51 いざ 活動期
翌朝の食事を終え深緑のメンバー達とはお別れになる。
元気に頑張って欲しいものだ。
深緑のメンバー達が皆集まりユウゾー達に礼を言った。
「昨日の強行軍に参加して何か今まで悩んでいたのが馬鹿らしくなりました。皆様のお陰でまた一からダンジョン攻略に励めるようになりました。本当に有難うございました」
「いえいえ立ち直りの手助けになったのなら幸いです。是非ともまた別のダンジョンにてお会いしたいです」
「こちらこそその節にはヨロシクお願い致します。最後に勝手なお願いですが、昨夜の肉のタレがあまっていましたら…」
ありません!!!
ユウゾーは昨夜の惨時を忘れない。夢中になって焼き続けた結果ユウゾーが食べれたのは最初の皿に置いてあった冷え切った肉だけだった。
当分作るつもりはない。食べ物の恨みは根に残るのです。
深緑のメンバーに別れを告げて20階層のボス戦に挑む。
武装なしのオークソルジャー3体か。
当然ミーアとミューにて片がつきました。
さぁ 21階層に向かいましょう。
ありゃ 水辺地帯が広がっているぞ。
ここの情報は分かるかな?
大型のスライムに小型リザードマン?
水辺は厄介だな。機動力が半減するからな。
えーと あの草むらに居る 赤や黄色の大きな物体がスライム?
大きさも数も半端じゃないよ。 うぉー集団で襲ってくるぞ。
ミュー、ミーア飛び出すな! まだよく相手の強さが分からんだろう。
メッタ打ちでした。10数体の大型スライムが次々に消滅していく。
ミーアが駆け寄ってきて、
「ユウゾー これいい! 最高だ」
…そうですか、サイコガンが気に入ってもらえて良かったです。
でもあまり二人で飛び出さないでね。おじさん心配です。
馬鹿エルフ二人がケタケタ笑っている。まるでお父さんだなと…。
なんと言われても半年後に無事に村に帰さなければならないからな。
ミランダさんとの約束を守らねば…。
足首まで水に浸かりゆっくりと進んでいく。
魔物は確かに左程の強さではないが、魔石等の回収が大変だ。
足を取られ水の中に手を入れて一つ一つ回収せねばならないし、泥だらけの回収業務だ。
しまった 深緑のメンバーを誘えば良かった…。
都合の良いことを考えるユウゾーであった。当然二人組のエルフからの支援はない。
いつの間にか回収係はユウゾーの役目になっていた。
ミューとミーアが情け容赦なく退治していく。
次の階までこの水辺地帯は続き、ようやく脱出できたが…
なんだ 23階層は砂漠か!
入った瞬間に熱風が辺りに吹き付ける。
ここは何がいるんだ?
確か大型の赤サソリと砂漠鮫かな。とニーナがのたもう。
「何で砂漠に鮫がいるんだ?!」
ダンジョンだからな 当然のようにマーラが答える。
「ええい もういいわい。」
ユウゾーは諦めどんどん砂を踏みしめて進む。
「ユウゾー 左だ! 左に注意しろ!」
ニーナから指摘が飛ぶ。 何だ? 背びれ…?
かなりの速度で鮫と思われる背びれが左側面からユウゾー目掛けて向かってきた。
うおー 来るなー!
数人がサイコガンにて鮫もどきに発射した。
と同時に鮫もどきが大きくジャンプして空中に姿を現し、また砂深く潜っていく。
流石のサイコガンも砂の奥まで届かず、鮫もどきに大きな損傷を与えていない。
「どうすれば対応できるんだ?」
あのジャンプ時に狙うのが一番良い方法だろうと話し合う。
よし ならば囮はユウゾーが引受て、ジャンプ時は皆に任せる作戦となる。
みゅーとミーアを一旦下げて ユウゾーが先頭に立つ。
今度は右方向から背びれが向かってくる。
引きつけてユウゾーが狙い撃つ。
ザァーと大量の砂と同時に鮫もどきがジャンプした。
今だ!!
数発のサイコガンが鮫もどきを捉えた。3mはありそうな鮫がバラバラになり砂漠に落ちていく。
よし これで行ける。
後は単純作業の繰り返しだ。鮫の発見が一番重要課題になる。
次ぎ 前方2体!
皆の息が合ってきた。大型蠍も途中何回か出てきたが、姿が見えれば敵ではない。
灼熱の砂漠をようやく抜けて昼休憩とした。
あと残り2階で安全エリアに到達する。
気を引き締めていこうか。
24・25階は武装ゴブリンの大量湧きが主だ。たまに武装オークの姿が見える。
どちらにせよ5丁のサイコガンの前には大量の魔石数を増やすだけだ。
余裕を持って安全地帯に入る事ができた。
コーナーの一角に野営地を設営する。
時間が少し余裕があるので全員風呂を最初に入る。あの湿地帯で泥だらけだからな。
風呂上がりのひと時、冷たいお茶を飲み、少しおやつ代わりのお菓子を食べる。
一仕事終えた後の至福の時間かな?
回収した魔石の内、小粒の魔石を集めて数ランク上の魔石に変換作業を行う。
結構金額に差が出るからな…。
有り難や チート。
さて 夕食の準備か。今日は何にするかな。慌しい一日が過ぎていく。
「それでヘパフラスコ神様の言い分は?」
「いや その 御免なさい…」
ユウゾーに与えたプレート板の解析がほぼ終わり、あまりの魔改造にヴィナス神からの厳しい追求を受けているヘパフラスコ神様は只項垂れていた。
今回の分析に強制協力させられた下級神の女神二人は余りの労働の辛さに、半分気を失い口から泡らしきものを垂れ流して床に転がっていた。
この二人の尊い犠牲?により大概は解析済なのだが、どうしても数箇所不明点が残りさらなる追求を受けているヘパフラスコ神様であった。
その、よく覚えておらんのだ。500年前のあの時は確か勢いでこなしていた気がする…。
ヴィナス神はこのプレート板の核になる重要事項が残り不明の箇所と睨んでいた。
その話しになるととたんにヘパフラスコ神様は歳のせいにしたり、勢いで製作しただの逃げ口上を展開し始めてほとほと対応に困っていた。
何回か折檻しても結果は同じだし、本当にどうしてくれようか…。
流石のヴィナス神も打つ手がなく、誰に相談出来るでもなく分析レポートを睨みつけ何かヒントがないか考え込む天上界の一幕である。
ユウゾー達は明日が最終日の予定になっている。
明日30階層のラスボスを倒し帰還するのだが、何か胸騒ぎがするのだ。
何だろうこの感じは? ユウゾーは戸惑っていた。
理由の分からない不安感ほど始末に困るものはない。
料理でも作っていれば落ち着くかな?
無理やり料理で現実を忘れるよう仕向けていた。
と その時が突然来た。何組かのパーティが逃げ込むかのように慌ただしくエリアになだれ込んだ。
思わず皆が 何事?! と注意を向ける。
息も絶え絶えに一人の冒険者が半ば叫び声を上げた。
「活動期だ!! 魔物があたり一面溢れているんだ!!」




