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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
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83 いざ 春の約束


ギルド内に入り忘れないうちにと受付で、白金貨10枚をカードに入金する。

後の白金貨は別途使用する予定だ。


受付嬢の顔が固まっている。うん そんな顔を見るのも楽しみかも?


 あれ? ライラさんの顔が見えないな 本日お休みかな?



二階に上がり嫌々ながら部屋のノックをして中に入る。

ギルマスの顔ともう一人見知った顔の女性がいた。


 あ あれ? ライラさん?お休みじゃなかったんだ。


「おう 来たか。まず座れ」


一瞬立ち止まるユウゾーを見てギルマスがライラさんの隣を指差す。

ライラさんの隣に座るユウゾーを見て、ミーアとアーシャが燻し気な顔で二人を見ている。


「まずは礼を言っておく。オレオンのシネルからお前たちの活躍を詳細に手紙で送ってきた。まさかあのベヒモスを倒すとはの…。恐れ入る」


いえいえ 私達は単に足止めをしただけで、倒したのはここにいるアーシャを始めとする…。


「隠さんでよい。私達は単に最後の止めを刺しただけだ。ベヒモスを初めジャイアントオーガーをも半死状態に追い込んだのはユウゾー達ではないか」


アーシャ・・・そうはっきりと断言しなくとも、、。


「ふむ アーシャそう言えば結婚おめでとう。お前もようやく落ち着いたか」


考えればこのアーシャは開拓村のギルマスの孫弟子になるのだな…。


「はい まさか男と暮らすなど最近まで考えてもいませんでした」


嬉しそうにギルマスに報告をする。


「うむうむ 幸せそうで何より。で、ユウゾーよ何か忘れてはいないか?」


でたな…絶対ライラさんの件だよな。


「・・ライラさんへの返事ですか?」


「ほう 一応忘れてはいないのだな。さて その返答はいかに?」


チクチク来るなぁ・・。面白がっていないか?


「…正直あの当時の状況と現在では状況が違いすぎる。今では5人の妻が居る。そんな環境をライラさんが満足出来るのか不安があるのも事実だし。今だ根無し草生活を送るこの身にどこまで付いて来てもらえるのか私自身にも自信がない」


「大丈夫です。私はついていきます」


ライラさん…。若いとて勢いだけでは後悔しますよ。長い人生何があるか…。


「何を言っておる。当初から何人かの嫁を勧めておったのを忘れたか?!そんな事織り込み済みだ。この世界の女性は強いぞ、普通は女が男を養うのが当たり前の世界だ。それに根無し草に関しては合っているが、お前は今日とて順調に資産を増やしておるではないか。其の気になれば都会に小さな家なら直ぐに建てられる程の金もある。何の問題もないはずだ」


あ あのその情報伝わるの早すぎませんか?!


「ふん ギルドを舐めるな。口座を悪用される訳にはいかんからな。大金の入出金に関しては直ぐにわしまで報告が上がるシステムだ。残高3億ゼニーを超える男など要注意人物リストに直ぐに登録されるわ」


な なんと。意外と進んだ管理体制なんだ、この異世界は・・。

少しお金の管理に関して考えなくてはいけないな。


「大師匠。口を挟んで申し訳ないが妻の一人として、ライラさんに質問があるのだが良いだろうか?」


ギルマスがライラさんに目で確認すると、ライラさんがしっかりと頷いた。


「済まないが質問させてもらう。まずは自己紹介だが私はユーラシア国1級冒険者のアターシャと言う。横にいるエルフは3等級冒険者のミーティアだ。更にエルフの2等級冒険者が二人。そしてこの地区の出身のミューも3等級冒険者だ。それなりの戦力を抱えてユウゾーを護っているが、ライラさんはどの様にユウゾーを護る事を考えているのだ?」


お 俺は保護対象なのか…。落ち込むユウゾーであった。

アターシャの問にライラさんはにっこり笑って答えた。


「それを聞いて私の役目を確信しました。皆さんは外でユウゾーさんを護り、私は内でユウゾーさんを護ります」


うん?何となく理解したが、少し詳細を聞きたいな。


「皆さんが疲れ果てて帰ってきた時に私の出番になると言う事です。疲れきった時に更に疲れる雑用や食事の世話、洗濯に掃除等を皆さんは文句も言わず行っているのですか?また今後の先を考えて下さい。やがて子供に恵まれて育児に励まれる事もありましょう。其の時には外でどの様にユウゾーさんを護る事ができますか?子供の世話は数年で終わるものではないでしょう?無論人手をお金で対応することも可能ですが女としてかわいい子供と一緒に居て成長を見守りたいと考えるのが普通の考えなのでは?」


でた なる程そんなタイプの人がライラさんなのか・・・。

戦いでも攻撃だけが全てではない。後方からの支援等を考えないのは愚の骨頂だよな。


残念だが大東亜戦争において後期の日本軍に不足していた考えだ。

いや正確にはそんな余裕が無くなってしまったのだな。


外で戦う者は内で支える者が絶対に必要になるからな。

決して軽んじではいけない事項だ。


「そ それは周りの協力があれば・・・」


「そんな環境があれば可能でしょう。でもそんな環境下でなければどうするのですか?金で解決出来るとしても周りに自分たちしか居なければ他の人を頼る事も不可能でしょう。幸いに私はそんな仕事には抵抗もありません。それどころかそんな仕事が好きなタイプなんです。十分にユウゾーさんや皆さんのお役にたてると思います」


盲点だな。今の現状では食事の準備一つまともに小為(こな)せる者が少ない。

いや食事らしい物は作れはするが、数日で何か足りない気がしてくる。

そもそもユウゾーが作り出したのもあまりの料理下手に見かねたからなのだ。


食事と睡眠は手抜きは駄目だ。それに洗濯や掃除等が加わると内なる支えがいかに大事か認識しなければならないな。

結果的にユウゾー達を護る事につながる。


「だがそんな環境下で一人で家や子供達を魔物からの襲撃から護り通せるとは…」


「無論魔物にもよりますが、これでも元4級の冒険者です。それなりの対応は取れると考えています。無論絶対とは申せませんが」


後でミューからの情報でライラは同期の中でも頭一つ飛び抜けた実力者だったが、殺伐とした冒険者家業に見切りをつけてギルドに転職したとの事だった。


性根が優しい人なんだろうなライラさんは。


 う ううむ…。


アーシャも身に覚えがあるのか、考え込んでいるようだな。

ミーアにライラさんの印象等を聞くと、目を輝かせて素敵な女性だとライラさんの考えに同意している。


「さて聞きたいことは以上かな?近くで見ているわしが言うのもなんだが、ライラは事務系にも優秀だ。家庭内の金銭的問題もライラに任せておけば間違いないと思っている。どう判断して回答するか後はユウゾーの考え次第だぞ」


全てはユウゾーに賽は投げられた。


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