38 いざ 特訓
のんびりと夕焼けの村に戻っていく、途中ミーアは何度もサイコガンを袋から出しては眺め、嬉しそうにまた袋にしまい込む。
弓の代わりがあってよかったな そう言うと心底からの笑顔になり何度も頷くミーアだ。
さて今日の夕食は何かな などと考えていたユウゾーは村に入いってすぐの場所でマーラ達に拉致され警備室の中に連れ込まれた。後ろからミーアが心配そうに着いて来た。
「ユウゾー酷いではないか。 あんなにシャロン様に怒られたのは子供の時以来だ」
他の三人もそうだそうだと姦しい。
自業自得だろ。これに懲りたら少しは考えて行動してくれ、それなりの歳なんだろうし。
暫くギャーギャー煩かったが、言うことは言いようやく落ち着きだし、ところでなんで今さら鑑定などされたのかユウゾーは意味が理解るのか? と爆弾発言。
おいおい 後ろにミーアがいるのだぞ。オサから他言無用をもう忘れたのか?
だめだこいつら全員。こうなりゃオサに契約魔法の実行を御願いするしか…。
「あなた達 オサとの約束を破るつもりですか?」
うぉ いつの間にか窓から覗いていたミランダさんの姿があった。
ユウゾーとミーアを探しに来てみれば、マーラ達に連れ込まれる現場を目撃。
勢いに任せつい喋りだしたマーラ達に溜息をつきながら、部屋に入ってきた。
「「「ゲッ 補佐役」」」
もう遅い… ミランダさん切れかかっています。
ミーアを省く全員 再度オサの前に集合……。
「お前達、、、」
「「「申し訳有りません」」」
エルフ達は綺麗に土下座してオサに謝りのポーズを決めていた。
マーラがチラチラ此方を見てオサに取りなす様に目で合図を送ってくる。
知らんがな 下手にとりなしをすれば此方に飛び火確実です。
諦めて怒られなさいな。
「舌の先が乾かぬ内にこのザマか……呆れて物が言えん。ミランダ契約書を持っておいで!」
あら やはりそうなる? だよね、、、 ご愁傷様。
用意された4通の魔法陣入の契約書に流石の4人も何故此処までするのか理解出来ぬと、仲間の顔を見合わせる。
「契約書に署名する前に、何故此処までする必要が有るのか説明する」
「ええーっ 私のレベルが2つも!!」
あまりの大声に他の仲間が思い切りマーラの頭をぶっ叩く。
此奴だけは早めに契約決定だな…。
涙を沢山浮かべてマーラは謝る 謝る…。
ようやく事の大事が皆理解出来たみたいで無事契約も終わり、明日にはライラを含めて3名が自分の村に帰って行く事となった。
ライラの為に第三村から護衛の者が3名第二村まで付き添うことになったそうだ。
第二村に到着すれば第二村から第一村に護衛がつくとのこと。
その夜ユウゾーの部屋に忍び込もうとした二人のエルフが隣の部屋で寝ていたミーアから撃退されたのは次の日になって判明。 絶対あの二人だ…。
祖母はまだ眠りから目覚めないが、かなり顔色がよくなった気がする。
是非とも早めの回復を祈るしかユウゾーには手がなかった。
弓の練習場にミーアと出掛け、私は少し剣の素振りを久しぶりに鍛錬する。
その間ミーアはサイコガンの練習に夢中だ。
素振りの途中途中でアドバイスをしたり、上達の状況を確認したりとしていたが、他のエルフ達が弓の鍛錬に訪れてミーアの射撃を興味津津と見学を始める。
そのうち何人かが自分も撃ってみたいとお願いされるので、まずは思念力がどれ程のものか見てみるが残念ながら鑑定した5人共かなり低く、これではサイコガンの効果が期待できないので諦めてもらうしかなかった。
残念がるエルフ達を見ながらミーアは少し優越感の微笑みを浮かべていた。
うん これで少しはミーアも自分に自信を付けてくれれば良いが゜…。
ほぼ半日の鍛錬が終わる頃、彼女は30メートル離れた的にほぼ正確に当てるくらいには上達する。
うーん 凄いな。ユウゾーはこのレベルに達するのに賞味一ヶ月は費やしたのにと呟く。
後は静止の的ではなく動く的にて経験を積むほうが良いと判断し、午後から近くの魔物を実際に撃つことに変更する。何事も実戦が一番だ。
護衛役に暇そうな例の二人を呼び出し、4人で午後から森の中に突入する。
最初は面倒だと嫌がっていた護衛役の二人だったが、おやつの食べ放題に引かれてついてきた。
定番のゴブ5体は難なくクリア。
一角兎で少し戸惑った。正面から向かって来る兎は何の問題もないが、危険を感じて逃げていく兎、特に横方向の逃走に1回ミスった。
腕が未熟と言うより、弓矢の癖がでた。
つまり矢は命中するまで時間差が発生するので、逃げる速度と矢の速度を考えて射る。
サイコガンはエネルギー弾の一種だから速度はかなりの速度で移動するので、基本的に弾の速度の計算はいらない。つまり直接魔物を狙えば良いのだ。
素早い一角兎もそのコツが解ると次々と倒していく。
うん やはり実戦が一番だな。
視界の良い広場で休憩を兼ねてお茶にする時にはミーアはすでに優秀な狩人となっていた。
早くお菓子を出せのリクエストに答えて、それなりの量をテーブルに出す。
たちまちマーラとニーナの腹に収まっていく、当初遠慮がちに食べていたミーアもその美味しさに目覚め二人に負けずと食べる速度が上がる。
了解 追加のお菓子だな。
「だが 凄い上達ぶりだな。もう一月あれば俺を抜かすかもな」
ミーアの頬が緩む。耳もよく動くな。
それを見ていたマーラが急に手を差し出す。
「? 何だこの手は?」
「その銃を貸してみな」
口からお菓子の欠片を溢しながら催促する。
「貸すったってマーラは触ったこと無いだろう?」
「前にもいったろ、昔村の武器庫から借りだしたって」
「…黙ってが 抜けてないか?」
細かいこと言う男は本当に嫌われるぞ。ほら早くしろと手の平をひらひらさせる。
一つ溜息をついてユウゾーは銃を渡す。
因みにこの二人前に思念力を測った時に共に 200近くの数字をだした。
「だが 魔法銃とは使い方が…」
「そんなのお前を見てて覚えた」
いつの間に、、考えれば魔法銃を作ったのは異邦人だと言う、ならば基本的な操作は大差ないか…?
暫く銃をあちこち角度を変えて眺めていたが、急に遠くの木を見つめて銃口を向けると安全装置を外し狙いをつける。
無造作にトリガーを引く。50メートル先の木の枝が根本を折られ落下する。
続けて数発発射されると落下中の枝がその度に短くなっていく。
「なっ!」
射撃で一番難しいのは落下していく物を狙い撃ちする事だ。
それを意図も簡単にやってのけた。
何なんだ このエルフは??
銃を隣のニーナに渡すと ニーナも無造作に狙いをつけ、引き金を引く。
マーラが落とした枝の上にある枝が落ちていく。
「ふん こんなものかな?」
ユウゾーに銃を返すと私にも一つ銃を寄越せとのたもう。
それを受けてニーナも私にも追加とのたもう。
思わずカクカクと頷いてしまうユウゾーであった。
ミーアは大喜びで 姉さん達凄い 凄いと大燥ぎだ。
俺ってもしかして銃の才能無いのかも…
その後 村に帰る道すがら 小型の猪(日本の基準なら大物)を仕留め、意気揚々と帰るエルフ達であった。




