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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
184/281

184 いざ 姫殿下の依頼


「決まっておろう、お前との縁組じゃ」


そう言って姫殿下は両手で自分の頬を押さえ、恥ずかしそうにしかしてその顔は喜びに満ちた笑顔で溢れていた。


 ・・あのー 良く聞き取れなかったのですが、もしかして…縁組と? 私と? いつの話?


横にいるギルマスとアーシャの二人も完全に固まっています…。

対面に座っている 大臣と将軍は うんうんと嬉しそうに姫殿下の可愛い仕草を見て、感激している。


「いやいや 目出度い 目出度い。酒がうもう御座います。まずは乾杯!!」


将軍の怒涛の勢いについ気迫負けしてユウゾー達は思わず乾杯と声を揃えてしまった。


 いやいや 違うだろう! グラスに入った酒を飲み干し、自分の置かれた立場に気づき慌てだすユウゾーであった。


「何をそんなに慌てておるのですか?まさか姫殿下との婚約の儀に不満でも?」


大臣が急に狼狽えて不満顔のユウゾーに不思議そうに尋ねる。


「何ですと?! 姫殿下との婚約に不満ですと! これほど素晴らしい殿下に不満を抱くとは何たる客分であるか! 人間ではない、怪異か魔物のたぐいではないのか!! ならば大将軍の端くれたる身共が天に代わり成敗してくれる。誰か!儂の槍を持て!!」


 ・・勘弁して下さい、何なんだこの三文芝居は。


ユウゾーは隣の席にいるギルマス等にチラリと視線を送りSOSを発した。

そんな視線を二人は 諦めろお前の負けだ と言わんばかりの視線をユウゾーに返し、美味しい料理の続きを楽しみだした。


 ・・・・了解です、白旗です。疑問など抱いた私が馬鹿でした。


「「そうか そうか 解ってもらえたか、不肖私共2名が今回の見届人となりもうす。目出度いのー おーい酒だ! 追加の酒を持ってまいれ!  姫殿下 ユウゾー殿 本日は誠におめでとう御座います」」


「有難う 二人とも。見届人の件良しなにお願いする。そうそうユウゾー殿 一つだけお願いが御座います。第一夫人の座は妾にお任せ下さい、その他のルールは全てユウゾー殿に従いますゆえ」


 ……はい、持ち帰り至急に他の妻達にも徹底いたします、、、。


 いーのかな、いいんだよね。もう俺の判断力が許容量オーバーになっています…。





「「「ええー!!! 姫殿下と婚約決定とな?!」」」


流石に急な報告に妻達は驚いているが、かと言って左程慌てた様子はない。

不思議に思い理由を尋ねると、、。


「何を言っておるのだユウゾー。当初から殿下はそう言ってユウゾーに近づいたであろう」


妻達が全員そうだ そうだと頷いている。

そうなんだが、、あの当時は何というかあまり本気にしていなかった・・

異世界人を他国に取られまいとの駆け引きに使われていたような・・


「「「何を言っておる、殿下は結構本気でお前に接しておったぞ」」」


 ・・済みません、イマイチ姫殿下の本気度が理解出来ずに、、。


どうあがいても蟻地獄に落ちたアリの気分しかユウゾーには分からなかった。


妻達は第一夫人の件も問題なく了解してくれた。

妻達に依ると第一夫人とか第二夫人とかには興味がなく、全てユウゾーが今まで通りに平等に扱ってくれれば問題ないと笑っていた。


 …はい、出来た妻達に感謝です。これからも頑張ります。


「それはそうと、挙式はいつの予定なんだ?」


流石に王族相手に明日から同居とはいくまい、それなりの手順が必要なのではと妻達が心配している。


 ・・それがな、、、。


 はい?! 大森林の先にある、大草原の開拓が挙式条件?!


妻達の頭の中が ? に占められていた、当然だ。

何故に挙式条件が大草原の開拓になるのか理解できないであろう。

当のユウゾーも説明を聞くまでは納得していなかった。


一番の理由はお互いの明らかな立ち位置の違いに依るもの。

つまり片方は王家の血筋であり、片方は迷人でありつい最近までは無官で土地も所有と言えるほどの土地など皆無に近い状態である。


無論ユウゾーは優れた力があり、先の戦いでも新武器供給によりあのチェチェ国を退けた中心的人物ではあるが、見方によっては平和時には官位的には左程必要とされない存在であろう。

平和時には土地を広げてより多くの食物等の安定供給に務められるのが良い領主の責務となる。


よって国内においてもユウゾーをよく知らない者にとって、何故に王族との血縁を? との疑問が浮かび上がる、ましてや国外では…。


事情をよく知らないものにとって、この国の王族自体が軽んぜられる可能性がある。

面倒だが王族との血縁はそれなりの相手が求められる事になる。


そしてこれはグレイシア本人が抱えていた夢の一つだが、彼女は建国に憧れがあった。

一から国を興し自分好みの都市を造り上げたいと言う野望とも思える夢が・・


当然夢は夢と思っていたが、ここに来て一人の男と出会う。

迷い人のこの男は常人には無い能力を授かり、この国の未来に重要な人物としてグレイシアは注目していた。


この男により造り上げられた新武器の数々にも驚かされたが、彼が作った街造りに一番驚かされた。

まさに無から有に瞬時に造り上げていく・・


この男とならば例え荒野での土地であっても、難なく驚くような都市造りが可能であると判断した。

ムクムクと心に秘めていた都市造り、建国に対しての夢が湧き上がってきた。


絶対にこの男を離してはいけない、既に6人の妻持ちにも驚かされたが些細な問題だ。

第一夫人の地位さえ確保出来れば後はどうにでも成る。


幸いに彼の妻達とも交流があり、皆それぞれの個性があるが強欲な者達とは思えなかった、いやそれどころかその日その日が楽しく過ごせれば良いと生活しており、妻同士の諍いもなく見ていて微笑ましい関係が妻達に見られる。


これは恐らく見かけ上は気弱で大した指導力もなさそうなあの男の隠れた何かであろうと感じていた。

事実彼の持っている知識はこの世界の者では太刀打ちできず、何気なく喋る一言に感心せざるを得ない。


この男とならば必ず楽しい未来の夢が叶うといつしか信じ込んでいた。

それとこの男は人を善人説と思っている節がある。

悪人説とまでは言わぬが、この世界で容易に人を信じるととんでもない竹箆(しっぺ)返しにあうと教えられてきたこの身には眩しく見えてしまう。


それが証拠に悪人ではないが、心の奥に人族に対する猜疑心が根強く感じられていたあのハーフエルフのキリアーナ様もあの男に接している時はわだかまりが消え去っているようだ。


それどころか心底楽しそうに話し込んでいる様子も見られる。

迷人に対してはなぜか心のそこから嫌っていたあのキリアーナ様が・・


 おそらく私の知らないあの人の何かをまだ私は発見出来ていないのであろう。


 ふふふ 楽しみです。まずは未知の大草原にて建国を開始させねばなりません。

 楽しい二人の未来の為にも・・





「ふぅーん よくわからんがユウゾーが望むならそれでいいぞ」


ミューを始め妻達は簡単に大草原の開拓に賛成してくれた。


「えーと・・皆はこの大森林が気に入っているのでは・・?」


「うん 将来はまた此の地に帰って来たいが、今はユウゾーが行くところに付いていくぞ」


ユウゾーは当初妻達はこの大森林から離れないと感じていた、暫し単身赴任?にて大草原にての区切りがついたらまた戻ってくる予定であった。


「だがユウゾー 大草原の件も大変だが、此の地と草原を結ぶ道路作りの方がもっと大変な気がするのだが?」


「うん それについては殿下より提案があったんだ」



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