182 いざ 俺は忙しい
お待たせしました、再開します。 ただ遅筆の為週に数回の投稿となります。
戦場から帰ってきたユウゾーは大忙しだった。
冬に備えてやる事が目白押しの状態であった。幸いにもカリナ達が気を廻してアレコレと手を打っていてくれたお陰で、何とか農業の方は少しの手間で目処がたったが、開拓村のユウゾー直営店は完全な品不足で、冒険者達から催促の嬉しい小言に応えねばならなかった。
鍛冶屋のドワーフからも錬金術でしか作れぬ特殊インゴットが足りないとぶうぶう文句を言われる。
おまけに新開拓村で貴族居住地の一部変更依頼まで催促される。
勘弁せい! もう手がまわらぬぞー。 ユウゾーは妻たちから励まされ必死に頑張った。
戦場帰りのエルフ達はこの世の春状態で2週間ばかり、飲めや 歌え と日中も風呂の入り放題にて満悦していた。
彼女達はよく働いてくれた。好きにさせてあげてくれ。感謝しかない。
そんな彼女達も冬が来る前に各村に旅立ことになる。
国からまだ正式な報酬が届いていないが、手ぶらで帰すわけにはいかない。
取り敢えず各村に白金貨10枚を代表者に渡し、後日国からの報酬が届いたら不足分を支払う事にした。
皆の魔法袋には食料品や日用品を土産として詰め込み、皆が名残惜しそうにこの村から各村に向かう。
皆に渡した新型魔法銃等は手土産に持たせる。
各村で有効に利用してくれ、国に売った品とは違い有効期限などないから、安心しておくれ。
無論 この件は内密に…。
彼女達が各村に帰った一週間後にチラチラ小雪が舞い始めた頃、女王陛下の特使が到着した。
報酬に関しての第一次報奨に訪問したという。
一次報奨? 訝しげなユウゾー達にまずは報奨金として白金貨50枚を手渡された。
現在 戦勝とは言え国内がかなりバタバタしているので、内政を固めてから後日に再度特使の派遣をユウゾーの元に送る旨の陛下からの手紙を手渡された。
どうやらその二次報奨が本命らしい…。
何となく嫌な胸騒ぎがするが、勘違いならいいな…。
「おう 来たかユウゾー、待ってたぞ」
「ヘイヘイ おまたせです」
開拓村の貴族街にギルマスに案内されて、中央部にある屋敷に到着した。
「ここの屋敷の外壁の囲いをもう1メートル増加と出来る限り丈夫にと依頼内容だ」
「…ここって2区画分を所有している屋敷ですね」
「…まあな 色々注文が多くてな」
「本屋敷の他にも建物が作られてますが、何方が住むんですか?」
「…最低公爵クラスとしか連絡がないのだ、まぁ先方も色々と都合があるのだろう」
母屋もそれなりに作り込まれている、こんな僻地に少し場違いな建物にも見える。
「…まぁ 騒ぎさえ起してくれなければいいけど」
「ふむ 気にかけておこう」
「では 早く片付けるとするか」
ユウゾーは魔力を練り始める。
共同風呂にて今日一日の疲れをとっているユウゾーだ。
子供たち二人を膝に乗せて幸せな時でもある。
「「お父様 もう出たいよ」」
「いやいや ちゃんと肩まで入って温まらないと駄目だぞ」
「「お母様 お父様が意地悪する」」
湯船で子供たちはジタバタ暴れだし、逃げ出そうとしていた。
「「はいはい ならばあがろうか」」
一緒に入っていたアーシャとニーナが笑いしながら子を抱き上げる。
「「じゃ ユウゾー先に上がるからな」」
「おう 俺はもう少しのんびりするわ」
ユウゾーはようやく一人でゆっくり出来ると大きく背伸びをした。
此の村に帰り着いてひと月が過ぎ、ようやく落ち着いてきた。
明日から一週間薪割りを終わらせれば。後はハウス内の雑用だけになる。
もう少しすれば本格的な冬になり、雪もつもり始めるだろう。
皆が温室ハウス内にて時間を過ごす平和な時までもう少しだ。
来年の春にはマーラとライラが子を抱いて帰ってくる。
うん 少しずつ異世界にて根を張り出してきたな と実感した。
転移当初の洞窟生活からは、考えられない変化になってきたと思い返す。
これからどうなるか予想もつかないが、この生活を守っていくだけとユウゾーは強く思う。
本格的な雪となり、皆の活動が終わりハウス内でお喋りやゲームで過ごす時間が多くなってきた。
どうでも良いが寮や家にはちゃんと暖炉があるよな、何故にここに集まる。
そう愚痴るユウゾー自身錬金室に籠もらずこのハウスに来ている事を忘れている。
今年は時間が無かったが、来年は皆が集まる温室ハウスを増設するかと、雪見酒の最中の妻やカリナ達を見つめながら考えていた。
酒飲み達は不思議なもので一人がふらりと来て飲み始めると、まるでそれを合図のように一人また一人とこのハウス内に手につまみ持参で集まってくる。
「「お酒 くちゃい」」
元気にハウス内で遊んでいる娘達が皆に文句をいうが、最初だけ申し訳なさそうにしているが直ぐに忘れて皆と酒談義に移る、これにマーラがいたらどうなるか…。
さて 夕方になる前に村の外壁点検に出かけるかとユウゾーは重い腰を上げる。
何人かが酔い醒ましで付き合うと同行してくれた。
ミーアが迷惑そうにメンツを見ている。
これミーアお前は酒を飲まないから一番信用しているからな と一応ヨイショをしておく。
任せろ とミーアが嬉しそうに胸をはる。
ふむ ミーアの豊かな胸に思わず目線がいくが、他の妻たちの冷徹な目線に思わず取り繕うユウゾーだ。
雪は10センチほどで歩くには問題ない。
今日は自宅の外壁チエックなので少し時間がかかる。
敷地は400メートル四方に広がり、外壁の様子を見ながらの作業となるとそこそこ時間もかかる。
ミーア達は何か獲物がいないかと森の中を注意深く見ている。
ここは一角うさぎの上位種の二角兎をよく見かける。
一角兎より大型で肉も毛皮も良いので、食料にもギルドで売っても高く引き取ってくれる。
まぁ 我が家はいくら肉があっても困らないし、ケイトの屋台スープにも利用できるからな。
そうだケイトと言えばケイトの繁盛に目をつけた他の屋台が集まりだし、小さな西門近くはそれなりに賑やかになっている。
冒険者達だけではなく、住民たちにとっても憩いの一角となっているようだ。
ケイトは一日中働いて稼ぎたいようだが、それは禁止している。
午後はお勉強の時間と子供らしく遊びの時間と割り切らねばと教え込む。
午後のお勉強の後開拓村によく出かけては、仲の良い子達と楽しそうにしているのを西門の警備兵達から報告もある。
たまにそんな子達を連れて我が家の敷地内でも遊んでいる。
無論冬場はそんな姿は少なくなるが。
子供たちは元気だ、よほど寒くなければ外で楽しそうにしている。
ケイトのお母さんが家に入れてよく手作りのお菓子を食べさせている、半分はそのお菓子目当てであろうが、冬の間は部屋にいる時間が多い子供達にとって安心して遊べる場所は我が敷地内であろうから文句なんかは言うはずがないからな。
冬は段々と本番となる。家に籠もる時間も増えてくる。
おい ギルマス…。ギルドは大丈夫なのか?
えっ 冬場の吹雪が続くと暇だと? …そうか。
確かに冒険者達も吹雪時の魔物狩りなどしたくないわな。
第一魔物も動きたがらないしな、ふーむ 冒険者達も暇を持て余しているか。
何か活用法を考えてみるか…。
うーむ 良い考えも浮かばんな。
室内作業を委託するのも良いが、無骨な冒険者達となると…。
駄目だ イメージが沸かん。
御免 今後の検討とさせてもらおう。
それより直営店で売る新商品を考えねば、酒飲みで賑わうハウス内でユウゾーはない頭を振り絞り考え始める。
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