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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
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42 いざ 開拓村へ

 

無理を承知での魔道具作りは案の定使用に耐える物ではなかった。


 だめだ!もっと物の仕組みを理解していないと…。


ならばと天日干しの時間短縮を先に考える。

此方はいくらでも手はある。異世界は基本日本程雨は多く降らない。

其れでもくもり空は数日続くし、急な雨も降る。


天気次第の天日干しはそれなりのリスクと手間がかかる。

室内で出来れば効率も良くなる筈。


そんな事を考えていた時に、シャルル様より呼び出しの伝言があり、ミーアと共に出向く。


シャルル様から今後の陰陽師としての自己修行のあらましについて細かく説明があり、村を離れても基礎に関しては自己研磨にて毎日行うように指導された。


そしてこの秋口には一旦エルフ村に帰ってきて修行の効果を確認する約束を交わす。

さらに護衛役として二人をつけるとの事…その二人とは例の残念エルフかな?


それに反応したのはミーアだった。

ミーアがどうしても護衛役として付いていきたいとかなり強引に申し出た。

最後にとうとうシャルル様とオサも折れ、一名追加の計3名が護衛役に決定。


母ミランダさんは口に出さぬが喜んでいるのが見える。

もしかしたらミーアと前もって話し合いがあったのか?


ともかくこの数日後にはエルフ村から出発する日取りで決定。

少し早いが村でお世話になったお礼に数日前から作成していた魔法袋を提出する。

600kg 用を2つ 350kg 用の狩りに便利な袋を5つ。


大層恐縮されたが、左程のMP消費を必要としないので気にせず収めて欲しい。

それぞれに付与されてる時間経過に付いても説明したら、皆固まっていた。




出発までの数日は色々な準備であっと言う間に過ぎた。

その間子供達の塩運びにリヤカーもどきをテスト運用してもらい非常に好評を得た。

前後を二人で押し、残りの二人がリヤカーもどきの左右に配置して魔物の襲撃に備えた。

地面も塩採取場近くだけが多少泥濘んでいるが、後は比較的踏みしめられた道である。


移動速度もあがりそれに運べる量が倍近く増え、皆大喜びな笑顔で感謝された。

池の堤も問題なく水の流入も止まったとの事。


後は定期的に堤を土魔法で補強すれば問題ないかな? 

半年後にまた村に来るのでその時問題点あれば対処していこう。

塩と不純物の選別魔道具がどこかにあれば良いのだが。




出発前夜の夜遅くミランダさんの夜襲を受けてしまったが、これは内緒だ。

限界レベルの上昇が本当に嬉しかった様で、濃厚なお礼を受けてしまった…。

流石長命のエルフ、それは伊達ではないと認識させられた一夜でした?


最後にミーアの事をくれぐれも宜しくと何度もお願いされる。

長期間村を離れるのは初めてなので、母として心配なんだろうな。

絶対とは断言出来ぬが、最大級の努力でミーアを守ると約束する。



当日の朝、快晴の中ユウゾー一行はまず開拓村を目指し出発する。

ほぼ全員の村人からの見送りを受けエルフ村から旅立つ。

ミーアもオサやミランダさんに元気一杯に手を振り続けていた。


見送りの姿が見えなくなってしばらくすると、残念エルフの二人が これでまた風呂と美味い食事三昧とのたもう。

安定の二人だな。まぁ良いけどね。





この後四日間望み通りの状況と、旅費稼ぎの魔物討伐を重ねる。

この間この大森林の大まかな状況を教わる。


エルフの村より森の内部にまる半日入り込むと、内部を流れる川がありそこを超えると魔物の強さがガラリと変わると言う。

川が魔物の侵入を防いでおり、たまに川を超えてくる魔物もいるが数はほとんどいない状態との事。


開拓村の冒険者たちも滅多に川を越えて内部には入り込まないようで、川の手前で魔物狩りを行うのが暗黙のルールらしい。

たまに川を超える冒険者たちもいるが、それなりの腕と防御メンバーに限られている。

パーティーも最低2グループで組んでいくそうだ。


特にエルフ村のある真横の地帯は川を渡ると、膨大なゴブリンランドになっており、推定で数万体以上のゴブが生活している。


好物のカバの実が豊富にあり、体型も通常のゴブリンより一回り大きく凶暴で強いためエルフ達も近寄らない場所なのらしい。


ユウゾーは思わずこの世界に来た当時に経験した、一晩ゴブとの追いかけっこを思い出し身震いをしてしまった。

あの晩真っ暗な森の中を懸命に逃げ惑った記憶はなかなか消せそうもない鮮烈な思い出だ。


ゴブリンランドの先にダンジョンがあるが、ここに行く冒険者たちはほぼゼロの状態だ。

ゴブリンランドの端を大きく旋回して進む手もあるが、川向こうの魔物が凶暴なのはゴブリンだけではなく、ほぼ全ての魔物がワンランク上の魔物と考えてよいとの事だ。


そんな所いかに命知らずの冒険者たちでも近寄るはずがない。

そしてそんな森の中央部にエルフにとって特別な地区があり、神聖な場所だが長い間誰も到着した者はいないとの事。


ふむ 色々問題の多い森なんだな…

森全体も東西にエルフの足でも2ヶ月、南北に一ヶ月の広さがある。

川より向こうは未踏破の森と呼んでもいいくらいだな。


森の果てからは大草原が続き、その先は海に到着するらしい。

エルフ達も言い伝えで知っているだけで、実際にどうなっているのか知る者もいない。

ただ森にも負けず凶暴な魔物が草原にいる事は聞いている。


おお あの大蜥蜴か。知っているぞ、死ぬかと正直思った。


ユウゾーがこの土地に転移した場所は、森の一番外れの東南地区でここだけ森の一部分が半島みたいに少し飛び出しており、この先端に転移したのだ。

あれから本当に色々あった気がするが、それなりに楽しく過ごしている自分に思わず笑みが出てくる。




最終野営地は開拓村からエルフの村に向かった初日に利用した空き地だ。

誰もまだ利用していなかったので好きな場所に陣取り、いつものように堀を作ろうとしていた時にとある数名の冒険者が野営のために入ってきた。


さほど広い場所でない為、他の冒険者の邪魔をしてはいけないと思い、どうすべきか柵だけで済まそうかと考えていたら、その冒険者たちの一人が駆け寄ってきた。


その時までユウゾーは陣地の配列に注意を取られていて、直前までその冒険者たちの顔をほとんど確認していなかった。

それが走り寄って来た冒険者に思い切り抱きつかれて、思わずよろけて軽く尻餅をつく始末になった。


「ユウゾー、ユウゾー! どうしてここにいるんだ?!」


その声には聞き覚えがあった。


「ミュー! ミューか?!」

素っ頓狂な声を思わず上げたユウゾーであった。



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