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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
195/281

195 いざ 仮拠点設置2

水中の魔物ケルピーの襲撃を受け騒動があった。


「ふう これが夜間の襲撃だと大事だったな」

ユウゾーは深い溜息を吐いた。

森方面もそうだが、川からの魔物も監視せねば…。


「夜番を増やして警戒を強めよう」

今晩から追加の監視体制となる。


夕食も終わり夜番以外は皆ゆったりと明日に備えている。

幸い薪は大量に用意出来た。

夜が深まると共に人影も少なくなる。


マーラが火の側に座っていた。

ユウゾーはその隣に座り込む。


「どうした?マーラは夜番は無いのだろう」


「ユウゾーか、そうだな少し考え事だよ」

マーラが? あまり似合わない…。


「…それは少し酷くないか?」

「冗談だ、何を考えているのだ?」

「ははは 大した事ではないが、お前のお陰で面白い人生になったな と」

何だそれは? 俺が絡んでいるのか…。


「当たり前だ、お前と知り合ってから私の人生が大変革だぞ」

オレオンの街でユウゾーに会えなければ、あのまま、またエルフの村で前と変わらぬ生活を送り、やがて年老いて木の養分となる筈だ。


いや あのダンジョンでの大暴走に巻き込まれ今頃帰らぬ人となっていたかも知れん。

あのときユウゾーや仲間たちが手を上げて参加していなければ、その確率はかなり高いものだろう。


「うーん どうかな? 誰かが投石して波紋が起き、その後の人生に変化が起きるのはよくあることだ。つまり人の人生どう転ぶかはそのときでなければ分からないさ。あのとき俺がいなくても、別の者が投げた波紋で変わった展開があったかも知れん」


「…それは分かるが、結果的に私はお前や仲間達に助けられた事には変わりはない。感謝しているよ」

マーラはそう言ってユウゾーの肩にもたれかかる。


「おいおい マーラらしくないぞ」

「はは 少しの間お前の肩を貸せ」

そんな様子をキャンピングカー内の他の妻達がこっそりと覗き見をしている。

異世界の夜空は沢山の星たちが明るく輝きだしていた。



「さてと 今日も野焼きの続きだな、風向きは…うん 良好!」

支援エルフ達は今日もやる気満々である。


「ユウゾー 今日の予定は?」


「うーん 最低5百m程度は進みたいな」


「「「まかせろ!!!」」」


本日も大平原の魔物達にとって厄日となる。

事実要領を皆が理解し始めたのか、結果的に6百m程焼畑農地は進んだ。


「ユウゾー その焼き肉はもしかして…」

「おう 大蜥蜴の肉だぞ、こんなに大量にあるのだ食べてみないとな」


ユウゾーはテストと称して豪快に大蜥蜴の肉を晩飯のオカズに焼き始めている。

皆がユウゾーが食するのを観察している。

大蜥蜴の生態がよく分からない、毒を持っているのかも不明なのだ。


おいそれとは皆は食べてみたいとは思ってはいない。

そんな中ユウゾーは大蜥蜴の肉が今後の生活に関して重要な意味を持つと考え、まずは挑戦と一番に手を上げてみたのだ。


「どれ 塩コショウがいいか それとも焼き肉のタレか?」


初めのの一口は軽く塩だけにして材料の素の味を味わってみる。

焼き上がった肉は臭いも特別なく、一口食べると何となく鶏肉系それもササミの味か…。

これなら調味料次第で何とでも調理できそうだ。


腹いっぱい食すると後は体調に変化がないか、明日の朝までが勝負となる。

大蜥蜴の各部位を少しづつ切り取って食してみた、最悪は上級ポーションそして特級ポーションまであるので何とかなるとユウゾーは思っていた。


 うん? これは…。


ユウゾーが何やら考え込み始める。

やはり毒か…。皆に緊張が走り出す。


「や やはり毒か? ポーションを用意するぞ」

ミーアが心配そうに魔法袋を手元に引き寄せた。


「…いや 違う、その 困ったな…」


よく要領が掴めない、はっきりせいと皆が怒鳴りだす。


「いや そのおー マ マーラ少し耳を…」

怪訝そうにマーラが耳を近づける、ぼそぼそとユウゾーが何やら説明している。


「な 何だと!どこの部位かはよく分からぬが、精力効果がばつぐ…もぐもぐ」


慌ててユウゾーがマーラの口を押さえた。

 大声は禁止だ 恥ずかしい…。

一瞬何事が起きたと心配していた皆が、途端に大笑いの大合唱になり夜空に響き出す。


妻達が集合して何やら良からぬ事を相談しているみたいだ。

周りの者達が含み笑いをしながら、妻達の様子を見ていた。


「さて ユウゾー、ここで提案だ。ユウゾーが食した部位を私達妻も身を呈して食べる事で、特殊な効果が発揮される部位が判明できる。何と献身的な妻と言えるだろう、されどその効果を早く消滅して明日に備えねばならん。つまり、今宵はユウゾーと互いに協力しあってだな…」


 …了解だ、ようは今晩私のテントは二人になる と言う事だな、、。


妻達はにこやかに頷きあう。

妻達はどの部位を担当するか、またもや真剣に話し合いを開始した…。


「やったー!私だーー」


担当部位を食して暫く妻達が互いの顔を見つめ会っていたが、アーシャが嬉しそうに手を挙げた。

他の妻達が途端に不機嫌な顔になる。


「さぁ ユウゾー、早く二人で毒消しをしようではないか?」


アーシャに引きずられユウゾーは皆と少し離れた場所へ再度テントを張り直した。

その夜遅くまで毒消し?の為に二人は寝付くことはなかった。

当然次の朝は皆から寝不足の文句が雨あられと二人に集中した。


因みにアーシャが食した部位は卵である事が判明した、また尻尾の中央部にある色の少し変わった付近にある、こりこりとした食感がある部位も卵には劣るがそれなりの効果がある事も判明する。この日から全員の認識は完全に関係者に伝わる事になる。


後日談であるが、この大陸の商人たちが大蜥蜴の卵等の部位を求めて大軍団が連日この地を訪れる事になった。




野焼きを開始してから10日程が過ぎて、ユウゾー達一行は決断を迫られていた。

大平原に踏み込み5キロほどは最低進んでいた、第一の川はそろそろ向きを南に変更して流れが変わっている筈だ。


ユウゾー達がいる第二の川はほぼ真っすぐ平原をゆったり流れている。

仮拠点を作るにはここら辺が良いかも知れない…。


皆を集めてどうだろうかと検討に入る。

最終的には何方の川からも恵みがあるように、中央地点でどうだと纏まる。


ならば今後向きは南に向けての野焼き拡大と決定する。

風はあいも変わらず順調だ、たまに風の弱い日もあるが風上からの火付けなら面白い様に作業は進んでいく。


支援エルフ30名交代しながらどんどん草原を焼いていく。

火で混乱している魔物も退治しながらだ。

特に大蜥蜴に関しては完全に皆の狩る視点が変わったような気がするのだが…。


一角兎・二角兎も豊富に住んでいる、おそらくこの豊富にいる兎関連を大蜥達は餌にしているのだろう。


「ゆうぞー 左手に草の青い地点が南に延びているのが見える、あれが第一の川だと思う」


 おう すでに第一の川より先の場所まで来ていたのだな。


「どうだ ここら辺を仮拠点にするか?」


 ふむ 中間地点より少し進んでいた様だが問題ない。

 皆にはこの辺りを中心に四方に野焼きを進めてもらおう。


その間にユウゾーは土魔法にて外壁作りを行う。

二日間かけて高さ3m 1辺百m程度四方の外壁を完成させた。


「どうだこれで魔物達からの襲撃は防げるだろう?」


完成した外壁を皆が強度確認をしている。


「あいも変わらず凄い出来栄えだ、大蜥蜴の大群が攻めてきても防げるな」


皆からの折り紙つきです。

仮拠点の周辺も皆の努力で一面焼け野原状態になっていた。

外壁に上がり辺りを見渡すと一面の大平原の大きさが更に認識できる。


「ほうー 何と雄大な眺めだな…どこまで続く大平原かな と」


皆も外壁に登り辺りを見渡し改めてこの平原の大きさを感じていた。


 凄いです…この見渡す限りの大平原がユウゾー様と私の新領土ですね…。


一人姫様は未来に向けての展望を考え始めていた。

これほどの展望においても、まだ大平原のほんの端に過ぎない。

どこまで広い大平原…。


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