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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
43/281

43 いざ 相談事?


改めて顔を確認するとミュー本人に間違えがない。

開拓村を出て半月程過ぎている。その前から出発していたはずなので、かなりの長期間のクエストをこなしていた事になる。


「いつ帰ってきたんだ? 何かあったのか?」


「まぁ 落ち着け。実は…」


ミューに都市で別れた後の顛末を説明し、エルフ達を紹介する。


「それよりお前こそ、ずいぶん長いクエストだが?」


ミューから今回森の北部に有るドワーフの村に荷役の護衛で往復しているとの事。

片道半月 往復一ヶ月にもなる長期間のクエストが明日ようやく終了する。


 今回野営地は狭いので冒険者たちが多ければもう少し手前で野営予定で、先発隊として野営地の様子を見に来ていたとの事。


「何名いるのだ? 詰めれば入りきれるのでは?」


「うん 何とか入りきれるかな。マルー報告頼む。私は場所を確保する」


了解! マルーだっけ? ユウゾーは名前を覚えるのが昔から苦手な為、つい今しがた再び戻って本隊に報告に行った冒険者を見送った。


こうなると堀と柵は不要だなとユウゾーは別の物の設置にかかる。

風呂とトイレは譲れない。空き地から少しだけ離れた場所に生活魔法で整地にすると作業にかかる。


「変わらず器用な事を…」


「そうか?今回は堀と柵はスペース的に無理だからな…」


 あれがあると心理的に安心感が違うのだ。後方の部分だけでも柵を配置するか?ユウゾーは出来た設備を眺めながら呟く。


「開拓村に着いてからの予定はどうなんだ?」


「それよ。再度あの都市に訪問予定だ」


オレオンの都市にはダンジョンが計3箇所ある。それに前回潜ったダンジョンもまだ地下11階までしか到達していない。

ユウゾーは早くレベル10まで上げて見たかった。それによりあらゆるスキルがLv2に変化する。

特に楽しみなのはヘパフラスコ神様が言っていたサイコガンの改良点だ。

より効果的な武器になると思われる。


「ふーん またオレオンにか…なぁユウゾー少し相談が…」


丁度ミュー達の後発隊が野営地に到着し、また後で相談するとミューは慌ただしく到着した馬車に向かい走り去っていく。


「どうした。あの獣人が気になるのか?」


ミーアが側に寄り、去りゆくミューを眺めて尋ねた。


「いや 何か相談事があるみたいでな。それより風呂の設置完了だ。後は湯を張るだけだ」


ユウゾーは湯の魔道具をミーアに渡し後を頼んで食事の準備にかかる。

ミーアもすっかり風呂のファンになり、湯沸かしがミーアの担当になっていた。

後の二人は… 言うまい。見ぬようにしよう…。



ミュー達の総数は12名になり、野営と食事作りに皆テキパキ動き出す。

ミュー達に食事を分けてあげたいが、さすがにあの人数分は無理がある。

明日には開拓村だ、後で最後のお菓子をおすそ分けしてやろう。


「ユウゾー、風呂に入るから食事準備ヨロシク」


脳天気エルフがのたもう。

あの二人のおかずの中に唐辛子をたっぷり入れてやるか?!


食事の支度が終わる頃エルフ達も風呂から上がってきた。それを見たミュー達が4人揃ってこちらにやってくる。


「うん? 野営の設置が完了したのかな。 どうした?」


4人は口を揃え風呂に入りたいのでお願いに来たとの事。

許可すると皆嬉しそうに風呂場に向かっていった。

半月近く水浴びだけの生活だからな…。


風呂上がりにお菓子を持って行かそう。

エルフの二人組に見つからないように渡さねば…。


本日の夜番はミュー達のグループが引き受けてくれて皆ホクホク顔でテントに入る。

明日は開拓村か、、色々買い込みせねば。

あっ 魔道具屋の婆さんにも顔見世せねば…

あのギルドには寄りたくないな。またひと悶着ありそうだし…。


大森林の夜は静かに更けていく。





朝の食事や後片付けに時間を取られている運搬グループを後目に、一足先に挨拶をして野営場を出ていく。向こうは大人数だからな。


途中途中で狩りをしながら魔石と肉を集め、開拓村に到着したのは午後の2時ごろだった。

オレオン行きの馬車を確認すると本日の朝に出たとの事だから2日程のんびり出来る。

宿を手配してギルドにて魔石の換金を済ます。


ちょっとした小遣いがエルフ3人に臨時収入として入る。

特にミーアが目を輝かせていた。

個人でのお金の所有は初めての経験らしい。


母から持たされた少しのお金と一緒に財布へ大事そうに収めていた。

さて 明日は買い出しで忙しい。早めに宿屋に戻り疲れをとろう。


宿屋で少しのんびりしているとミューが尋ねてきた。

そう言えば何か相談事が有ると言っていたな。


部屋に入れて椅子に座らせる。

少し緊張しているみたいだが どうした?


言いにくそうだったので少し急かしてみると、意を決した表情で自分もユウゾーの護衛役で一緒に旅をしたいと、是非エルフ達と一緒に連れて行って欲しいとお願いされる。


突然の依頼で少し戸惑いはしたが、旅の仲間が多いのは嬉しい事だ。

ミューは今回みたいに仲間と組む事もあるが、基本単独行動が主で動いてきた。

確かに単独では受ける仕事も限られるが、反面自分のペースで好きな様に動くことが出来る。

無論 自己責任の元でだが。


ミューは優秀な斥候スキルの持ち主だから仲間になれば色々助かる筈だ。

只問題なのは気難し屋のエルフ達と組めるかと言う事になる。

双方を一度会わせて確認をとる必要があるな。

特にあの二人は問題児だし…。


そんなおり突然ノックの音と共にエルフ達が乱入してきた。

最後にミーアが申し分けないような顔で入ってきてドアを閉める。


「なんなんだ急に、来客中なのだが…」


丁度良いタイミングなのだが、それを言うと図に乗る気がした。


「話しはドアの外で聞かせてもらった、一つだけ確認したいが良いか?」


おい 問題発言を初っ端からするな。ようは盗み聞きをしていたと白状しているのだぞ。

そんなユウゾーの抗議の目を全く気にせずアホマーラがミューに問い掛けた。


「お前は美味い料理が作れるか?」


「…料理? ゆ ユウゾーに比べると劣るが基本自炊だし…」


「ふむ そこそこ自信ありなんだな? ならば同行を認めよう!」


 えーと それが許可理由なのかな?

マーラによるとなによりも重大な要素との事。

お前さん料理を作る気はまったくないな…。


話しは纏まったようだ。意外と喜んだのはミーアだった。

若い年代同士?話しが合うだろうから…。


斥候担当が入って計5名。攻撃陣は遠距離から近接戦も対応出来るし魔法も使える。

意外と重宝するメンバーなのでは?


早速新メンバーを加えて夕食会となる。酒は飲まないよ。

他の者は飲んでいるがユウゾーは心に決めている。

2名のエルフには不満らしいが、お前らの下心はお見通しだ。 


明日朝ミューに宿屋に来てもらい出発準備の買い出しに協力してもらおう。

今日はのんびり飲んでくれ。

先にもう寝るからな。そこのエルフ 袖を引っぱるな!


部屋に戻り日課となりつつある、座して呼吸法の鍛錬にしばし集中する。

今は精神の統一を練っていくだけだが、やがて体内に数箇所あるチャクラを発動出来るようにまで高めねばならない。


シャルル様からの厳命を守らねば…。

なんせ半年後には修行の成果を見せねばならないからな。



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