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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
17/281

17 いざ 開拓村


ミューが無事に岩塩採取から帰って来た。

行き帰りそれぞれ一回魔物と遭遇したが、何も問題なく退治した。

特に帰りは3百kg程の猪と対峙したが、綺麗に首を切り裂き袋に回収したとの事。


顔がニヤついてる。あまりの切れ味に嬉しかったのだろうな。


ミューの頭をよしよしと撫で回してあげた。


早めに食事と風呂を済まし、ユウゾーは明日の旅立ちに備え二人分の食事を5日分作り魔法袋に次々と収納していった。



そして最後の朝食と最終の片付けを済ませ、木製のドアの上から生活魔法の土魔法で偽装すると、ミューと共に開拓村を目指し歩き出す。


本日は晴天にて暖かい日になりそうだ。






途中道中も極めて順調。

ミューが普段見逃すような魔物も喜々として退治していく。

余程剣が気に入ったのか?


この道中でユウゾーも剣デビューを果たす。

退治した半分は剣にて対応でき、今後の進展が期待できる。


4日目の事、ミューが弓の矢の残りが少ないと言うので、残り矢の中から程度の良い矢を選び、複写にて100本作り渡してあげるとまたもや目を丸くしていた。

いい加減 慣れなさいな。

 

 



そして5日目久方ぶりに見る開拓村の門が見えてきた。


「ミューお帰り。兄さんも久しぶりだな あれ、鎧がかわってないか?!」


門番の兵士が挨拶もそこそこにミューの鎧に気が付き、あーだこーだと二人のお喋りが始まる。自慢気に剣も見せ、なかなか門の中には入れない。女性同士の会話に口を入れるとろくな事にはならないので辛抱だ。


ようやく一区切りついたのか認識板を見せて村の中に入る。

ミューはもの凄く褒められたと終始ご機嫌の様子。


商店に品を納めクエスト完了。

さて 次はユウゾーの旅費稼ぎの番だ。ミューも一緒に着いてくるそうだ。

魔道具屋に入る時客とすれ違う、服装からかなり名の売れた商人かも。


「いらっ……噂をすれば影だね 来るのを待っていたんだよ」


挨拶も中途で魔法袋を催促される。苦笑しながら魔法袋を2つ手渡す。

じっくり鑑定し満足気にうなずく。でも目が何かを訴えている。


「追加の参考出品だ」


ユウゾーは魔法袋からさらに魔法袋を笑いながらカウンターに置いた。

しつこい程の鑑定を行い、ここではまずいから奥に入れと催促される。

応接室に入るとテーブル上に3つの魔法袋を並べ其のうちの一つを指で指し


 「こんな馬鹿げた商品よく作れたね」

半分怒気が感じられる口調だ。


 「はて なんの事だ」


 「おとぼけ聞いてる暇はないよ」

苛ついた口調で食って掛かってきた。大きく深呼吸をするとさらに続ける。


 「他の2つは言い逃れはきくが、これはあってはいけない品だ」


 「……では商売不成立でよいか?」


 「冗談じゃない! 私がひきとるよ!!」

慌てて3つの魔法袋を両手で引き寄せたアリア店主であった。


 「どうすれば良いのだ」

自然と笑いがでてくる。


 「はぁ 迷い人はこうも意地が悪いのかね…」

大層なため息と共に頭を抱えるふりをする。


 「内容量600kg 時間経過1/6…世の中に出回っていない商品だわ」

怒った口調で説明をした。


ミューがわずかにピクっと反応した。彼女に渡した品の価値を改めて認識した事による反応だろうとユウゾーは感じた。

さて 買取価格をどうしたものか… アリア婆さんは考えこんだ。


 「駄目だね 予想がつかない価格だ。よって暫定方式をとりたい」


 「暫定方式?」


 「その名の通り暫定だよ。とりあえず価格をつけて大きく差異があれば、後日差額を支払うやり方だわさ。無論私を信用して貰うという条件付きだけどね。信用できんと思うなら残念ながら不成立だわね。どうする?」


 「任した」


 「へっ! いいのかい?やけにあっさりだが…」


 「騙されたら、私の目が曇っていたと諦めよう」


 「…ふぅ 兄さん 女だねー」


 「?私は男だぞ…」


 「この世界の男は打算で生きているからな」


 「…なる程 女と言われると今一納得できんが…まぁよい」


ならば契約書と金額を用意するわな と婆さんは奥に引っ込んだ。

ミューが小さな声で ユウゾー私があずかってる袋も…。

ユウゾーはにっこりと頷いた。

 

 「待たせたな。2つの袋の単価は前と同じと考えてくれ」


5200万用意した。 そう言って金貨52枚を差し出した。

数を確認し受領書にサイン。そして暫定契約書にサインし一部を預かった。

前回は確か@1100万だから2つで計2200万 例の袋に3千万の暫定価格をつけたのか、妥当な線だな ユウゾーは納得した。


その後暫く腹の探り合いを兼ねた雑談を交わし店から引きあげる段階で、ふと思い出した素振りで半年位この村に来ることはないので、売却に焦らなくとも良い旨を伝える。


序に店内の魔道具を数点とポーション関連で良い店を紹介してもらう。

別れ際婆さんの目がブルーから濃いグリーンに変化したのを見逃さなかった。

さり気なくコートで魔法袋を隠した。

 

 「そんなに警戒せずとも物に触らなければ鑑定できんしな」


嘘を付くな、コートで隠した時一瞬悔しそうな顔したのを見逃さないぞ。まったく気の抜けない婆さんだ ユウゾーは作り笑いを浮かべる。


 ふふふふふふふふ…

 はははははははは…


腹黒い二人の声が店内に響く。

店を出て次の店に行く間ミューは小さな声で3千万 3千万と呟いていた。

うるさい こっちゃ!

まあ家族数人なら百万ゼニーで半年は暮らせるらしいしね…

 


紹介された店にて上級と中級ポーションを各二本購入。

他にマナポーション関係も買い求め、冒険ギルドに向う。



 「お久し振りです ユウゾーさん ミューお疲れ」


ライラさんも元気そうでなにより。時間的にも暇な時らしく他の職員も此方を確認すると軽く挨拶をしてくれた。

カウンターにて売却予定の大量の魔石を並べる。

数人の職員が慌てて応援に集まってきた。訪問期間が長かったのでそれなりに数があり申し訳ない。


ミューは裏の解体場に魔物を持ち込みに行ったようだ。

ミューにユウゾーが解体しきれずに袋の肥やしになっていた魔物を譲渡したので、それなりの数と金額が稼げるだろう。


魔石の数を確認が済んだ頃、ミューもにこにこしながら帰って来た。


 「……以上の分類で計313個の魔石代が58万ゼニーになります。」

 

ついでに先程の売上金のうち金貨40枚もカードに入金をお願いする。

ライラさんが固まった…。 


固まったライラさんを揺り動かしながら初心者講義の件を確認する。

今回もミューと同行5日をこなしたので2回目と認定してくれた。

序に他のギルドで3回目の認定が可能か確認してみる。

カードに記録が残っているので可能との事。


その質問で何かを感じたのかライラさんが、心配そうに尋ねるので半年ほど外の空気を吸ってみようかと考えていると正直に話すと、今度はミューが騒ぎ出し両方を宥める始末になる。


 「その話し少し詳しく聞かせい」


その声は…やはりギルマスか。2階から腕組みしながら睨んでいる。

 




 「だから別に他意はないんですよ。先に話した通り 物見遊山 と言ったほうが 分かりやすいかな?」


何回目かの説明で何とか理解してくれたようだ。


 「で どこか宛はあるのか?」


 「いやまったく。一番近い都市はどこですか?」


 「…オレオン都市だが。そこそこ大きな都市だ。この大森林地区の統括をしている。馬車で5日程だな」 


 「ふむ その都市にしばし活動拠点をおいてみるか…」


 「…オレオンのギルマスに手紙を書いてやる。そこなら目が届くし…」


マスター今最後に変な事呟きませんでしたか?

はぁ たかが野良の異邦人一人。少しかまい過ぎでは?


マスターデスクで手紙を作り終えると向こうのギルマスに必ず渡せと念を押されて、手紙を渡された。

馬車は奇数日の朝早く開拓村から出るので間違えるなと諭された。 


それでも何か言いたいらしく、チクチク痛い質問を問かけてくる。

此方の質問にはボケて返答せんくせに… よし、

部屋から出る前の挨拶を終え 双方立ち上がった時に一言…


  ・・・自他共栄… と呟く。


マスターの顔を注意深く観察。 不思議な言葉を聞くような反応だ…

  

 「なにを言った? ジタキョウエイとは…」


 ふむ反応は思わしくないな… やはり知らぬのかな…


 「いやいや 独り言です。では失礼」


部屋から出ていくユウゾーを見送り、椅子に座り込んで考え込む。

確かに他意はなさそうだったが… そう言えば最後のジタキョウエイとは?

まるでわしを試すような目線だったが、、。


 いや 待て。 遠い昔にどこかで確かに聞いた覚えが…





前回と同じ宿を久しぶりに泊まる。

オレオン行きは今日の朝早く出たので、明日一日ミューに付き合ってもらい買い出しやら、旅に必要な物を準備しようと思う。


ベットで少し横になっていたが、先に済ませるものを済ませようと椅子に座り直した。これからチートを行うので覗かれ防止に窓のカーテンを締め切る。


今日購入した各種ポーション類を机の上に並べる。

創造魔法(劣)で上級ポーション作成するとMP1000が必要か…さすが部位欠損も治すは伊達じゃないな。其れなりの代償が必要ですな。後にしよう。


上級をつかい複写すれば中級がてきないかな? 必要MP100だな。一本作成し魔法袋に収める。再度魔法袋に触ると袋に入っている物品の簡単な詳細が出るので、今作成したポーションがどう変化したか判断出来る。


 おっ 中級ポーション1と浮かんできた。成功だな。


 まてよ 先にマナポーションを出来るだけ作成した方が良いな。


続けて複写すればそれなりの魔力を消費する訳だから、魔力を回復しなければすぐに限界がくる。

複写はMP50だな。つまり創造魔法で同等品作成ならMP500 必要なんだ…

マナポーションを複写で4本作成。 消費MP合計で300 一本飲んでどれくらい回復するかテスト。MP120 回復しました。正規品なら200 だけどMPの消費を考えるとマナは複写が効率が良い… 色々考えながらユウゾーは頑張るのだった…



朝食を終え1F食堂でお茶を飲みながらミューを待っている間、何人かの積極的なお姉さんから話しかけられたが、丁寧にお断わりをした。

ミューも疲れがあるだろうから、ゆっくりで良いと昨日気をつかったのが裏目に出たユウゾーであった。

 

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