48 いざ 中級ダンジョン
狭いダンジョンとはいえ20階のダンジョンを二日間で攻略できた。
改めて今回の攻略を振り返るとユウゾーを省く皆の個別の力に感心させられた。
一番の弱点はもしかしたらユウゾー自身?
別格の二人を省いてもミューにせよミーアしかり、共に戦士としての素質十分ではないか…
流石異世界、生まれ落ちてからの環境が日本で守られてきたユウゾーとは段違い。
これはレベルアップも勿論だが、日々の鍛錬が足りてないわ。
うーん この歳になっても頑張らねばいかんのだな…
なかなか優雅な老後生活が見えてこないユウゾーは考え込んだ。
うん 焦っても仕方あるまい。出来る事からやっていこう。
前向きに考えねば生きていくのが難しい世界であった。
ところで魔石は二日間でどのくらい集まったのだろうか?
小さな魔石が主だが、計300個ほどは有るようだ。
ふむ 赤字にはならぬ程度の換金額かな。
次は西にあるダンジョン攻略だな。
ここはドロップ品に宝石が出るとの事だ。
冒険者が一番集まるダンジョンとして人気が高い。
一応中級ダンジョンに分類されるが、さほど強い魔物も出ないそうだ。
ミーアとミューの無双が再現するかも…。
さあ 早く寝てオレオンに元気に帰らねば、オヤスミ。
…おい そこのエルフ。寝惚けたふりして人のテントに入ってくるな。
見ろ ミーアが凄い顔で仁王立ちしているぞ。
俺まで巻き込み禁止だぞ!
一週間後の早朝門を開ける時間前だと言うのに数組の冒険者が今遅しと待機している。
その中にユウゾー達も含まれていた。
今日行くダンジョンは少し距離が微妙なのだ。
急げば一日で到着できるが、少し遅れると真夜中に着き、次の日からの探索が疲れが残った状態での活動になるからだ。
通常の冒険者は安全をとり途中一泊するが、次の日は半日でダンジョンの安全地帯に移動せねばならない。無理がトラブルを招くのはよくある話だ。
よって足に自信のある冒険者達は早朝一番から移動して、ダンジョン前の野営地にて早めに疲れをとって翌日ダンジョンに挑む。
ユウゾー達は全員魔法袋持ちだ。疲れる荷物が無ければそこそこのペースで野営地にたどり着ける。
眠いのを我慢すれば翌日が楽になる。
ゴネる若干名のエルフの手を引いて、今門が開き出発の時が来た。
十数名の冒険者が門をくぐりダンジョンへと足早に歩き出す。
その最後尾でエルフ二人の手を引きながら進む一団が我がユウゾー達である。
急がなくともダンジョンは消えぬ。……のたもう。
ごもっとも なれど何となく周りが急ぐとつられていくのが人の常。
決して急ぐ必要はないが、のんびりしても意味がない。ほどほどですかね。
気分を変えて進みますか…。ミューとミーアが笑っている。 解せぬ…。
荷物が有ると無いでは長距離になればなるほど検挙に差が出る。
昼前には一組 さらに一組と先に進んでいた冒険者達を追い抜いて行く。
うさぎとカメではないが、最後部にいたユウゾー達が一番最初にダンジョン前の空き地に到着した。
それ見たことか 私の考えが一番正しい。
無い胸をそるエルフが一名…。
えーと それも私が貸した魔法袋のお陰 と声を大にして言いたいが後の反撃が怖い。
ここは愛想笑いで誤魔化そう…。
そんなユウゾーの態度を察したのか、ミーアとミューが懸命に笑いを堪えている。
なんか 君たち随分仲が良くなったのでは?!
結構な冒険者が野営している。いい場所を探さねば。
ようやく奥に近い場所に陣地を構える事が出来た。
バタバタテントを設置していたら隣のパーティから声がかかった。
はて? 知り合いなど居ない筈…。
いや どこかで…おうおう 北のダンジョンの通路で拾った、、えーと、、、。
深緑のパーティだよ。 ニーナがボソリと一言。
助け船が入りました。確かそんな名前の… 元気? こんな時には誤魔化すのが一番。
お陰様であれから皆元気に復活いたしました。
武装も修理が終わり、それからは北のダンジョンには近寄らずもっぱら此方のダンジョンで生計を立てているそうだ。
うん 無事が一番だからね。 無理は禁物だ。
明日からの予定は? もう帰るのかな?
休憩を兼ね一時的にダンジョンから出てきて、明日から15階層にまた潜るとの事。
えっ? どういう事かな… 地下1階から始めるのでは?
言っている意味が分からずにキョトンとしていたが、ここのダンジョンは転移石が有るんだとマーラが説明してくれた。
地下に転移石と呼ばれる魔石があり、その石に触ると強制的に入り口まで戻されるとの事だ。
逆に入り口の魔石に触ると前回石に触った地点まで行く事が出来るそうだ。
但し転移石のある場所は5階毎しかないので、他の階にはそこからまた進む事になる。
それに直近一ヶ月の制約があり、一ヶ月を過ぎると1階から潜り始める事になるんだと…。
但しあくまで個人対象の為、パーティに適応されず、最悪バラバラになり各層に散らばる可能性がある。
普段から同じメンバーなら行動も一緒だから問題はないが、ポーターを雇ったり臨時メンバーが参加すると少し厄介な事になる。
最初からの1階から潜るしか手がないんだな。
でも深緑のパーティみたいに途中休憩をいれて再度探索時には非常に便利なシステムだな。
長期探索もそれ程苦にならないかな。
なる程だからこのダンジョンは人気が高いのか…。
さすがの異世界。 楽しいな。
それはそうと食事の準備は終わったの? 深緑達も一緒にどう?
えっいいんですか? ゴチになっても…。
ああ こう言っては何だが干し肉中心だろう? 野菜が不足しているだろう?
こちらはたっぷり用意してあるから、明日の為の栄養をつけとけばいいよ。
大喜びの6人組である、反対にエルフはしかめっ面。そこのエルフ大丈夫、たっぷり作るから…。
食事と食後のお菓子をたべて皆満足そう。
さて早めに寝て明日に備えなければ…。
夜中にも何組かの冒険者達が到着したようだ。ご苦労さま。
翌朝早くユウゾー達は探索の為目覚める。
早く動かなければ他のパーティ達と獲物の奪い合いになるからね。
第一混んでいると面倒だし…。
食事を早く済ませ。後始末を終える頃に深緑の6名が起き始めた。
済まないが先に行くと挨拶を終え、いざダンジョンへ。
今なら左程ダンジョン内も混み合っていない、早めに下に下にと進みたい。
前回と同じに先頭はミューとミーアに任せ2列目に3名が並び歩き出す。
あれここのダンジョンは明るく自然豊かだな。
見通しもよい草原地帯が出現した。
なんかダンジョンと一言に言っても色々な種類があるそうだ。
3階層まで魔物の気配はほとんどない。
たまに遭遇するくらいだな。
そうかあれだけの冒険者がいればすぐに退治され、なかなか復活までは時間が足りないか…。
ならば飛ばし気味に進もうか。
出来れば早めに10階層まで進みたい。
5階層を過ぎたあたりから冒険者の数もかなり減り、魔物もそこそこ増えて来た。
それをミューとミーアが容赦なく退治して進む。
8階層まで来た時に草原は終わり、今度は森林地帯となる。
これはエルフの独壇場になるな。
予想の通り次ぎから次に魔物を退治する。ユウゾーには今一魔物の居所が不明だ。
ミューも育った環境か森林は苦にしていない様子。
辺り構わず狩りまくるとはこの事か?
ユウゾーは付いていくのがやっとの有様だ。
いつの間にか魔石回収役としてアチコチ飛びまくるのである。
目指す10階層に入るボス戦前の最後の荒稼ぎを他の4名に任せ、魔石回収役は疲労による骨休めをしながらブツブツ何か呟き虚ろな目で魔石回収を再開するユウゾーであった。




