表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
78/281

78 いざ 最深層の主


翌日最終戦を控えてギルマスは最後の注意事項を皆に伝える。

ここまで来たら何としても全員無事に帰還したい。

冒険者の目も皆最終戦に向け闘志の塊になっている。


もう少しで名誉とそれに値する金が手に入る。

ここは何が合っても死ぬ訳には行かない。

相手を倒して帰還する それだけの事よと己に言い聞かしているのだろう。


「それでは 参るか」


皆の気迫も十分練れたと判断したギルマスは、昨日までとは違い自分が先頭に立ち、皆を引き連れる形に変わった。

それだけでギルマスの覚悟が全員に伝わり、新たな緊張感と闘志が皆に漲る(みなぎ)


ギルマスの歩く後ろ姿からは往年の伝説にもなった逸話を思い出させる気迫が満ちていた。

この人となら生き延びられる そんな気に誰しもが成るカリスマ性が溢れていた。


「ほう 流石連瀑のシネル あの気迫は健在か」


マーラが嬉しそうに微笑んだ。

 

 ふーん シネルと言うんだギルマスは。


「全盛期に私は会った事はないが、噂はエルフの村にも届いていたぞ」


ニーナが後を続けた。

一旦攻撃が始まると相手を倒すまでは凄まじい攻撃を連斬する事からついた通名だそうだ。

おっかない人だったんだ…ユウゾーはぼんやりと考えていた。




ギルマスを先頭に全員が部屋の中に入り込む。

部屋の中はさらに奥へ通じる通路が続いていた。

暫く歩き大きな空間の部屋が現れた。


「なんと大きな空間だ。さて何が出てくるかな?」


やがて光の渦から何体もの魔物が出現した。

特に真ん中の主と思われる物体は並外れた大きさが確認される。


「ま まさか、ベヒモスか?!」


聖獣とも悪魔の使いとも評され、ドラゴンにも匹敵する存在。

その両隣には鎧武装したジャイアントオーガーが4体。


たちまち調査隊からどよめきが上がり、動揺の波が辺りに伝わり始める。


「これは驚いた。若い頃ベヒモスを求めて各地を巡ったが会えなかった。まさかこんな近くに潜んでいたとはの…」


ギルマスは感慨深い顔でベヒモスを眺めていた。

ユウゾーはマーラにベヒモスの強さを尋ねると 


 強い 但し野生のベヒモスならばの話だ。召喚されて出現する魔物は仮初の命でしかない。精々本物の8割り程度の強さかな?なれど油断するなら全滅の可能性がある。


そうか…全滅の可能性ありか。

ユウゾーはマーラとニーナを近くに呼ぶと、二人の耳元に囁いた。


「サイコガンの制限を解除する。全滅は避けたいからな」


二人は笑いながら頷いた。

ユウゾーとこの二人はサイコガンの出力制限をして今まで戰ってきた。

巨大な力はそれなりの反発も生ずるのを計算しての擬態であった。


60%から最大の70%へ二人は変更を行う。

これで今までより倍の威力が発揮される。

ユウゾーも50%から最大へそっと変更を行う。


そしてミーアとミューを二人の交代に呼ぶと同じ様に囁いた。


 連射モードを許可する。思い切りぶっ放せ。


ミーアとミューはユウゾー達3名に比べて思念力が低く50階層を過ぎたあたりから最大の出力にて戰っていた。

更にこれに連射モードを認める事になる。

これまた二人はにこりと頷き少しうきうきした足取りでユウゾーから離れた。



他の冒険者たちはあまりの強敵に数名を省き極度の恐怖心を抱き始めていた。

これは如何とギルマスは大声を上げて皆を奮い立たせる。


「聞け皆の者、相手はドラゴンに比べれば火も吐かず空も飛ばん!そしてわしはその昔はドラゴンスレイヤーとして名を上げた。ベヒモスなど恐れに足らぬ。わしに着いてこい!」


その大声にギルマスの昔を思い出し、皆に再度戦いの勇気をふり戻した。


「アターシャ ブルーそしてユウゾーの三名はわしの後から他の者は…」


そこまで言った時に、ユウゾーがギルマスに提案の為に発言を述べた。


「ギルマス少し待ってくれ。これまで通り初撃は我がパーティが務める。皆には私達が魔物を足止めしているところを攻め込んで欲しい!」


本気か?! ギルマスはユウゾー達の真意が分からずに躊躇した。

ユウゾー達5名で5体の巨大な魔物達にガチ勝負を仕掛けると?!


ギルマスは先程は他の者の手前そう言ったものの、その生命を差し出す覚悟であった。

1パーティの力でどうにかなる相手ではないのだ。

それは首都の一級冒険者と呼ばれる二人も同じ考えであった。


ユウゾーを諌めようとアターシャが口を開きかけたのをギルマスが手で制した。

先程からのユウゾーの振る舞いを見ていると、決して単なる名誉欲や状況判断の不足から生じての行いではなく、何かしらの確信の元に行動に及んでいると判断した。


その確信が何かは不明だが、ギルマスはユウゾー達に初撃を任せても良いと判断した。

その判断の元の一つがユウゾー達のメンバーの落ち着きである。


誰一人狼狽えていないばかりか、エルフ族のマーラか?彼女に至っては薄っすらと笑みを浮かべている事に気づいたのだ。




「待たせたな。では始めるか?」


ユウゾー達5名は横一列になり進み5体の魔物の前に歩み出た。

それぞれが目の前の魔物を相手にする事になる。


後方に控えるギルマス他6パーティの攻撃陣はいつでも飛び出せる体制にてユウゾー達の一挙手を注意深く観察している。


戦いの先端を開いたのは両端に控えたマーラとニーナであった。

彼女達が素早く銃から3発のエネルギー弾をジャイアントオーガーのぶ厚い鎧に向けて発射した。

最初の2発で鎧を破損して最後の1発がオーガーの肉を削り裂く。


と同時に内側のミーアとミューが反応して凄まじい数のエネルギー弾を発射する。

マーラ等に比べれば1発の威力は落ちるものの、1秒間に5発の弾はすぐに鎧を破損させてオーガーの肉体をこれまた削り始める。


負けじとユウゾーがベヒモスに向かい巨大なエネルギー弾を命中させ、流石のベヒモスも堪らずに悲惨な大声を上げて前足を折り悲鳴を響かせた。


 まだよ もう1発喰らえ。


ユウゾーは更に発射して今がチャンスと後ろを振り向いたが、冒険者たちは全員あまりの事に皆が固まり誰も動きが無かった。


慌てたユウゾーはギルマスに頻りに目で合図を送る。

それにようやく気づいたギルマスが大声を上げて皆に指示をした。


「ぜ 全員攻撃開始!」


その声と共に飛び出すギルマスに他の者も正気に戻り鬨の声を上げ魔物に突入した。


ギルマスが狂ったように剣をベヒモスに何度も斬りつける。

負けじとアターシャとブルーも首筋目がけ力の限り斬りつけた。

他の冒険者もそれぞれの獲物を求め剣を振るう。大人数での最早タコ殴りに近い攻撃だ。


ころは良しとユウゾー達はゆっくりとその場から離れ補給隊を目指し歩き出す。


やがて光の渦にベヒモスを始め他の魔物が消えていく。

その時にようやくギルマスはユウゾー達を目で探し始めた。


探し求めた先で見たものはユウゾーを中心にメンバーが楽しげに歩き去る後ろ姿であった。


「これ程の力があるか 迷人とは…」


ギルマスが呆然として呟いていた、その後ろに疲れ果てた姿の一級冒険者2名もいた。



光の階段が出現してからもひと悶着があった。

ユウゾー達は帰らずにもうひと稼ぎすると平然と語る。

それに刺激されたのかアターシャも突然自分も残ると騒ぎ出す。


アターシャを残す訳にはいかず、力ずくでギルマスがアターシャを引きずり階段から消えていく。

他の冒険者たちも皆ユウゾー達に手を振りながら階段を昇る。

それに答えながら最後のひとりまで見送ってユウゾー達は一息いれた。


妻達の目が輝いている。

 うん 了解です。これからが本当に楽しいパーティーの始まりだね。

 皆思い切り魔石集めを楽しんで下さい。


ユウゾー達は上の階を目指し歩き始める。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ