196 いざ レベル20へ
南・西・北の三面はただ平原が続いている。
東はかなたにユウゾー達が通ってきた大森林が見えていた。
その大森林から西に向かって5キロ程の地点に仮拠点を構える。
辺りの四面は魔物達の早期発見の為に焼き払っていた。
拠点内のほぼ中央あたりにユウゾーは水確保の為に井戸掘りを開始していた。
「おっ ようやく水源にヒットだな」
地下10m程で水源らしきものにあたる。
後はしばし待って水くみを繰り返し綺麗な水になるまでが勝負だ。
井戸の周りを崩れ防止の為に魔力を注いでおく。
そして手押しポンプを設置して何度も汲み出し作業をしている。
「創造魔法は便利だが、魔力消費が多いのが欠点か…」
ようやく綺麗な水が出始めてきた、もう一息であろう。
「ユウゾー これから先はどうするのだ?」
彼は東の大森林がある方角を見ていた。
「道をどこでつなげるか次第なのだが、兎に角現段階では草がうざい!」
どこに魔物が潜んでいるかまったく分からない、大人の背丈ほどある草は魔物の隠れ場に最適な環境となる。
「道作りの作業にとっても危険この上ないな」
妻達も作業安全面に問題ありと感じているようだ。
「通す道の場所はまだ未定なのか?」
当初の予定とズレた場所に仮拠点を構えた事により道建設案が増えてしまった。
「うむ 取り敢えず大森林の道を一部変更したい」
大森林内の道は真っ直ぐに予定していたが、途中で第一の川の方角に誘導したい。
理由は大きく分けて2つある。
一つは当然この地に来るならショートカットで距離を縮める事ができる。
二つ目が重要だが、大蜥蜴はあまり水を好まないらしい、今まで焼き畑を散々進めていたが川方向に逃げていくが、川を渡って向こう岸に移動する大蜥蜴はごく少数だとエルフ達から連絡が入っている。
彼等は川に入らずそのまま川岸を移動して大回りしながら懸命に逃げていく。
水をあまり好まないとするなら、この両側に囲まれている仮拠点にいる魔物を殲滅出来れば、川からの移動でまた侵入してくる可能性は低くなる。
西から南に向けての地区を用心しておけば、大蜥蜴との遭遇は少くなるなるのでは?
それがエルフ達の出した回答だ、それを信じて道が出来るまで東側の地区を殲滅していければ工事を行う人達も安心して作業が出来るはず。
急遽話し合いとなり、その仮説で通してみる事となる、ここでミューを頭にエルフ5名が別行動にて第一の川の麓から斜めに大森林を突破して、当初予定してある中央道まで目印をつけてもらう作業をお願いする。
元々付けていた目印まで達したら古い目印はある程度処分して建設に迷わないようにしてもらう。
次いでに道路建設責任者にその旨を伝えてもらい、またこの地に戻ってきてもらう。
ミューなら磁石による方向特定に問題ないだろう。
手間をかけて申し訳ないがお願いする事にした。
その間ここに残った者で東側地区を徹底的に焼け野原にして大森林までつなげ、大蜥蜴の居場所を無くす事にした。
さてさて忙しいぞ、明日からまたひと働きとなる。
あっ 作業員達のお土産に大蜥蜴の肉を持参してくれ、当然卵と尻尾は回収してな…。
間違えて食べたら大騒ぎになるからな…。
エルフ達は研究熱心だ…無論あの件に関してではあるが、尻尾の燻製肉による効果の変化を確かめるために何度となくユウゾーは食べさせられた、、。
燻製肉・干し肉と調理を変えて、夕食には目の前に出される…。
少し抗議をしたが無駄だった…。
ユウゾーには妻達が側に居るので、最悪どうにでもなる?
もし自分達が食べて万一の場合には、ユウゾーが相手してくれるのかと 期待した目?で尋ねられる、それに対して妻達は断固反対して、喜んでユウゾーを実験体に推薦する…。
勘弁して下さい…ユウゾーの哀願の声は毎夜虚しく大平原に響き渡る。
問答無用と妻達は毎夜毒消し?に日替わりで挑戦してくれる。
生暖かい雰囲気の風が仮拠点内に毎夜漂う。
ユウゾーは昼も夜も忙しい?!
「ほいきた 中央道に到着したぞ」
ミュー達別働隊は予定の地点まで到着する。近くにある目印の紐を回収して、変更地点に数本の紐を新たに加え道が変更になった印となった。
まる一日かけて村方向に戻ると作業の場所に到着する、早速責任者に今後の道路の一部変更を知らせて
、手土産の大蜥蜴を魔法袋から何体も取り出す。
あっという間に人垣が出来て、大蜥蜴の凶暴そうな顔を見て大騒ぎとなる。
千名近い作業員が居るのでユウゾーから預かった魔法袋からでの放出でも、一晩のご馳走にしかならないが、それは気も心で皆が珍しい食材に大いに喜んだ。
ただメス蜥蜴の確認不足があり、一頭だけ紛れ込んでいたのを気がつかずに調理されてしまう。
魔法袋から出したばかりで新鮮そうな為に問題が発生した。
手分けして解体された大蜥蜴の肉に新鮮そうな貴重な卵が何個か紛れ込んで調理されたのだ。
それを食べた何人かがどうなったのかは説明は要らないであろう。
次の朝一部騒がしい中、逃げるようにミュー達は大平原に向かい走り出したのだ。
「おお 本当だ、大蜥蜴共は水に入っていかないぞ」
焼け野原作戦を実施していたユウゾー達は、川に入り向こう岸へと移動する大蜥蜴がほとんどいない事を確認していた。
川の上流から火が迫ると、大蜥蜴達は川岸を懸命に逃げ惑う。
それを待機していたユウゾー達のグループが次々に討伐していく。
面白いように大蜥蜴が倒されていく。
「ユウゾー 魔法袋だ、もう入りきれないぞ」
大容量の魔法袋が次々に満タンになっていく。
懸命にユウゾーはマナポーションを飲みながら魔法袋を作製していく。
「なぁ ユウゾー、お前は現在レベルはいくつだ?」
突然のマーラの質問に忙しい手を休め、ユウゾーは振り向いた。
「な 何だ 藪から棒に、確か19まで上がっていたが…」
どんなもんだと胸を張るユウゾーであった。
「確かお前はレベル10に上がった時に色々スキルも上がったよな。つまり早く20までレベルを上げたら又色々な事が起こる可能性があるのでは?」
ああ…言われればそうだったと納得するユウゾーである、魔法袋の容量もサイコガンの一部変更もそして複写魔法のスキルも変更になっていた。
「…つまり、今より一段階色々変更される可能性が?」
「うむ 流れから行けばそうなっても不思議ではない、早くレベル20まで上げたらどうだ?お前のスキルは特別だ、高いことに間違えはないぞ」
うーむ 今のままで左程問題は無かったのですっかりレベル上げは頭の隅から抜け出ていた。
今後の事を考えるなら至急上げていくのが正解か?
「当然だ、魔法袋の容量UPやサイコガンの強化等どれも助かる事ばかりだ」
そ そうか、ならば後…365点で20か、、大蜥蜴は一体倒すと何点だろうか?
確認しながら倒してみるか、、。
丁度煙に巻かれて逃げてくる大蜥蜴が見えてきた。
「おーい みんな、その一体は俺が倒すので手を出さないでくれ」
皆が了解と狙いを外す、ユウゾーは久しぶりに魔物を倒した。
「おっ 3点減ったな…つまり大蜥蜴なら120体強でレベルUPだな?!」
その日から約一週間後ユウゾーは頑張り、無事にレベル20の声を聞く。
当面一週間に数回の投稿予定になります