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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
166/281

166 いざ 新武器開発


大森林はいつの間にか雪景色に変わる。

ユウゾーはいつものように暖かいハウス内にて錬金術で、新型銃や魔法袋その他のグッズ品を楽しそうに製作している。


お昼も近い、そろそろ一旦手を休めようと一息つく。

ハウス内は薪ストーブのお陰で暖かい。


家の住人も何人かストーブの前で雑談話しに花が咲く。

しかし女性陣は他愛も無い話でよく何時間も話し込むものだ…。

絶対に本人たちの前では言えないけれど。


 おう ミーアが皆を呼びに来たな。


この所少しミーアが元気がないな。

仲の良いミューがいないからだろう。来年の春まで辛抱だぞ。




朝の外壁点検時に六つ手の大熊を退治した。

冬眠に失敗したのかな? それとも冬眠寸前だったのかはよく分からん。


例年だと春先に庭の蜂が集める蜜に反応して姿を見せた事があったが、うっすらと雪が降り積もるこの時季に現れるのは珍しい。


せっさく倒したが肉に関してはあまり評判が良くない。

無論いつの間にか口が肥えてしまったのが原因で、普通に熊肉として販売されているが、我が家ではあまり需要が無いと言うわけだ。


後日このままギルドに売却しよう、内臓に関しては高値で取り引きされる部位もあるので、そこそこの値がつくであろう。


だが噂を聞いて直ぐに寮生のエルフ達が集まってきて、ユウゾーに内蔵の一部を譲ってくれと交渉される事となった。


六つ手の大熊から高価な薬がとれるとの事だ、普通の熊は良く狩れるがこの大熊はめったに姿を見せずにこの大熊から作れる薬の効能は桁違いな効果があると目を輝かして迫ってくる。


その勢いに思わず後退りしながら、それほど希望するならとユウゾーは無償で提供すると伝えるとエルフ達は大喜びで踊りまくる。


その中でエルフのリーダー格と思われる女性がユウゾーに耳打ちする。


「貴重な部位を流石に無償とは心苦しい、ならば我ら15名が順にこっそりとユウゾーに奉仕するがどうだろう?」


 心惹かれる提案ありがとう でも断固拒否する! …自分の背中に突き刺さる妻達の視線に気がつかないのか、そんな嬉しい提案をのんだら明日を無事に迎えられる自信がない…。


「何々 嬉しい提案だと…?」


マーラが小さな呟きにしか聞こえない声を聞き漏らさずに、ニヤリと悪い顔で尋ねる。


 げっ あんな微かな声さえ聞こえるのか!


耳の良いエルフを少しなめていたか…。


「今日の夜の当番はミーアだな、ユウゾーは少し精が余っているようだ。遠慮無く対応してあげればよいぞ」


それに対してミーアが嬉しそうに頷いている。


 か 勘弁して下さい、私が悪う御座いました…。


井戸の周りではエルフ達が大熊の解体に生き生きと動き回っている。





馬の2頭を省いて動物たちは畜舎から出てこない。

鶏たちは皆が集まって互いに寄り添っている。卵もめっきり少なくなった。


子供達が何やら鶏にぶつぶつ文句を言っているが効果はないぞ。

何せ相手は三歩歩けば忘れる名人だ。


山羊も雪景色を見ながら鳴き声を響かせる。

この寒さで子供達が近づいても藁の上でじっとしている。

子供達を追いかけ回す気力もないようだ。


豚達も畜舎内部でウロウロしているだけだ、外に出ようとはしない。

ただ食欲は普段とそんなには変わらない。


馬だけはまだこのくらいの寒さには堪えないようだ、誰もいない運動場に悠々と雪を穿り何かを探しているように歩き回る。

雪はあまり食べるなよ、お腹を冷やして下痢するぞ。

寒くなったら藁の上で休むんだぞ。




ハウス内は別天地、ストーブの薪を追加して作物の成長を観察する。

5棟に増えたハウスを順番に見て回る。

どの野菜もそこそこの成長状態でホッとする。


菜っ葉系はそろそろ出荷出来るかな、お得意さんが首を長くして待っているだろう。明日には半分収穫してユウゾーの直営店にも持ち込もう。


村の人々も喜ぶだろう。冬には特に貴重品になるからな。

値段? うーんやはり通常の数十%増しかな、アコギな値段はつけないよお互い様だからな。


村の寮生たちにも届けてあげよう、皆頑張ってお仕事しているからね。

我が敷地内の寮生たちは酒盛りかな?

毎日よく飲んで飽きないものだ。

天気が良い日には皆で狩りに出かけ運動不足をカバーしているみたいだが…。


ユウゾーは商人たちの依頼の品を作り置きする。

その合間で試作品の武器を開発している。


形状からいくとバズーカ砲かな?

あそこまで口径は太くないけど…。


万一を考え攻撃力特化の武器も必要と思うんだ。

流石に連発方式は無理だけど、まぁ保険と思って作製している。

晴れた日には河原でテストしてみなければ。


争いが無くなればよいのだが、何処の世界でも似たような状況で悲しくなるな。

只言えることは、妻達を守るためには自分は鬼でもなんでもなるぞ。




あるよく晴れた昼下がり、時折冷たい風が河原を過ぎ去るが概ね着込めば寒さも気にならないベストコンディションの中、ひっそりと関係者を集めて新型バズーカ砲?のテストが行われた。


ユウゾーが何度も繰り返し制作した最終確認になる。

かなりしつこく周りに人がいない事を確認されて、安全に問題ないと判断してからテストは始まる。


物凄い轟音が辺りに響き、目標地点の地形が一変した…。

これは…バズーカ砲の更に上をいく破壊力だ。

マガジン内に入っいる何個もの魔石のエネルギーが一度に放出されると凄い事になる。


ギルマスを始め妻達それに興味本位のエルフ達全員が呆気にとられて呆然と佇む…。


「ユ ユウゾー…何というものを作り上げたのだ…」


やっとの事でギルマスが口を開いた。

他の全員も同じくギルマスの意見にカクカクと首を縦にふる。


「連射は流石に無理だが、マガジンを当初から何個も用意すればかなりの破壊武器として使える…」


「こ これは今までの集団戦だと一発でかなりの被害を出すことが可能だな…」


流石ギルマス伊達に年はとっていないな…。

これは多数の敵に対応する為に作り出された武器となる。

敵が集まれば集まるほど被害が大きくなる。


直径 数十米以内でほぼ敵は即死。その周辺は爆風や砕けた石により怪我人続出だろう。


「え えげつないな…」


マーラもあまりの威力に考え込む。

取り敢えずそれは褒め言葉として受け止めておこう。


好き好んで使用したくはないが、理不尽な敵にはそれなりに対応せねばならない。

出来れば味方には一人の怪我人も出したくはない。

無論理想論だが…。


「活用方法は戦術の得意な者に任せる。」


早速ギルマス・マーラとニーナがぼそぼそと何やら話し込んでいる。

今回の武器は発想を逆にしてみた。


新型銃はサイコが主で補助として魔石の力を活用したが、今回は大量の魔石の力を一度に放出する事で破壊力を上げた。

サイコはあくまで制御やその他の補助として用いている。


魔法銃として捉える方がよいが、この砲に触らなければサイコの力を発揮出来ない、つまり真似して魔法銃を作ろうとしても制御系が確保出来なければ武器の効果が出ない。


将来は別だが、当面は真似のしようがないだろう。

基本 神様からの贈り物の改良版になるからな。


出来ればこの武器の出番がない事を望むが、現実は甘くないしな…。





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