68 いざ クエスト対応
熱血のアターシャが渋々引き上げてから二日後に新ダンジョンに合同調査隊がオレオンより出発した。
是非とも皆さん無事に帰還して欲しいものだ。
それから一週間、ユウゾーは錬金術に、妻達は家の飾り付けや自主鍛錬に汗を流していた。
そして定期的に不満が溜まると、皆で狩りにでかけ大物を捕獲しては暫くは静かになる。
せめて妻達が都市生活に馴染めばとユウゾーは考えるが、妻達は最初の数日で都市に飽きたようだ。
ならば遠征計画でも立てて妻達のご機嫌伺いでもするかと思い立つ。
それを皆に話すと喜び諸手を挙げて賛成してくれた。
ならば折角だから何かクエストと一緒に絡めようとギルドにお邪魔する。
色々な要望の中から離れの牧場にオークと思われる魔物が出没し退治して欲しいとの依頼がある。
オークの肉は美味いぞとニーナがにんまり。
皆が直様承諾し、今から簡単な準備をして明日には出掛ける事で纏まる。
離れの牧場まで一日半の行程だな。往復3日気分転換に丁度いいな。
正門からよく整備された道を歩き出す。
荷馬車や旅人にもよく会う。数時間後にはT路地に当たり左に折れて進み出す。
このまま一週間程歩けば首都に到着するそうだ。
無論ユウゾー達は首都には用がない。もう半日歩けば小さな村に到着し今夜はそこに宿泊予定だ。
魔法袋のお陰で荷物がないのは行動に有利となる。予想よりも早く村に到着した。
村長に訳を話し広場にて野営の準備となる。
村の入口は粗末ながらも門がある。魔物の襲撃も可能性が低い。助かる。
村の子供達もユウゾー達が珍しいらしく遠巻きながら様子を伺いに来た。
ミーアが都市で買った飴を何個か子供達に配っている。
喜びながら走り廻っている姿は子供らしく可愛いものだ。
やがて陽が落ちる、夕食を早く済まし一息ついたら風呂タイムだな。
通常は先に風呂なのだが、村の中だし陽の高いうちは人目があるからね。
村人の朝は早い、ユウゾー達も食事を済まし出発準備を進める。
今日も天気が良い。後半日で依頼の牧場に到着するだろう。
村から暫く進むと道が二股に別れる。左側の細い道を行けば麓の牧場に着くはずだ。
ここまでまだ魔物の気配は無いが、これより先は要注意かな。
先頭のミューが警戒しながら歩む。
林を抜けて草原になり遠くに牧場の柵が見え始めた。
結構大きな牧場だ。柵を見かけてからも暫く歩く。
やっと牧場の建物らしき物が見えてきた。何人かの人影も確認出来た。
その人影がユウゾー達に手を振っている。待ちに待った冒険者の到着となる。
挨拶もそこそこに現状の確認に入る。
昨日も馬が一頭犠牲になったようだ。
牧場の端が林地帯に隣接している。
恐らくその林から現れると思われる。現場まで案内してもらい今晩泊まり込み相手を待ってみる。
今晩現れなければ明日は林の探索だ。
野営の設置を行い遅い昼飯となる。
まだ陽が高い近場の林に入り魔物の足跡などを探す事にする。
ミューがその能力を存分に発揮するからな。
確かにオークらしい数頭の足跡を見つける。
暫く追ってみたが林の先は森林地帯になる、そこからの可能性が高い。
大体の出現場所を掴むと一旦引き上げる。
もう暫くすると夜になるからな。
まずは風呂にて旅の汗を皆流す。
風呂上がりの上気した顔で皆が揃うと食事タイムだ。
今日もよく歩いた食欲も旺盛だ。
「皆起きろ お客さんがきたぞ」
見張りのミューがテント内で寝ているメンバー達に声をかけた。
それに反応して皆が起き出した。
「「どの方角からだ?」」 「昼間確認した林からだ」
焚き火はすでにミューが消している、月明かりに照らされて何か移動してくる姿がある。
オークだ 2体。
そうマーラが呟いた。夜目がきかないユウゾーは只頷くしかない。
昼間牧場主等が修繕した柵に近寄ると力任せに破壊工作をしている。
距離は100メートルほどか…。
ゆったりと牧場内に侵入している。皆がこっそりとオークに近づいて行く。
ユウゾー達にはまだ気づいていない様だ。
オークは実に堂々としてまさか攻撃されるなど考えてもいない素振りだ。
「よし 撃つぞ」
その声にようやくオークは反応する。
ユウゾー達に視線を送った時にはもう遅い。
5発の光のエネルギー弾がオークを貫いた。悲鳴と共に地に伏した。
ユウゾーが2体を回収し辺りを眺めて他の魔物がいないか確認する。
結局この夜はこのオークの2体だけが成果となる。
次の日牧場主に退治したオークを見せ確認して貰う。
牧場主は喜んでいたが使用人の一人が、、、
別のオークをこの前見た。一回り大きく片目のオークがいた。
ほう 新情報か。ならば本日林から森の広範囲で探索になるな。
皆も頷くと林を目指し踵を返した。
「どうだミュー追えるか?」
地面に残る足跡から仲間たちの巣に辿れば広範囲探索の必要が無くなる。
ここはミューに頑張ってもらう事になるが、何とかなる と頼もしい言葉を信じよう。
林を抜けやはり森の中に足跡は続いているみたいだ。
アチラコチラと場所を移動しながら着実にオークの巣に近づいていく。
「どうも あの洞窟が臭い」
皆が木陰から見つからないように注意しながら覗き込む。
確かにオーク達が好むような洞窟だ。
そろそろお昼時だ。携帯食をつまみながらしばし洞窟の監視を行う事となった。
「いたぞ。オークだ…」
ニーナがお菓子の袋に入れていた手を休め皆に報告する。
木陰から妻達の顔だけが現れ洞窟を注視する。
数体のオークが食料探しに出掛けたようだ。
「ふむ 意外と数が多いかもしれん」
一体だけ大きいというオークを仮にソルジャーとするなら5・6体は最低いる。
仮にジェネラルとすれば10~20体はいるのが野生生活ではよくあることだ。
昨夜探索に出たオーク2体が戻らぬのに洞窟内からは慌ただしさは感じられない。
つまりそれなりの数が洞窟内で暮らしている可能性が高い。
洞窟内に入るかそれとも外に誘き出して殲滅するかしばし検討になる。
「見たところ洞窟内の幅はさほど広くなさそうだ。オークの体なら2体並ぶのが限度だろ。ならば正面から攻撃するのは常に2体と限定出来るなら左程殲滅に手間取らないと思う」
無論途中に分岐する通路からの攻撃も考えられるが、洞窟外で四方から攻められるより前面の数体を相手の方が楽な戦闘になる。
「よしそれでいこう。先鋒は・・」
こちらも狭い場所での同士討ちが無いように簡単に隊列の手順と攻撃時の注意点を打ち合わせる。
先鋒はお気楽エルフの二人。その後にユウゾーとミーアが並ぶ。後方防御をミューにお願いして洞窟内に侵入した。
「いた。 攻撃する」
前方の緩いカーブから数体のオークがゆっくりと姿を現した。
「ライト点灯!」
ぎりぎりまで我慢していた銃に装備したライトが一斉に眩しく前方を照らす。
と同時に先鋒の二人が片膝を着いて中腰になる。
後方のユウゾー達の攻撃に邪魔にならぬ様射角を開ける為だ。
突然のライトに戸惑うオークが3体。
4本の光がオークの体を破壊して断絶魔の声が洞窟内に響いた。
「よし 進むぞ」
洞窟内が一気に騒がしくなった。緩いカーブを曲がると前方より異変を感じたオーク達が駆け寄ってきたが、直様先と同じ体制をとったユウゾー達につぎつぎと撃破されていく。
「ミュー後方は異常無いか?」
問題ない。ミューがユウゾーの問いに答える。
「良しこれで10体撃破」
つかの間の静けさの中オークの回収を終えたユウゾーが妻達に残り半分と認識させる。
更に先に進むと前方に灯りのついた部屋の入口が見えてきた。
どうやら彼処が最終地点のようだ。警戒しながら部屋の中に入り込む。
奥にオーク達が戦闘態勢で待ちかねていた。




