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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
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81 いざ さらばオレオン


「ただいまなのだ」


ひさしぶりの再会にアターシャはユウゾーに思い切り抱きついて挨拶を交わした。

丁度午後のお茶の時間だ、まだ買い物から戻らない二人を除き皆でおやつタイムとなる。


首都での様子を尋ねると案の定本部ギルドで一悶着があり、かなり揉めたらしい。

そりゃ 首都でNo.1の冒険者が居なくなるのは問題が大きいわな。

最後はアターシャがこれ以上引き伸ばしをするなら冒険者ギルドから脱退すると花火を上げたらしい。


流石に首都ギルドも交渉の余地がないと理解して渋々アターシャの転移を承諾したとの事だ。

大変だったな…ご苦労さま。ユウゾーはアターシャを労う。


「そうだ 聞きたいのだが、ユウゾーから預かった魔法袋だが、その 何か容量が可怪しくないか?思ったよりかなり多くの物が入るようだが…」


他の妻達が含み笑いで必死に堪えている。 


「あっ その件を含めて後日他にも説明したい事があるので、その時で良いかな?」


アターシャは小首を傾げながらも承諾した。



その日の夕食はアーシャ・・彼女がそう呼べと言うので を迎えて全員にて豪勢な食事になった。

その席にて当面の方針を再度皆に説明する。

基本アーシャに聞かせて理解してもらうのが目的だ。


このオレオンも残すところ二週間ほどで撤退してエルフの村がある大森林に向かう。

エルフの村にて一冬を過ごし春先にまた半年近くの旅に出たいが、行く先は現在未定であり冬の間に情報を集め正式に決定したい。


皆はふむふむと食後のお菓子を食べながら頷いている。

取立質問も無いようだし自由解散としよう。


ユウゾーは食器洗いの為に座を外した。

少ししてアーシャが手伝うと言ってユウゾーの横で食器を洗い出す。

帰ってきたばかりで申し訳ない のんびりしていればいいのだぞ。


一通り食器洗いが終わった後に、アーシャがユウゾーの腕に纏わり豊かな胸を押し付けながら、


 今晩ユウゾーと二人きりの夜になるのだな、その 私は初めてだから宜しく頼む。


ユウゾーの耳元にそう伝えて慌ただしく皆の元にアーシャは戻っていった。

はい こちらこそ宜しくです…。





次の日から午前は各自の近辺整理を行い、午後からは手分けしてリスト表を片手に買い占めを開始する。

今年は特に麦の出来が良く安く大量の麦を籾付きにて購入する事となる。

其の方が保存期間が長いだろうと考えたのだ。


ランダム商会にて予め連絡をしてあったので、裏の倉庫に案内された。

籾付きで単純に一人年間百キロと計算して百人分注文したので10トンの大量購入になる。

余れば備蓄すれば良いことだからな。


一袋30キロ入りで300袋以上の現物を目にしてみると、なかなかの壮観である。

自分たちで積み込むからと店員を外して、作り置きした新袋を取り出すと次々に回収作業を行う。

半径2.5メートル以内にある物は一瞬に収まるので作業も早い。


計4つの新袋にすべて回収が完了する。

その様子をアーシャが呆然として見つめていた。


今晩でも詳細な説明が必要になるかな そう思ったユウゾーである。

他の皆は 凄い 凄いの大はしゃぎ状態だしな。




「すると ユウゾーは迷人としてこの世界に?」


ユウゾーからの説明を聞き、それでも半ば信じられずに他の妻達に賛同を確認する。

皆が微笑みながら頷く姿を見てようやく納得した様だ。


「そうか…だから師匠が頑なにユウゾーについて語らなかった理由が分かった。するとあの魔法銃はユウゾーによる作製なのか?」


半分正解です。神からの試作品になります。


「神からの? サイコガン というのか…私でも扱える物なのか?」


その前に鑑定させてくれとユウゾーは初級の魔法書を取り出す。


おう アーシャは優秀だ。個人レベルも 45/48 だし、思念力も250オーバーだな。

マーラに匹敵する数値だぞ。


「使用してみたいなら作製するがどうする?」


「武器は多いほうが良い。だが遠距離はあまり得意ではないからな」 


なる程 先に遠距離にて攻撃し、近寄ってきたら得意の剣にて対応。

ある意味無敵だな…。


更に魔法袋の正体が判明すると完全に固まってしまった。

内容量2.5トンはこの世の物ではないからな。

おまけに1/25の時間付与がついている。値段のつけようがない逸品だ。


「こ この袋が2.5トンに1/25の時間付与付き、売ればとてつもない金額が…」


急にぶつぶつと呟きだす。おいアーシャ現実に戻っておいで!


とりあえず明日近くの森でサイコ銃の試射を行うことで今夜はお開きとなる。

明日までにアーシャの正気がもどりますように…。




近くの森での試射を実施する。

一言で言えばアーシャは天才肌だ、ほとんど弓等の遠距離武器を扱ったことが無いとの事だが、ミーアが丁寧に指導するとまたたく間にコツを掴み始める。


昼過ぎから指導を始め夕方には動きの早い魔物にも的確に対応が取れ始めた。

銃の扱いに関してはミーアも天才肌級だ。

其のミーアもアーシャの上達に感心する。


なんだか平凡なユウゾーは何故か一人ポツンと黄昏ていた…。

まったくユウゾーの出番はなかったのである。


次の日の昼にもアーシャはミーアと共に森へ練習に出掛ける。


ユウゾーは他の妻達と買い出しのお手伝いとなる。

こう言ってはなんだが、どれだけ買い込むのだろうか?


すでに2.5トン用の袋が7袋も消費されている。

すべて支払いはユウゾーが担当だ、別に問題はないのだけれども…。


流石に手持ちの金も少なくなり武器屋に錬金術で作った剣や鎧を売却に走るユウゾーであった。

ギルドに行けばそれなりの大金を預けてあるが、老後資金としてユウゾーは出来るだけ下ろしたくはなかったのだ。



やがて予定していた買付や移動準備も完了したユウゾーは二日後の出発を皆に伝える。

明日は一日休暇と知り合いの者に挨拶回りとなる。


ようやくこの都市ともお別れとなる。

移動には6名になる事から2頭立ての馬車をレンタルする事になった。

お金も左程変わらずに家族内だけの移動だから気兼ねなく過ごせるからな。


翌日は予定通り知りあいの人々に別れの挨拶を告げて、ギルドへ家の鍵を返却に訪れた。

今日は宿屋にて泊まりになり明日早くから移動の予定になるからだ。


最後にギルドのマスターに別れを告げに取り次いでもらう。

ダンカン氏がユウゾーとの別れを寂しそうにしていた。


なかなか男の冒険者は少なく話し相手が居ないのだろうな…。



「そうか 明日か。早いものだな、お前たちには今回本当に世話になった。何かあれば連絡してくれ、わしで出来ることがあれば協力するからな」


その後こっそりと どうだアターシャは?何か問題も発生しておらんか? 一番弟子の様子が気になるのだろうが当然問題など現時点では発生などしていない。


他の妻達とも良好な関係が続いている と説明すると安心した様子が伺える。

なかなか弟子思いの師匠なのだなと関心させられる。


忙しい最中に長居は無用として、近くに寄った時にはまたお邪魔すると伝えてギルマス室から退出した。

もう夕方が近い、近くにある借り馬車屋から予約してあった馬車に乗り込み宿屋に向かう。


明日からは大森林に向けての5日間の旅が始まる。


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