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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
188/281

188 いざ 大平原

あまりこの世界に余計な物を広めたくないとユウゾーはギルマスに説明した。


その気になれば劣化版とはいえそれなりの武器・日常品等を作製することも可能だが、この世界にはこの世界なりの良い品がある。

魔導具などはユウゾーの世界ではまず不可能な品だし、各種魔法などその先たるものであろう。


ユウゾーとしては自分や妻達の命が脅かされない限りこの世界の秩序にあわせていこうと考えていた。

無論ギルマスもその気になればユウゾーがとんでもない物を作り出すことは感じている、だからこそ余計な事を敢えて今までは言ってこなかった。


ユウゾーとしては便利な日用品に限りその都度考えてはいるが、武器関連はこれ以上の品は余程の事が無い限り作ろうとは考えていない。


「なあ ユウゾー お前ケイトに与えた みにかー と言っていたが、あの品の改良品は作る気はないのか?」


 うん? 何だ急に…。


ギルマスに依ると将来的に大平原から各村や都市までの交通機関をグレイシア様が今考えている最中との事らしい。

現在において馬による馬車が荷輸送に関しての主流だが、馬は生き物であり、意外と手間がかかり休憩に関しても定期的に必要となる。

荷の大きさにもよるが長距離においても思うほど時間短縮には向いていない。


今後大平原の開発が順調にいけば大量の品が行き来する事にも成る、当然生ものの品も場合によってどう運搬するのかが求められる。


 生鮮品等の大量輸送か…確かに新開拓村に大平原から運べば半月以上馬車でもかかるな…まてよ?


 「なぁ その話しは人の大量移動も含まれているのだな?」


ユウゾーは小声になりギルマスに尋ねる、するとギルマスはニヤリと笑いだしバレたかと呟く。


まったく…当初からあのケイト用のミニカーを見て、あのお姫様は何か良からぬことを呟いていたと報告があった、つまり何かあれば大軍の移動手段とて利用出来ないかとギルマスに相談したのだろう。


「カカカ あの姫さんはただの姫さんではないぞ、恐ろしく程の機転と考えを持っておる。おそらくはお前を常に観察して有効な手段が今後産まれる事に期待しておるのだ」


「…俺 婚約間違えたかな、、」


「馬鹿者、姫さんはお前が一番好ましいと感じているのは間違いないわい」


ただ 王族として持って生まれた宿命をよく理解し、その定めに従いつつ個人としての野望とは大げさなれど、何かしらの夢ともつかぬ事を考えているらしい。


「ふう 厄介な御仁だな…」


「ふふ 敵に回すと怖いが、味方につければ頼もしいぞ あの歳でな」


王族関連とはこんなものかもしれんとユウゾーは頭をふる。


「で 出来るのか? それとも?」


「…今の馬車より数倍以上効率の良い物を作るのは可能だ、、」


そうか それは姫さんが喜ぶな、ギルマスは静かに微笑む。

まったくこのギルマスといい あの姫さんといい この世界の住人は一筋縄ではいかん とユウゾーは大森林の中を歩き出す。




「おい ユウゾー この先が明るくなってきたぞ」


先頭を進むミューが後ろを振り返り皆に大声で知らせてきた。

皆がざわめき出す、新開拓村を出て ほぼ一月程が経過している。

ようやく大森林が終わろうとしていた。


「「「おおー 大平原だ!!」」」


全員が目の前に広がる草原地帯を眺め、感嘆の声を上げる。

長く暗い大森林から一転して見渡す限りの大平原が続いていた。


ほぼ西に一直線に森を抜けてきたために予定より早めに草原地帯に到着出来たと思う。

途中で井戸掘りまで終わらせてユウゾー達は後人の為に不便ないように進んできた。


「この先はどうなっているのかな?」


ミューが草原地帯に入ろうと一歩進もうとしたのを、慌ててユウゾーは止めに入った。


「待て ミュー!この草原には体長5m以上の大蜥蜴の魔物がおるぞ!」


その言葉に慌てて草原から脱出するミューが何やら気配を感じたようだ。

草原の数十m程度先に巨大な尻尾を確認したのだ。


「な 何だあれは…あれが大蜥蜴か…」


その巨大な尻尾は直様草原の中に隠れさり魔物の位置がわからなくなる。


「…ユウゾー どうやってこの草原を進んでいくのだ?」


それに関しては少々荒っぽいがユウゾーは考えがあった。


「後日皆に説明するが、それより川へ移動しよう」


ユウゾーが右方面に指差す方向に皆が注目する。

数キロ程先に川らしきものが皆の目にも映っていた。


「おうおう 確かに川だなあれは、そうかあの場所にて別働隊を待つのだな」


ミーアが納得したのかさかんに頷いている。


「そうだ 草原に入らぬ様に移動するぞ」


別働隊は川沿いに移動している、川の蛇行により距離は長くなるが、比較的に歩きやすい河原中心になるからそれほどユウゾー達と時間ロスは無いはずだ、まずは合流だ。


夕方にはユウゾー一行は川に到着すると開けた場所にて野営の準備にかかる。

後は別働隊が到着するまで待機するだけとなる。

川幅は数十mはあり、魚群もそれなりに見かけるのでニーナが晩飯のオカズに魚とりをすると言う。


 どうやって魚を? 竿も釣り針もないぞ…。


訝しげるユウゾーにニーナが何やら呪文を唱えだした。


 落雷! そう唱えると雷魔法が発動して川の中にいる魚たちが痺れて何匹も浮かび上がってきた。


「それ 今のうちだ早く捕まえろ!」


ニーナの号令にて皆が慌てて川に入り流れてくる気絶した魚を手づかみにする。

あっという間に数十匹の魚が今晩のおかずになる。


「なぁ ニーナいつの間に雷魔法を使えるように?」


「何をボケている、依然ボス戦にて魔導書が出てきたじゃないか」


 …ああ 確かに そんな事もあったかな? そうかニーナが雷魔法の対象者だったのか。


ボス戦での副産物で魔導書が出てくる事があるが、その魔導書は誰にでも扱える品ではない。

その魔法の適任者しか使用出来ないので、確認の結果ニーアがその対象者だった事があったな、とユウゾーはようやく思い出す。

自分は対象者ではなかったのですっかり忘れてしまっていたのだ。


楽しい夕食も終わり、皆でワイワイ賑やかに夜を過ごす。

なんせ ようやく大森林が終わり、皆も気分的に浮かれ出していた。



まる一日待機した次の日の夕方に別働隊がやってきた。

彼女等の苦労を労いながらその翌日に簡単な地図を見せてもらい、皆で検討会となる。


「大した魔物にも会わず、約一日の誤差か…皆どう考える?」


「安全性・水場と問題点はあるが、道路が出来上がれば中央突破が一番早いぞ」


「道路建設に置いて川筋は岩が多く難儀しそうだ」


「ユウゾーは何処に新拠点を構えるのだ?それ次第だ」


確かに今後の事を考えるなら、拠点位置も重要になる。


「そうだな…やはり何をするにも水確保が重要な事項だ」


都市を築くにも畑を広げるにも水が全て基軸となるだろう。


「ならばやはり草原の川沿いを探索して新拠点を探すしかあるまい」


全員が頷く、ユウゾー達が走破した場所まで数キロの移動誤差なら左程問題ない、途中にて2日に一度の移動した場所にて井戸も確保出来ている。


「よし ならば中央突破にてのルートにて提案するか」


新拠点の場所も確定したいが、今回はそこまでの余裕もない、次回の遠征時には決定したい。

さて 明日は新開拓村に戻らねばならない、色々な予定が詰まっているからな。



当面一週間に数回の投稿予定になります


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