表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
174/281

174 いざ 大森林門造り


砦から麓に降りて決戦場の最終確認を行う。



山道が終わるその場は三角洲のように平地が広がる、両脇にはまだ山の名残が残るように低い岩山が続いている。

そしてこの三角洲は5百米程先まで広がり、その先はこの国が誇る大農園地帯へと継る。


「ここだ この三角洲に敵を止めて決戦場とする」


ニーナが改めてこの奥行き5百米横幅最大4百米程の地を眺めている。


「…敵をこの三角洲から出さぬようにするのじゃな」


ギルマスも周りを注意深く観察している。


「そうだ この三角洲出口に蓋をするようにこの国の軍を配置する、そして…」


この両脇の岩山に攻撃砲を持つ伏兵を両脇に密かに配置する と説明を続けた。


「うーむ 敵の前方には味方の攻撃砲100 そして岩山にエルフ隊の持つ攻撃砲30にて開戦と同時に集中攻撃か…」


恐らくその威力に敵軍は大パニックを引き起こすだろう、慌てて指揮官は来た道から引き返し体勢を立て直そうとするが山道は狭い、パニックを起こした兵達が我先に逃げ出そうとするが先がつかえて動きがとれない。


そこへ味方の軍が突入、岩山からの支援攻撃も加わり計算上は途轍もない被害を与えることになる。


「…何か 敵が哀れになる気がするな」


「ユウゾーそれは違うぞ それが嫌なら他国に攻め込まねば良いのだ」


 ごもっとも…甘い考えは自分達が窮地に陥る可能性がある。


「全ては此の地に敵軍を誘い込めるかにかかっているのだな」


敵は頭脳戦にも取り組み始めた事だし、甘く見て失敗したら禍根を残すことになる。

敵に仕切り直しの日を与えずに壊滅状態に近い損害が出れば今後の対応も変わってくるのだ。


場合によってはこの戦いの戦利を手土産にステア国と有利な同盟を結ぶことも可能だ。

そうなればチェチェ国はこの国への侵略を考え直す事になるであろう。


其のためにも今回の戦いは勝たねばならない。

それが大森林の平和に継る事になるのだから。



最後に三角洲の両脇にそびえている岩山へ苦労しながら登ってみる。


「おう ここからなら狙撃がバッチリだな」


高さ40米程の所に人一人移動できる場所が見つかる、一応反対側の岩山を確認してみたが共に移動可能な場所がある事が判明。


「これだけ幅があれば前方でも後方でもさほど苦労なく移動できるぞ」


ニーナも臨機応変に場所変更が可能な地形に喜んでいた。


「ふうむ 下の敵の様子が丸見えだな。真下は流石に死角になるが敵が壁いっぱいに陣を広げるとは思えぬからな」


ギルマスも攻撃に関して問題ないと判断したようだ。

現場検証も問題なく終了してユウゾーの一行はオレオン都市に馬車を走らせる。




「おお キリアーナ様 今王都からの帰りですか」


筋肉自慢のギルマスがにこやかに出迎えた。


「ユウゾーもご苦労だったの、して首尾は?」


王都での出来事をオレオンのギルマスに報告する。


「なる程 決戦場は麓の三角洲で雌雄を決するのですな、腕がなるワイ」


いやいや 基本ギルドは内政不干渉でしょう、傭兵に関しては個人の自由だが、もろギルド関係者が大手を振って参加は不味いでしょうが…。


「なんの 身分を隠して参加しておれば問題ない」


知らんぞ…後日絶対問題になるな これは。


「それより先程のエルフ殿達の滞在の件、何名になるのかな? 至急借家を安く…ゴホン何件か手配しておかねばな」


各村から計30名それに現新開拓村にいる者と合わせて40名程にはなると説明する。

場合によっては人数が前後するが、そこはギルマスに宜しく対応をお願いする。

後日ユウゾー達もこの合戦に参加するために再度オレオンに訪問するので、其の時に更に細かい打ち合わせを行う。




皆の待つ新開拓村にようやく帰り着く。

寮にいるエルフ達も集めて、まずは大筋でのこれからの方針を皆で話し合う。


「なる程 一旦各村に帰り各村から精鋭を集めてオレオンまで移動すればよいのだな」


「スマンが先にオレオンで集結していて欲しい」


もうすぐ秋の収穫が始まる、此方を片付けてユウゾー達もオレオンに向かう手配だ。

だがその前にやるべき事がある、大森林の防御用に門を築くことだ。


帰りしなに開拓村のギルマス代行のダンカン氏に事の次第を説明しておいた。

本人はかなり驚いていたが手伝いの人足を手配して待ってもらうことに成った。


翌日には寮のエルフ達の半分が各村に出発する。

念の為にオレオンまでの旅費をユウゾーのポケットマネーから出して手渡す。


ユウゾー達も数日家で骨休めをすると慌ただしく第一開拓村へ向かう。

やることが沢山ありなかなかゆっくりする暇もない。


今回参加する妻達はアーシャとミーナそれにミューの三名とプラハも門建築に参加したいと手を挙げる。


 構わないが、カリナ達が寂しそうにしておるぞ…。


10日もすれば帰ってくるからカリナ達は農園頼むぞ。




第一開拓村にて手伝いの人足を連れて大森林の入り口に到着した。


 えーと 両開拓村のギルマスまで参加しなくとも、、そうですか 私の仕事ぶりの監視ですか…。


取り敢えず明日の一番から作業開始になるので、今晩は飲みますか…。

人足達の仕事は外壁の門を丈夫な作りで作製してもらう事だけなので、木製の門をある程度の強さで作製してもらえれば後はユウゾーの土魔法で門を補強すれば当面は問題はない。


翌日朝一番からユウゾーは大森林の入り口を塞ぐ外壁作りを開始した。

横幅は約百米ほど高さ3米の外壁を1日かかり仮設置した。

中央部に門を作るための幅5米の隙間を空けてある。


「ほう 見事に外壁が出来上がったな…」


ギルマス達が感心して仮外壁を眺めていた。


「一人だからな 焦らず明日もこの続きをするだけだ」


翌日は此の上に更に3米外壁を積み上げていく。

そして更に次の日には高さ8米の外壁が出来上がった。


残りは壁の厚さと強度の増強に3日かかり計6日にて、大森林の入り口に堅牢なる外壁が完成。

人足や職人により5米四方の観音開きの門がはめ込まれ、最後の仕事とユウゾーが出来上った門に補強の魔法をかけて仕事完了となる。


早速皆で階段を登り外壁の上まで上り前方に広がる景色を眺めていた。


「す 凄いな この外壁がわずか一週間で完成するとは…」


プラハや土魔法の使い手数名のエルフ達により外壁を登る階段を4箇所作ってもらった。

非常時はこの階段で外壁の上部に登り敵を迎え撃つことになる。


「うーむ 外壁の厚さは1.5米程だかユウゾーの補強にて王都の外壁にも匹敵するほどの頑丈さがあるからな…」


妻やギルマスも感心して大森林を外敵から守る防御壁の完成を喜んでくれた。

後は何年かに一度補強の魔法を掛けていけば劣化もないだろう。


門は約束通り通常は開けっぱなし状態だが、何かあれば鉄壁の守りに変化する。

丁度オレオン方面より定期便の馬車と商人達の品物を満載した数台の馬車も到着する。


皆がその出来上った門を驚きながら見上げて大森林の開拓村へ移動していく。

後何日か経てばオレオンにもそして王都にもこの外壁完成が伝わるだろう。


さて 我々も新開拓村へ帰ろうか、秋の収穫がそろそろ始まるぞ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ