66 いざ ダンジョンボス戦
朝早く西の門の開門を待つ冒険者達の一角にユウゾー達もいた。
ほぼ一日歩けばダンジョンに到着できるから、朝早くから開門を待つ冒険者が集まるのだ。
やがて開門時間となり冒険者達が門番に見送られ足早に移動を開始する。
ユウゾー達も冒険者達に混ざりダンジョンへと足を進ませる。
今日一日かけて移動しダンジョン前の広場に到着すれば、明日は朝からダンジョン活動が出来る。
明日の余裕がある活動の為に朝早くから冒険者たちは移動するのだ。
「ユウゾー焦るな。ダンジョンは逃げん」
前回と同様の注意をマーラから又受けてしまう。
分かっているがつい周りの冒険者のペースに合わせてしまう。
日本人気質なのかな? 妻達は皆笑っている。
大きく息を吐き妻達のペースに合わせるべき歩みを落とす。
そろそろ初夏の季節になり急ぐと汗が出てくる。そう云う意味では加減した歩みが良いのだろう。
途中休憩を挟みながら夕方前にはダンジョン前の野営地に到着した。
今回もかなりの数の冒険者が野営している。場所探しが大変だが少し離れた場所に設営する事になった。
今回からユウゾーも大型テント内にて皆と一緒に寝る事にした。
6人用のテントだが荷物を置くと内部はほぼ隙間が無くなってしまう。
もう少し大きめのテントを作ろうとしたが、他の者の邪魔になると言われ断念する。
基本寝るだけならこれで十分との事だ。
それより早く風呂場と簡易トイレを作れとのご命令だ。
はいはい 頑張るか。 食事の支度もあるしな。
翌朝準備を終えダンジョン内に進む。
転送魔石のある場所に向かってみる。前回の訪問から一月前後過ぎている、この転送システムは一月以内であれば前回の最終地点まで送り込んでくれる。
おう マーラの姿が光に包まれ消えていく。セーフだな。
妻達が次々に転送されていく。最後にユウゾーが転送石に触った。
前回転送した25階層に間違えないようだ。
では26階層に下がるか。皆やる気満々と見える、暫く魔物退治から遠ざかっていたからな。
あまり張り切らないようにな。怪我には注意だぞ。
えっ 煩いって・・まるで父親みたいだと、、。
凄まじい殲滅戦が開始されました、、、。
あまりの勢いに逃げ惑う魔物を追いかけユウゾー達は更に地下に移動していく。
怒涛の進撃にて29階層までクリア。
最後の階層にてラスボスとの勝負となる。
30階層の武装オークソルジャーを一体残らず追いかけ回し、大量の魔石とドロップ品を回収後ボス部屋の前に到達した。
念の為マガジン内の魔石にチャージして皆の準備も完了する。
オークジェネラルの完全武装にオークソルジャー4体も装備が一段階良い物を身に着けているな。
何のサイコガンの錆にしてくれる。
いくぞ 皆んな!
気迫十分な妻達は情け容赦無い攻撃を加えていく。
各種ドロップ品と水魔法の中級の書を回収後ミューが使用出来るので渡す事になった。
本来地上に引き上げるのだが、暴れ足りない妻達の意見に従い一旦ボス部屋から退出する。
再度ボス戦を行うのだ。
部屋の外でテーブルセットを作製して1時間ほど待てばボス達が復活する。
それを待っての休憩タイムとなる。
ユウゾーは暇な間に久しぶりにステータス板を出し、自分のステータスを確認してみる。
「おっ やっと後172体でレベル10だ」
オーククラスなら一体でゴブリンの4体分になるから、残40体ちょい程倒せば念願の10に到達できそうな状況まで来た。レベル10がようやく見えてきたのだ。
「ユウゾー 私はどうだ あと何体かな?」
ミューは711体。 ミーアは1063体だな。鑑定の書を握り二人の次のレベルアップまでの討伐数を教える、マーラは…。
マーラとニーナ笑いながら いい と手を振って断わった。
彼女達は残数が途方もなく多い。そのうち上がるだろうとお茶を飲む。
長命族の余裕だな。
おっとミーアとミューも限界値が2上がって35と39になっているぞ。
そうミーア達に伝えるとキョトンとユウゾーを二人して見る。
あっ そうか。ユウゾーの加護を二人には説明していなかったな。
マーラとニーナが苦笑いして説明してやれ と目で会話する。
マーラとニーナはオサから契約の書にてこの件は誰にも話すことは出来ない。
ユウゾーが二人に話すしか事情が伝わらないのだ。
「「なんと そんな加護が世の中にあるのか?」」
正確にはユウゾーの祖父も同じ加護を、いやユウゾーは(改)が入るのだが…。
「すると2つ上がって 私は本当に35になったのか?」
ミーアが思いつめたような目でユウゾーに確認の質問をする。
「ああ 間違えなくミーアは限界値が35になっている」
「ウワーッ ユウゾーユウゾー!!」
急にミーアがユウゾーに思い切り抱きついて泣き出した。
突然のことで慌てたユウゾーであった。
嬉しいのは分かるがこの喜びは少し異常だ。ユウゾーはマーラに助け舟を求めた。
マーラがユウゾーに事の説明を始める。
「何から話せば良いか・・全ては村のいやエルフ全体の取り決めから始まったのだ」
長命族だけの問題ではないが、長く生きている者にありがちなエルフ全体での約束事が決定すると、結果的に長期間に渡りエルフ達を自分で自分を縛ってしまう事がある。
つまり悪法も法として認識されるのだ。
人族であれば権力者によって生まれた悪法も数十年経てば、次の新しい権力者により廃止なり改善されるのだが、エルフ達は元々保守的な考えの集団であり、まして長命となればいつまでもその悪法がなかなか改善されず続いていく。
時間が経てば経つほどずるずると改善も面倒になり結局いつまで経っても悪法が続く事になる。
今回ミーアがこの悪法と思われる約束事の為に本人としては非常に辛い日々を村で過ごしていた。
ミーアは幼い頃から魔法や武芸において優れているものを持っていた。
だが成人したミーアはエルフの約束事によりその能力を十分に発揮される立場にはつく事が出来ない事情があった。
すべて昔からの取り決めと、いくらミーアの能力が高くとも認める事がなかったのだ。
その取り決めとは限界レベルによる分類になる。
エルフ族の取り決めは、限界レベル45以上が将来のオサ候補。
限界レベル35以上が戦士としての登録。
35以下は村内の警備兵として満足に狩りなどの仕事さえ出来ず制約される立場に成る。
ミーアの限界値は33である。
いくら優れた武芸等の素質があろうと、村内の警備担当としてのみの待遇でしかなかった。
決して外で魔物を相手の活動等は無理な立場であったのだ。
無論当初の取り決めは単なる役割分担から発していたので、当初においては多少の変更融通もあったと思われるが、年数が経つに連れ一切の融通が効かぬ悪法になってしまった。
無論村内の警備はそれはそれで大切な事であり、戦士達も安心して外に向う事が出来る訳だが、やたら他の者より才能があり歳も若いミーアにとってある意味ジレンマに苛まれる日々であった。
それがユウゾーにより解決してしまったのだ。
どれ程の感謝をもってもそれに応える事が出来ない程の喜びなのだ。
「そうか それはミーアにとっては辛い日々だったのだな」
抱きついて泣いているミーアにユウゾーは優しく声をかけた。
平和そうなエルフの生活もそれなりの苦労があるんだな。
ふと別のエルフの顔が浮かんだ。
そうかミランダさんも同様の苦悩を抱えていたんだな。
奇しくも二人のエルフを苦悩からユウゾーの加護の力により開放する事ができた事になる。
でも考えればミランダ補佐とミーアは母娘だな、いかん余計な事は考えまい。
ミーアも一泣きして気分も落ち着いたみたいだな。
ではそろそろボス戦の再開とするか。全員が勢いよく立ち上がる。
ブックマークの登録者数20名超えました。お礼申し上げます。




