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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
162/281

162 いざ 攻略完了


ギルマスからの依頼により、新ダンジョン攻略に妻達と派遣エルフ達が選ばれて出立した。

通常の川沿いコースではなく、妻達の選定でショートカットの道が選ばれ森の中へと突き進む。



ダンジョンに川沿いコースより数日短縮されて到着した面々である。


「到着した…こんなに早く着くとは、、」


冒険者たちは目的のダンジョンの前にて感慨深い顔にて立ち止まっていた。


「ほう ここが目的のダンジョンか」


それに対して妻やエルフ達は興味深くダンジョンを観察していた。


「取り敢えず早いが野営の準備にしよう、明日から勝負だ」


アーシャの提案にて皆がテキパキと野営に向けて動き出した。


まずは 風呂風呂 とエルフ達は騒ぎ出す。

この5日間普段と変わらぬ生活パターンを繰り返していた。

ユウゾーの屋敷にて習慣ともなった行動パターンを変えるつもりはないようだ。


冒険者たちも近くの川に交代で水浴びに出かけている。

皆早めの到着に気分が高揚気味になっていた。


何度挑んでもこのダンジョンから今までは拒まれてきたのだが、今回は違うぞと誰しもが感じていた。

一級冒険者のアーシャとレベルカンストのエルフ達計7名が加わり、ここまでの道中の何と楽に進んできた事か、5パーティのこれまでの仕事は応援者が倒した魔物の魔石と高値の部位を剥ぎ取ることがメインの仕事であり、ほとんど戦闘には参加していなかった。


応援者の圧倒的な討伐に只遅れぬよう部材回収を急ぎ追いつくだけの行程であった。


「なぁ アーシャさん一行の働きはハンパじゃないぞ」


久しぶりの行水に気も軽く仲間たちに話しかける。


「何だい またそれか、毎晩その話じゃないか」


一人が苦笑いの顔で相づちを打つ。


「いや 何度語っても飽きることはないぞ、ここに着くだけで既に大量の魔石と部位が集まっているのだぞ。これでダンジョン攻略を開始したらどれほどの魔石やドロップ品が集まるやら…」


水浴びの手を休めて皆が一瞬考え込みだした、互いに顔を見合わせて大きく頷きあう。


「それにだ応援者達が持っている魔法銃か?あれは凄いな…」


「それ それ 聞くことによると更に凄い新型銃もあるとか…」


「…ユウゾーさん 売り出してくれないかな?」


「いやいや あれは持ち主を選ぶと聞いておるぞ」


「一級冒険者とカンストエルフが5名…明日から物凄い事が見れるぞ」


「そ そうだな、私達も頑張って働かねば帰ってからギルマスに怒られるな」


まったくだ と冒険者たちは気合を入れ直すのであった。


其の夜夕食後に各パーティのリーダー達がアーシャに呼ばれ明日からの行動予定の打ち合わせがあった。


其の席でアーシャからとんでもない提案があった。

明日は力技で20階層まで一気に進むことになった。

20階層までは冒険者達の5パーティが主に働くことになる。

念の為に各パーティに1名のエルフが支援に入る手はずとなった。


各リーダーは多少青ざめた顔になったが、支援を貰いながら5パーティが協力して動くなら何とか20階層まで行けるかと互いの顔を見ながら頷きあう。



翌日は冒険者達にとって地獄の1日が始まる。

10階層までは魔物の数は多いが左程手こずることなく進んだが、11階層以下は魔物の強さが上がりかなり討伐速度が落ちてきた、すると支援に着いていた各エルフ達の叱咤激励の声が上がり懸命に魔物を倒して進む事になる。


冒険者達の後から各エルフ達が嬉しそうに魔石回収に飛びまくっている。

どうやら今晩のおかずの一品を賭けてエルフ達が回収した魔石数を競っているらしい。

涙目になりながら夢中になって魔物に斬りかかる冒険者たちであった。


殿を行くアーシャとミューは深い溜息をつきながら、それでも周りの警戒を行いながら歩き出す。



「「「つ 着いたー!!」」」


20階層の安全地帯に到着した冒険者達は着くと同時に皆が倒れ込み、完全に一歩も歩けない状態になっていた。


そんな冒険者達に労いの言葉をかけてアーシャとミューが野営の準備を始める。

その近くでエルフ達が車座になって互いが回収した魔石の数を懸命に数えている姿があった。


昨夜ミーティング前にエルフ達からの提案を受けて賛同したが、まさか賭け事の対象に冒険者を使うとは予想もしていなかった。


二人は呆れた顔でエルフ達を見て、そして深い哀れみを持って冒険者達の疲労困憊の姿を眺めていた。

まぁ 明日からはアーシャ達とエルフが前面に出て行くので、冒険者達も楽になるだろう。


せめてのお詫びに美味しい野菜スープを作ってあげようと二人は魔法袋から大鍋を取り出すのであった。






凄まじい閃光と爆発音が地下45階層のダンジョン主の部屋に響き渡り、その部屋に現れたこのダンジョンの主達がゆっくりと光の渦に中に消えていく。


「「「よし ダンジョン攻略完了!」」」


元気な妻やエルフたちの声が部屋中に響く。


 はぁー 終わった…。


それに反して冒険者たちはダンジョン攻略完了の喜びより、過酷な魔石拾いからの開放を喜ぶ安堵の声が漏れていた。


20階層からは一転して応援者7名がひたすら倒していく魔物の後始末に追われていた冒険者達であった。

ダンジョン突入の初日こそ5組の冒険者パーティは、エルフ達から尻を叩かれて我武者羅に20階層を目指す地獄の1日であったが、二日目からは別の意味の地獄が待っていた。


二日目から2パーティに分かれた応援者達は魔物を求めてダンジョン内を走り回る。

倒した魔物達は捨て置かれ、次の魔物を求めて走り出す。


後始末はすべて冒険者達に任されていた、魔石やドロップ品を回収終えたら先に進んでいるエルフ達を懸命に追いかける。


そんな日が3日間続きようやくラスボスまで到達した。

そして今日当初の目的であった攻略クエストが終了したのだ。


光の階段でダンジョン出口まで転移して4日ぶりの地上に全員が戻ってきた。


 地上だー 戻ってきたぞ。


今にも泣き出さんばかりの顔で冒険者たちは互いの無事を喜んでいた。

そんな様子を不思議そうな顔で見ている応援者達であった。


妻やエルフ達とはかなりの温度差が冒険者たちにあった事は仕方ないことである。

冒険者達とのレベル差も当然あったし、使用するサイコガンによる武器の差も明確にあり、応援者達にとっては左程困難な攻略クエストではない。


それどころか魔物による魔石やドロップ品はかなり美味しい支援クエであった。

此処から先は焦らず皆が怪我が無いように帰還するだけである。

久々の魔物による鬱憤ばらしが出来た妻達は上機嫌でユウゾー達が待つ新開拓村に向かう。




 ただいまー! 元気な声が農場内に響き渡り、仲間が笑顔で出迎えてくれる。


沢山の魔石等と遠征話を手土産にアーシャとミューそれに5名のエルフ達は懐かしい仲間の中に入り込んでいった。



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