人の努力でどうこう出来るものではないだろうからな。
オサがふと思い出したように、マーラは+5なら限界値が46になったのでは?
そうなのだ。将来のオサ候補に浮かび上がってきたのだ。
途端に二人は何故か考え込み始めた。何か不味い点が?
いや 本来は新オサ候補が出来て喜ばしい事なのだが、それを公表する事は即ちユウゾーの事が公になる事にもなるのだぞ。
あっ 確かに。自分の身に関しては考えていなかったな…。
厄介事は勘弁して欲しいな…。
近い内にマーラを呼んで話し合わねばならん と二人が頷きあう。
今日のところは此処までで、後日また打ち合わせが持たれる事になった。
疲れ果てて部屋に戻ると妻達はのんびりお喋りやお菓子を食べている。
少しほんのりと気分が解れた。
ユウゾーは妻達に新居の件だけを伝え、暫しこの部屋での生活になる事を話す。
本来マーラ、ニーナ及びミーアの三人はそれぞれ帰る家なり部屋があるが、このままで良いと皆の共同生活を続ける事となった。
翌日から村内の手の空いてる者を動員してユウゾー達の家作りが始まった。
二人一組でモッコに似た道具で土台の石運びを行っていたが、手間暇の割に運べる量が少ない。
これ 一輪車みたいなのがあれば効率が変わるよな?
流石に間借りしているオサの家にて錬金室を勝手に作るわけにはいかない。
庭の一角に土魔法で個部屋を作るか?
悩んでいる最中にマーラ達が来たので相談してみると、ニーナが自分の住んでいた家は個人用に作ったので狭いが錬金術をするなら貸し出すと提案があり、二人を伴いニーナの家に向かう。
家としては確かに手狭だが一人で住むならこれで十分だろう。
家財もほとんどなく質素な生活ぶりがうかがえる。
「それでだな…小さな庭もあるのだが、そこに風呂を作ってくれないか?」
二人がニヤリと笑う。なる程それが代償か。この地に来てから風呂に入っていないからな。
お安い御用と場所確認をして土魔法にて風呂作りを開始する。
ついでに簡易トイレ作りも終え、二人は喜びだす。
これで風呂に毎日入れるな。お湯の魔道具をセットしながら早速お湯をためてみる。
その間ユウゾーは部屋の中に持ってきた各種道具を並べ錬金術部屋として改良していく。
一応の配置作業を終えた頃、隣接している風呂場から二人の楽しそうな声が聞こえてくる。
おっ 嬉しそうに入っているな。
作業台に向かいユウゾーは一輪車もどき作りに挑戦する。
手持ちのインゴット等を利用いて何回かの試作品作りからそれなりに丈夫な品を作製した。
これを元に複写するから最初の一台は強度に特に特化したのだ。
出来上がった品を複写すれば元の品より強度は70%しか無いが、少ない魔力で何台も作製出来る。
風呂上がりでご機嫌な二人を連れて工事現場に複写品を運び込み使用して貰う。
最初は使い方にコツがありやや手こずっていたが、直ぐに慣れると効率性に感心され大いに喜ばれることになる。
問題が無いようなので其の場で複写品を5台作り皆に貸し出した。
たちまち皆の効率が上がりだし大量の石運びや砂利石運びに利用される。
ユウゾーの側にいる二人組みがにこにこしながらその様子を眺めていた。




