表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
175/281

175 いざ ユウゾー隊出撃依頼


大森林の入口に大規模な外壁を造り上げたユウゾーは我が家へ帰還する。

秋の収穫が開始されるのがもう間近にせまっている。


ここでニーナには申し訳ないがオレオンに5名のエルフ達と旅立ってもらう事になる。

オレオンに各村からの戦士が集合するので、そのまとめ役に成ってもらう為に都市に待機するのだ。


 任せろと ニーナ達は新開拓村から定期便馬車にてオレオンへ向かう。


秋の収穫が完了次第ユウゾー一行もオレオンへ直行予定となる。

今は収穫作業に注力せねばならない。





「おお 今年も豊作だぞ」


収穫に皆が懸命に畑を動き回り作物の刈り取りに汗を流していた。

今年はエルフ達の人数減の分、ミューの村から5名の移住者等の応援を受けてそれなりの速度で刈り取りを続けている。


昼は収穫 そして空き時間を見かけてはユウゾーは何かコソコソ何かを作り始めていた。

妻達は恐らく此度の争いに関係する事だろうと黙ってユウゾーの動きを眺めていた。




ほぼ今年も収穫が完了する頃に、例年より早く第三村の補佐役ミランダさん一行がやってきた。


 はて 今年は少し早い気がするが…。


訝しげな顔で一行を出迎えるユウゾー達である。

そんな様子を直ぐに理解したのかミランダさんがにこやかに説明してくれた。


当初マーラはこの新開拓村にて子を生むつもりであったが、今回緊急の用で村に帰り着いたエルフ達からオレオンへの出撃依頼とマーラの懐妊の知らせが届いた。


出撃依頼は直様オサからの承諾がとれ、既に10名の腕利きのエルフ達が意気揚々と出かけたとの事。

事がマーラの話になり、本人はこの新開拓村での出産で構わないと言っていたが、初産でもあり勝手知ったる村での方が本人の気持ちも落ち着くだろうと 迷惑でなければライラ共々第三村にて引き受けるのが良いだろうとなった。


当初マーラは少しグズっていたが、恐らく村を出た者が迷惑かけられないと考えていたのだろう。

半分諭し半分恐喝?によるミランダさんの説得に承諾して、ライラ・ブラハと共に第三村へ向かう準備に余念がない状態だ。

旅の疲れを数日癒やしてもらい、エルフ村一行とマーラ達は第三村へ戻っていった。


昨夜のミランダによる()()()()()のお陰で腰に少し疲れが残ったユウゾーだが、今日も元気に畑仕事を開始する。


予定する食料の売買も完了して、ユウゾー達はオレオンへ向かう準備を開始する。

この村にカリナが責任者として、カリナ達3名とミューの部族の5名が留守居役となる。


他の妻達はユウゾーに同行しオレオンへ向かうことになる。

開拓村にて馬車の手配も終わり家の皆に送られて一路オレオンに馬車を走らせる。




ユウゾーとアーシャ・ミーアそれにミューの4名が取り急ぎオレオンまで到着した。

ギルマスに挨拶に向かうとニーナがギルマスと共に出迎えてくれた。


たまたま作戦の打ち合わせでギルドに訪問していたらしい。

丁度いい 宿になる借家に案内してもらう。

道すがら最新情報を聞くとチェチェ国に動きが見られるとの事。


その件でギルマスに呼ばれていたようだ。

内定者の報告に依るとかなり大きな動きをしているので、侵略活動で間違いないとのことだ。


 そうか やはり動くか、大人しくしていてくれれば良いのに…。


其の夜他の借家に分散しているエルフ達に集まってもらい今後の作戦について説明するつもりであったが、第一村からは今だエルフ達が到着していない事が判明。


第二・第三村のエルフ達はもう一週間前には到着しているのだが…。


「もしかすると派遣で揉めているかも」


ニーナが少し困った表情でユウゾーに報告する。

保守派の中でも特に頑固なオサがいる事は聞いていたが、なかなか昔からの生活パターンを崩せないように思われる、最悪ここにいるメンバーで対応するしかないか ユウゾーはそう考えていた。


後から遅れてくれば二度手間になるが、先にここにいるメンバーに今回の作戦について説明を始める。

今回一番の肝になる激戦地の砦内での攻防戦は第三村が対応する。


只恐らく敵の猛攻が昼夜に渡り戦闘が続くことも考えられるので、後方に補助人数を待機させ定期的にエルフ達を交換させ無理がないように検討している。


最終決戦場では正面より向かって左手の岩山に第二村の精鋭、そして右手の岩山に第一村のエルフ達を予定している。


万一第一村からの支援が間に合わねば、ユウゾーの妻達にその代わりをお願いするするしかない。

その後細かい話し合いが行われ、各村の役割分担を徹底する。


明日1日準備期間として、まず第三村の戦士10名とニーナが先発隊として砦に向かってもらう。

砦はここから馬車で3日ほどで到着する距離となる。



馬車2台にて支援物資も積めて、大変だが皆に見送られて砦に向かう。

馬車はギルマスが業者も手配してくれて大変助かった。


チェチェ国の情報は毎日のように届いてくる、内定者が必死になり集めては国に伝令を発しているのであろう。



其の日がついに来た、伝令が慌ただしく駆け込んできて 敵が動いた の一報が届く。

ギルマスが冒険者の傭兵を集合させ砦方面に向かう手配を指示していた。


ここに伝令が着くまでに当然時間差がある、ユウゾー達は明日傭兵たちと砦に向かうが明日には砦では戦闘状態になっている可能性がある。


砦のニーナ達が心配だが、今は無事を祈るだけだ。

借家にて明日の準備に追われている最中に、遅れていた第一村のエルフ達が到着する。


到着したエルフ達はかなり疲れている様子だ、遅れた訳を聞いてみると やはり村で長老たちが反対をしてなかなか意見がまとまらずに、最後は見切り発車に近い状態で10名のエルフ達が村を飛び出し懸命にオレオンまで走り抜いてきたようだ。


 済まない 支援の件有り難くお礼を言う。後日ユウゾーも第一村へ訪問して今回の礼を言わねばと心に決めた。


取り敢えず間に合ってよかった、明日なら行き違いになる所だった。

今日は美味い食事と早めの就眠で疲れを癒してもらおう。

作戦の件は移動しながらで良いだろう。


次の日は朝早くから馬車に乗り込む傭兵の集団がいる。

ギルマスも鎧装備を身に着けてテキパキと指示をだしていた。


 本当にギルマスも行く気なんだ、、、。


このオレオンからは約70名ほどの傭兵が参加する。

首都からは約百名を超す傭兵が来る予定なので、計二百名程の傭兵部隊となる。


ユウゾー達も二台の馬車に分かれて乗り込み、準備の終わった馬車から順に動き出す。

他の傭兵たちには悪いがユウゾー達は先に動き出す、急ぎ砦に向いエルフ達の交代要員を送り届けなければならない。


無理を承知で馬車で3日の距離を何とか2日にて走り抜けて、無事に砦の麓に到着する。

山道の途中に休憩用の広場が一箇所切り開かれている。

そこまで馬車で運んでもらい、馬車は引き返す事になる。


この広場で野営の準備を第一村のエルフ達にお願いして、ユウゾーは妻達と交代要員の10名のエルフを連れて砦に向け小走りに走り出す。




「おうおう 来るわ来るわ」


ユウゾー達が到着する数日前に砦の広場の前方にて遠くを伺う数名の者達がいた。


「うーむ 某にはよく見えませぬが、何やら遠くから登ってくる集団らしきものが…」


かなり離れた地点で小さな虫が蠢いているような気がすると砦の責任者がニーナに呟く。


「うむ 間違いなく敵兵だ。どれほどの兵力かは判断がつかぬが、まず万は下るまい」


ニーナが自慢の目で遠くに移動している軍隊の数を判断した。


「左様ですか・・とうとう開戦ですな」


「だな 到着は夜になろう、恐らく山道の途中にある大広場にて幹部クラスが泊まり込み明日朝には此方に向けて進軍してくるな」


夜間戦は初日からは考えられないが、念の為斥候も出し遠くから監視体勢を一晩続ける予定だ。


「さて 最終準備を終わらせ、体力保存に今夜は努めよう」


踵を返しニーナ達は皆が待っている砦に歩みを始める。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ