表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
178/281

178 いざ 砦攻防戦3


敵が夜通し何波にも渡り攻め込んできた、その様子は如何にも何かから此方の目を塞ぐような感じが見受けられる。


敵の攻撃の最中数名の見張役を選定して、砦の端から山の切れ目を目指し移動させる。

何か異常があれば直様連絡するようその者達に申し付ける。

其の中の1名にエルフを選定した、最悪その強力な武器で仲間の安全と敵の動きを牽制する為だ。


「敵が来たぞ 攻撃準備!」


夜間はさほど多くない敵が交代にて押し寄せてきたが、昼間はそれなりの敵が砦を押しつぶす勢いにて攻撃を開始してくる。

徐々に守る砦兵達も疲れや負傷者兵が増え始めて敵の撃退に時間がかかってくるのは致し方無い状態であろう。





「おう 登れば登るほど戦いの怒声が響いてくるな」


ユウゾーの側から離れずに行動を一緒にしているミーアが、さかんに尖った耳をピクピクと動かしながらユウゾーに報告する。


「…確かに俺の耳にも戦いの怒号の声が聞こえている。急ごう」


ユウゾーに率いられている10名のエルフ達も互いに頷き合い、山頂の砦に向かうのであった。




「ニーナ ニーナはどこだ?! 俺だ 応援を連れてきたぞ」


ユウゾーの呼びかけに砦の上部にいてエルフ隊の指揮をとっていたニーナが反応した。


「ここだ ユウゾー支援助かる。下の柵の攻撃窓から敵の一掃を頼む!」


その声に皆が反応する、攻撃窓で必死に敵と戦っている兵達も疲れ果て今にも座り込みそうな兵達に替わり応援のエルフ達がサイコガンにて敵の掃射を開始した。


「す 済まない 支援助かる…」


交代した兵達が力なく柵に寄りかかり座り込む。

よく見ると体中傷だらけでかなりの血で服を汚していた。

よくぞこんな状態で戦っていたものと横目で兵達を見て感心していた。


「それ この薬を飲め」


そんな様子を見ていたユウゾーが魔法袋よりポーションを取り出し交代した兵に投げ渡した。

ユウゾー特製の限りなく上級に近いポーションだ、直ぐに効果が出るだろう。


「うおー な 何だこの効能は?傷があっという間に塞がり力が湧いてくる!」


その様子をユウゾーは横目で見ながら柵の上部にいるニーナの元に駆け上がる。


「ご苦労だったニーナ 挨拶は後で先に敵を蹴散らすぞ」


「おお 頼む。かなり押され始めていた所だ」


元気なエルフ達が10名各々の場所から敵掃射を開始した事もあり、徐々に敵の勢いがなくなりやがて一旦引き揚げるまでになった。


「おお ユウゾー殿久し振りだ。支援有難う、少し一息入れる事が出来た」


久しぶりに会う砦の守備隊長が駆け寄ってユウゾーに礼を言った。


「なんの それよりかなり味方の兵の衰弱や怪我人が多く見られます。良ければこの持参したポーションを兵に与えて下さい」


ポーション関連が入っている袋を隊長に手渡した。


「ユウゾーのポーションは効くぞ、お陰で三日徹夜でも此の通り元気だ。そうは言ってもそろそろ我がエルフ隊も限界に近づいているがな」


ニーナも思ったよりも元気に笑いながら答える。


「おお エルフの皆さんが元気だったのはこのポーションのお陰ですか。有り難い 遠慮なく頂き皆に与えます」


袋の中身はユウゾーが片手間に作製した限りなく上級に近いポーションが三百本ばかり入っている。

当面負傷兵を中心に回復してもらおう。


軍でも用意はしてあるが基本下級ポーションが主体だ、中級ポーションはかなりの負傷兵しか投与されないのが現状だ。


同じ中級ポーションと言いながらベースは上級品の70%落ちであるユウゾーのポーションとは効能が段違いに効果を現す、そして上級ポーションの特製でもある体力回復においても違いが出てくる。


「ポーションを飲ましたらとりあえず半数は休憩させてあげて下さい」


次の戦いまでは此方は20名のエルフがおりますのでご安心を そう言って疲れている兵達を眺めながら提案をする。


「誠に感謝いたします。負傷度や疲れの限界に近い兵を休ませて頂きます」


隊長はユウゾーの言葉に感極まり何度も礼を述べて兵達にユウゾー特製のポーションを配布している兵達の様子を観察していた。


「所で少し気になる事がある。敵の様子から山を大きく迂回しながら敵兵が近づいてくる可能性がある。味方の到着情報は何か聞いていないか?」


「残念ながら細かい情報は入っていない、只出る間際にギルマスに確認した所恐らく最大でも二日遅れで麓に到着するのではないかと話していた」


この場所はオレオンからの移動が少なくて済む、なれど首都部隊ももしかに備え兵を場内に集合させてある、それから判断すれば二日の誤差で済みそうだとギルマスが話していたのだ。

ただ大軍の移動となる、着のみ気のままに移動出来るはずもないから、最大で早くても二日遅れと考えるべきかもしれない。


事実味方の部隊が到着したのはまる三日後で、到着の麓からの狼煙が中間地点にいた妻達が確認出来た。

この間中間地点にいるエルフ達が交代で砦に支援を取り続けていた。


「ユウゾー 右側面の山から敵が襲いかかってきておる、そろそろこの砦も限界だぞ」


二方向からの攻撃にようやく耐えていた兵達も押し寄せる敵兵の多さにかなり押され始めていた。

逆に敵兵はここが落とし所と雅羅武者になって攻め込んできた。

地の利がなければ早々に砦が落とされていた事は明白であった。


「うーむ まだ味方到着の知らせが…」


味方の数は半数近くまで減っている、本来この辺りが退却限界ではあるのだが、、、。


「おい 誰かエルフの者が麓より駆け上がってくるぞ!」


目の良いミーアがはるか下より駆け上ってくるエルフに気がついた。


「うむ 到着の知らせか それとも…」


良い知らせか 悪い知らせかを運んでエルフの者が懸命に砦に走り込んでくる。

皆がそのエルフの者が到着するのを首を長くして待機していた。


「…だ 麓に到着の狼煙だー」


近づいてくるエルフが懸命に大声をあげて砦に向かい大声で伝える声が届き始めた。

途端に砦内から大きな歓声が響き渡る。


「し 静かに、敵に悟られてはならぬ!」


待ちに待った退却命令だ。騒ぐなと言われても騒ぎ出すのは無理はない、それを懸命に守備隊長が諌めて矢次に指示を出す。


「負傷兵を中心に先に退却だ、負傷兵にはありったけのポーションを飲ませろ。武器鎧は脱ぎ捨てよ、身軽になって麓まで駆け抜けるんだ」


「途中の中間地点にエルフ達が待機しておる、そこまでは何としても死ぬ気で走れ」


ニーナが声を張って兵達に教え込む、 おおー と次々に兵達が砦から退却開始を始めた。

動けない兵もエルフ達から分けてもらったポーションにて何とかふらつきながらも麓へと走り出した。


「よし 荒方退却が終わったな、敵が再度攻撃開始前までに間に合って良かった。さあ隊長達も行かれよ後の殿は我らエルフ隊が引き受ける」


「いや それは余りに甘えてしまう、残りの兵で我らが務めさせてもらう」


問答をしている暇はない、もうすぐ敵の再度攻撃が開始される筈だ。


「心配はいりません、我らにはこの武器がある、敵の追撃を防ぎながら後を追いますので早く行かれよ」


無理矢理に最後まで残っていた隊長等を追い立てて、ユウゾーは残った10名エルフ達に向き合った。


「さて 最後の戦いだ、無理は禁物だよ。全員無事に帰還するからね」


此の場でしばし待機して敵の追撃を防ぎ、味方の避難を助けねばならない。




「うむ 何やら敵の動きがあるようだが?」


「ふーむ もしやして退却指示かも?」


将軍と軍師がしきりに敵の動きを判断しようと砦方面を覗き込んでいた。


「うむ それに違いない、砦の上部にいた者がかなり少なくなったような様子だ」


「ですな 将軍ここは押し時ですぞ!」


「よし 攻城車を投下して門の破壊を開始せよ!」


おおおー 動きが活発となり敵兵が慌ただしく動き出した。



「来るぞ!攻城車が10台程運び込まれてきた」


それに続いて続々と敵兵が広場に登り上がってくる。


「ははは 感づかれたな、でも少し遅いんだよな」


敵もこれまでと違いかなりの人数を広場に展開し始めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ