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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
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16 いざ 錬金術 2


初の錬金術成功から半月、ユウゾーは狂ったように錬金術に注力していた。購入した剣を使い一旦剣をインゴッド状態にすると不純物の排除を出来る限り行い、純度の上がったインゴットからまた剣を作ってはインゴッドに戻す作業を繰り返し行なっていた。


その成果は目覚ましいものがあり、手慣れた事もあり当初作成した剣よりさらに一段階優れた剣の作成に成功していた。


上級者向けとは言わないが、それに近い完成度はある。最終的には二本の剣を作成し、他はインゴッドに戻し魔法袋に保存した。


二本の剣は長さが若干の違いがある。一本は標準でユウゾー用、更にミュー用として一回り小さい剣を用意した。

ミューが必要がなければインゴッドに戻すだけである。


雪の降らない日は外に出てサイコガンの練習を行った後に、ユウゾー用の剣で繰り返し素振りの鍛錬も開始した。


最終的には右手にサイコガン・左手に剣を持ち敵に対応できればいいなと考えたのだが、まずは剣になれなくてはいけない。


幸い一人で時間はある。気が向くと外に出て素振りをする生活が新たに加わった。 


二兎追う者は一兎も得ず とはよく言われるが、武器は非常用に2つ使えれば有利であるし、遠近と使い分けもできるしな。


 ユウゾーは一つ得意?とするものがある。両手使いだ。元々は左利きであったのだが、両親はそれをよしとせず、小学校に上る前に修正させられてしまった。


通常は右手だが、工作でノコギリを引くとか台所にて包丁作業も左手を使う。其のために左手で何か行うことには違和感がない。

よって両手を効率よく使う発想が出てきた。


このところ寒さが一段と厳しい。吹雪く日が数日続くこともある。幸いにして雪はそれほど深くは積もらず、多くても数十センチで助かっている。


雪の切れ目を狙い、剣の鍛錬や薪割り・肉の解体と仕事は意外とあるものだ。

洞窟内も一部拡張した。野菜を育てる部屋を増設した。最初はあくまでテスト用であったが、意外と近ごろは重宝している。


一室作ると生活魔法の土魔法で床を柔らかくしてその上に創造魔法で作った何個ものプランターを置き、森から腐葉土を大量に運びプランターに入れ市場で求めた葉物系の種を蒔いてみた。


 水と土はOKだ。あとは太陽光だが洞窟内では望むべきはないが大丈V。

魔道具屋で求めたダンジョン対策用の光魔法を利用した懐中電灯もどきがある。

なかなかの商品で明るさも最大300ルーメン程度の照度がある。

 

 因みにユウゾーは地球時代はアウトドア派でこの系統は詳しいのです。

但しこの魔道具一個百万ゼニーもする。なかなか普及しないはずだ。

電池は魔石を利用し充電機能もある。本人が魔力があればランニングコストは意外に安く済む。


一つでは当然全部には光源不足だがこれも大丈V。

複写を使い10個作成した。当然60%に効率が落ちるが一個のプランターに二個のもどきをセット。


どうなるかと当初は心配したが、それなりに順調ですでに一回目の採取は完了し、現在2回目の採取に向け順調に育っている。


 

 外が少し騒がしい。上部にある空気取り入れ口から魔物同士が森の中で争ってい

る。雪が積もり獲物が少なくなっているので生存競争も過酷なのだろう。


互いに頑張ってこの冬を乗り越えような。

さて、午後からはまた錬金術の鍛錬だ。今度は防具系に挑戦。



 


  


  こう言ってはなんですが、この所余裕ですかね?


  うむ 冬も後半。乗り越える自信も出てきて余裕に継っているのかな。


  ところで先程から届いたメールを熱心に見ていますけど、、?


  あ ああ 武器の改造依頼と改良点の依頼が何通か届いていたのでな。


  ・・魔改造は禁止ですよ。


  わ わかっておる そのなんだ 技術系は作ってしまうと安心して、細かい改

  良点はあまり興味がなくなるから、あの男みたいに指摘されてから気づく点が

  多いのじゃ。


  …そう言えば そんな約束であの武器を貸し出したのでしたね。


  ふむ なかなか面白い視点から見ておるのじゃ。


  …改造依頼とは実際どの様な事ですか?


  三点あるが… 


  ……改造するのですか?


  う うん 完成品に近づくしな……


  ・・・危険はないですね?


  も もちろんだ 少しづつ小出しに様子を見ていくぞ。


  ヘパフラスコ神は当面ヴィナス神からの厳しい監視の目が続く事を覚悟した。









さらに一ヶ月が経過して森も待望の春の兆しがあちこちに見られ始めた。

雪も溶けときおり冷たい風を運ぶが、日に日に日射しは暖かさを増して色々な新芽が地表を覆うようになってきた。

 

体を動かすには丁度良い季節に移り変わった。

朝方にガンと剣の鍛錬を行い、その後食事をとる毎日が続いている。

朝食を終え休憩中に今日の予定を決めていくのだが、しばらくしたら村へ向う為の準備をしなければならないと漠然的に思い出す。


この冬で色々な物作りを学んだ。

冬の森に入り込み魔物との戦い方も学んだ。

すべてが新鮮で新しい発見の連続だった。


貴重な1シーズンが過ぎようとしていた。

と同時に他の場所も見てみたくなって来たのだ。


考えれば転移してからこの森しかユウゾーは知らない。

この世界の他の場所はまったく知らない状態だ。


開拓村で金を稼ぎ半年ほど外の風を吸うのもよいな。

そう考えると何か体がムズムズしてき始めた。


フッとした思いつきであったが、思い始めると何となく行かねばならぬという思いに取り憑かれ、今すぐにも洞窟内を整理したくなってきた。

早る気持ちを抑えつつそれに向けての準備も開始したユウゾーであった。


一週間の前準備が終わり、明日にも出発出来る体制になったその日の夕方。


 ドン ドン ドンと突然のノックがあった。

 

 「おーい 私だ。 居るんだろう?」


 この声はミューか? 何というタイミング、一日ずれたら互いにすれ違いが発生したかも知れない。ユウゾーは苦笑いをして戸を開けた。


 「うー 春とは言え夕方はまだ冷える」


洞窟内はさほど寒さは感じない。ストーブも数日前から使用していない。

暖かい湯を魔法袋から出しお茶を勧めた。

一息入れたミューは洞窟内を見渡し、随分すっきりしている と一言。

 

 「明日にも開拓村に行く予定だった。その為に整理した」

と告げると目を丸くして幸運を告げた。

   

休んでいろと伝え夕食作りを開始する。

本来この食事作りに移動分の食料作りをする予定であったので、材料はすぐ出せる状態であったからテキパキとおかず作りを開始する。


作りながらお互いの近況報告を交わす。

村も変わらずギルドマスターも道具屋のアリア婆さんも元気との事。


明日岩塩採取に向かう予定で、ならばユウゾーも一日出発をずらし二人で村に向かう予定変更とした。


食事を終え楽しみな風呂にも入りうとうとし始めたミューに、忘れない内に錬金術で作った剣を見せた。

忽ち目が覚め剣をとると、その刃並びに感銘し これは切れる とぶつぶつ呟きだし、長さも自分に向いていると一頻り眺めていた。


最後に未練たっぷり返却しそうになったので、 それはお前の為に作った と説明すると目を見開き理解できないと言う表情になった。


そこで種明かしをする。武器屋で買った十把一絡げの剣がその正体だと、錬金術の練習で良い物が出来たのでミュー用にも作成したと告げると、ミューは(はしゃ)ぎ出しついには物凄い勢いでユウゾーに抱きついてきて感謝の言葉を繰り返した。


 うん 喜んでもらえて嬉しいよ 製作には苦労したからな。


燥ぐミューから剣は欲しかったが、一般用はどうも長すぎてしっくり来ず、特注品は価格で二の足を踏んでいたとの事。

今は防具代を溜めていた最中で剣はその後の予定だったと説明があった。


 うん 防具ね あるよ。


ユウゾーは魔法袋から防具を取り出しミューに差し出す。

ピカピカに輝いた表面は頑丈そうな純鉄製 中は皮がクッション代わりに張ってあるミューは素早さが命だから表面はギリギリまで丈夫さを追求しながら薄く作り、中には丈夫で軽い皮を張ってみた。


ミューに装備させ動きにくさがないか確認すると問題ない回答があり、皮だけの従来品より少し重いが許容範囲内だとの事だ。


錬金術の一連で作成したものだから気にするな と伝えてもこちらが恐縮する程の感謝を連呼された。

何とか落ち着かせて明日の為寝かせる事が出来た。



 

翌朝早く朝食作りで起きると、ほぼ同時にミューも起き出し剣を抱え外に飛び出

した。呆気にとられたが、はっと気がつく。


試し切りだな。新しい剣だからな、まずはその切れ味を確認したいだろう。


その通り、木の枝がバサバサ落ちていく音が聞こえた。

しばらくすると満足した顔のミューが帰ってくる。


目を輝かして 物凄い切れ味だ 凄い! と興奮した報告を聞かされる。

朝食を終え 新しい剣と鎧を身に付け、ミューは意気揚々と出掛けていった。

さて、剣の素振りで汗を流すか ユウゾーは魔法袋から剣をとりだす。



その魔法袋で一つ判明した事がある。

満載になった魔法袋をそれより容量の少ない魔法袋に入れてみたら収納出来たという事だ。

つまり満載になった魔法袋でもその袋単体の重さしか判別していないと、、。


これを利用すれば一つの袋で容量の数倍以上も収納可能となる。

無論何個もの魔法袋が必要になるが、腰に何個もの魔法袋を下げたくないからな。


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