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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
198/281

198 いざ 新配下兵


「これは姫様 お久しぶりで御座います」


グレイシアの前にて片膝付き挨拶を述べる工事総責任者のグランド男爵以下主だった責任者が頭を下げていた。


「おお 久しいのグランド卿、そう畏まなくとも良いぞ。見ての通リ妾も町娘姿である、似合っておるかの?」


予定の建設が完了し、妻達の先導にて大平原に進みアサノ卿が居る仮拠点に移動していた皆々である、その大勢の人々を出迎えるアサノ卿の横に見覚えのある人物を見つけ、慌ててその眼下に駆け寄り控えたグランド卿であった。


グランド卿は他の女性と同じく甲斐甲斐しく働いているグレイシア妃に驚いていた。

流石に千人近い人数が仮拠点には収納できずに、隣接した場所にユウゾーが前準備に得意の土魔法でテーブルや椅子を多数用意していた。


全員のテーブルにはこの状況下においてかなり豪勢な品数が並び、少ないとは言え酒も準備されていたのだ、無論マーラとニーナにより手持ちの酒を全て放出しての歓迎でもある。


そのテーブル間を料理を配膳しているグレイシア妃の姿もあり、当初は恐れ多いと 自分達で運ぼうとしていた各卿であったが、彼女より 今夜の主賓は貴公達である 座っておれ と命じられ、針のむしろに座った気分で彼女の働きぶりを見ていた。


幼少から聡明と噂され、人一倍行動力があるとは風の噂で聞き及んではいたが、現実に目の前にて忙しく下々に料理を運ぶ姿に感動の言葉以外は表す表現は浮かんでこなかった。


実際 姫を知る数名の卿達も大いに驚き、しかして何時しか感激の涙に目を潤ませながら、この長く辛い工事の無事完了に近づいた事に感謝していた。


各テーブルのメインには大蜥蜴の頭部と尻尾の一部が切り落とされた、ほぼ姿焼きに近い形で各テーブルに でーんと置かれていた。


 うむうむ これでかなりの数が捌けたと ユウゾーはご機嫌である。


朝早くからエルフ達も森に入り、各食材を大量に集めてくれた。

手持ちの食材を含めてそれなりの歓迎の品が揃ったと喜んでいた。


やがてユウゾーの挨拶の後に道の開通を祝う、大宴会がこの大平原にて開催された。


ユウゾーはこうなる事を前もって考えていてトラック内にこっそりと隠し持っていた酒をここぞとばかり提供したのだ。

それでなければ千名に近い人数の対応は無理があった。

それでも足りずに急遽マーラ達の手持ちを借りだしたのだ。


大騒ぎの宴会が大空の元に始まり、深夜遅くまで騒ぎまくる人々の群れがいた。



「すると 伯爵様は将来この草原を開拓した後に安く自由に庶民に提供なさると?」


「はい 移住して当然当初は苦労すると思いますので、出来るならある程度村なりを各地に前もって配置して直ぐに農地を耕す事が出来るように考えております」


「そ それは家や水路等の準備も前もって行うと言う意味なので?」


「はい 最低限の対応は此方にて準備するつもりです」


「なんと それだけの準備を行い、尚且当初数年は無税でありますか?うーむ…」


こんな僻地である、各地に移住者募集と募ってもどれだけの人が集まってくれるか全く予想が立たない。

ならば少しでも条件を良くする必要がある。

住民サービスは絶対に必要な項目となる。


更に冒険者にとっても今後稼ぎの良い魔物が豊富にいる。

大蜥蜴の例の部位は売り様に寄っては大金が動く可能性もあると踏んでいた。

あとは工業には今一特化出来ないが、ユウゾーははまだ見ぬ平原の果てにある海にも期待していた。


将来は大海原にて各国と船での交易も着想の中にあった。

此れ等の事は姫を中心に今後のこの地の活用をここ数週間皆で話し合ってきて、ほぼ着想が固まりつつある事項だ。


当然 今いる各卿には現在話せることしか話してはいない。

大海原への進出はまだ何年後になるかも当面判断出来ない事項だ。


なれどユウゾーは今ある財源(主にライラのお陰だが)をすべて使い切る予定で対応していくつもりである。

上手く運用すればこの大平原だけでもかなりの収益を上げられそうだ。

当然ユウゾー個人は左程お金には固執していない。


この金を上手く回して大平原にとんでもない都市を築き上げたい、グレイシアの夢を叶えるためにも必要になるだけの話だ。

何なら領主はグレイシアに任せ、ユウゾーはのんびり農地開拓や狩りに従事したいのだ。

無論今のこの段階で話せる内容ではない、あくまで遠い将来の希望の話である。


「それはそうと前にお話しておりました、元ボルカ兵達の待遇であります。この場に彼等の責任者を呼びますので何卒彼等の話を聞いてもらう様にお願いしたいのですが?」


 ああ 確かにその話しは以前に聞いてはいた、目先の仕事が忙しくそれっきりではあったが、丁度良い機会かもしれない、彼等の話を聞くチャンスであろう。


呼ばれた兵達は5名で、全員が中隊長より下のクラスで、無論全員が元貴族の下級クラスであった。

その中で元子爵で中隊長を任されていた エイブル という男が代表してユウゾー達に己達の立場と今後の身のふりをユウゾーや姫それに妻達に訴えた。


「ふむ 委細は承知した、なれど確認であるが将来故国に帰らずともこの地にてここにいるアサノ卿の元で過ごしても問題がないのであるか?」

姫が再度その覚悟を問う。


「はい 自分や大抵の者はそれに間違いありませぬ。なれど将来どうしても祖国に帰りたい事情の者もおります。どうぞその折にはこの地にて充分な恩返しの後に解き放って頂きたいと思っております」


現在チェチェ国に占領されている祖国は酷い状態に置かれていると情報が入っている、今祖国の地に帰還してもまたもや都合よく利用されるのが落ちとなる。


「それに 敵同士ではありましたが、あの砦を僅かな兵で守り通したアサノ卿の武勇には我ら皆が深く感銘しておりました。是非とも非力ですが我らの力を使いこの地を開発する手伝いにお役立て下さい」


ユウゾーは再度姫と妻達の顔を確認する、皆が頷いてくれた。

確かに今現在この地では何人でも働き手が欲しい状態だ。

奴隷という立場が少し気になるが、活躍次第で将来はその身分から解放してあげればいい そうユウゾーは判断して 承諾の返事を彼等に返した。


忽ちにその話しが元ボルカ兵達に伝わり、元ボルカ兵達による礼を伝える人垣が出来上がっていった。

ここでまた一騒動があり、元チェチェ国の兵達の中にも何人かの残留希望の者たちが現れた。


正規兵ばかりではなく、一般人が今回半強制的に兵に組み込まれていたのだ、彼等は今更混沌とした祖国に帰っても身の置き場所のない者たちであった。


翌日にそんな事情のチェチェ兵達を個別面接を行い、人柄的にもそして前職の内容を聞き出しこれからの街づくりに必要そうな人物を約百名選び出してこの地での採用とした。


元ボルカ兵400名+100名のチェチェ兵が正式にユウゾー達の配下として誕生した。



当面一週間に数回の投稿予定になります


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