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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
148/281

148 いざ 新型銃開発


女王陛下の特使としてグレイシアは数カ月ぶりにユウゾーに会いに大森林へ旅立。


今回の訪問はこの国の未来がかかっている、亡国となるわけには行かない。

何としても迷人の力が必要となる、どんな手を使ってもとグレイシアは考えていた。

その反面ユウゾーに会える喜びもあり、その2つの思いが胸に浮かんでは消える道中であった。





「どうだ? 今度こそ…」


一方のユウゾーは遠距離武器の作製に頭を悩ましていた。

思いつくままに現代武器なども作ろうとしたが、ユウゾーの劣化版創造魔法では膨大な魔力量が必要でとても完成品には届く状態ではなかった。


あれこれ考えた挙げ句の果てに祖父の形見ともいえる歩兵銃にて活路を見い出そうと奮闘していた。

ボルトアクション方式としては世界でもトップクラスのこの銃とサイコガンを組み合わせれば、それなりの銃が出来るかもと半ばダメ元で挑戦していた。


手始めとして劣化版複写でこの2つを作成し、考えられる方式でハイブリッド銃を作製してみたが結果は残念な物しか作れずに落ち込んでいた。


「…駄目か 何が悪いのだ、発想を変えなければ、、」


歩兵銃とサイコガンの複写品を眺めてはため息をつく。

サイコガンでもユウゾークラスの思念力があれば最大出力で200メートル前後は届く。


なれど一人で万の兵に対応は出来ない。

最低でも数十人のユウゾークラスを揃えなくては勝ち目はない。

現段階では数名の候補しか思い浮かばないのだ。


ミューやミーアクラスでも十分対応出来る銃が欲しい。

それに欲を言えば距離は400メートル到達が希望ラインだ。


その距離は現段階ではユウゾーでも不可能な領域となる。

八方塞がりの気持ちに落入ユウゾーは作業机にうつ伏してしまう。


 何とかしなければ…。


焦りはすれど結果が伴わないそんな状態が半月続いていた。


 仕方無い 装備品の改良で気分転換を…。


丈夫で動きやすい鎧でも作ろうと考え始めて ふと思いつく。


 あれ なんで俺は創造魔法に拘っていたのだ?

 何故錬金術を用いての方式を試していないのだ?


正確には作製の初期は錬金術を用いたのだが、サイコガンの構造が理解出来ずに直ぐに諦めて他の方式に移っていたのだ。


 昔 指輪に付与魔法をつけた時に俺は付与魔法の構造式など知らなかったよな、単に指輪に付与魔法を付けたいの思いで作製したんだよな…。


 ならば他の魔法と違い、錬金術は思いの力が重要でその力に左右されて物が作れる?


 思いの力は思念力だな、ならば出来るかも?


ユウゾーはようやく突破口が出来たと感じていた。

こうなった時のユウゾーはしつこい。諦める事をしない。


周りが呆れるほどにのめり込んで行く。

完成品を頭に描きひたすら思念力を練り上げていく。


諦めをしらないユウゾーはさらに半月の間毎日錬金術に明け暮れた。




「うん? この感触は前にも…」


指先に伝わる歩兵銃とサイコガンが僅かに変質する気配を感じ取る。

前にインゴットを作る時にこれと似た感触を味わい成功に導いた。


ここが勝負と完成品のイメージを鮮明に描きありったけの魔力を注ぎ込む。


眩しい光に突然襲われて手の感触が何かの形に変わっていくのが感じられた。

光の勢いが弱まり手の感触も硬い材質に変化し始める。


「で 出来た…」


ユウゾーが手にしたのは外観は歩兵銃をベースにした新型サイコガンに生まれ変わった銃の出現だ。 

計一ヶ月近くを新型銃開発に費やした成果がようやく報われた瞬間でもあった。


「よし どれ程の威力かテストしなければ」


新型サイコ銃を片手に部屋から飛び出し大声を上げると妻達が何事かと集まりだす。


「何と出来たのか!試し打ちか 付き合うぞ」


夕方ではあるがまだ夏の終りで辺りは十分明るい、森では木々が邪魔になり到達距離が判断できないので河原に向かうことなる。


川の両岸は開けており視界も良い。

皆がユウゾーの作った武器に興味津々なのだ。


「さて どの木を狙えば…」


「ユウゾーあの飛び出している木はどうだ あそこまで約300メートルだ」


距離的にはそんなものだと他の妻達もうなずく。


「よし では手始めにあの木を狙ってみる」


立射にて慎重に狙いをつけトリガーを絞る。

凄まじい光が銃口より放たれ同時に激しい衝撃音が辺りに響く、狙った木だけではなく周りの木が一瞬に砕け散った。


状況を確認する為にユウゾーが走り出す。


「なんだこの威力は…凄い物を作ったな」


直径10メートル程の穴が大地に空いている。

妻達があまりの威力に呆れた顔でその穴を眺めていた。


威力と距離には特に念入りに製作時に念じていた、それなりの物が出来ているとユウゾーは感じていたが実際この威力を目の当たりにすると少し引いてしまう…。


問題は思念力が低めの者が扱った時にどれだけの威力になるかだ。

隣りにいるミューとミーアに使わせてみよう。


二人に交互に新型銃を試し打ちさせてみることにした。

第一弾は中空に向い光の筋がどこまで届くか皆で確認。


「うむ 共に400程かな」


第二弾は本命の威力テストだ、遠くの立ち木を二人に撃たせてみる。


「ミューが直径5メートル強、ミーアがそれより一回り大きいな」


その後は妻達が次々に撃っては歓声を上げている。


「ユウゾーもう弾切れだ…」


10発ほどで新型銃は魔力切れで作動しなくなった。


この点は織り込み済みだ、威力を上げるためにユウゾーはマガジン内の魔石も利用する方式を考えた。

元々のサイコガンは銃を稼働させるためだけに魔力を利用していたので二百回以上は稼働出来たが、この新型銃はかなり魔力の消費が多くなった。


つまりこの新型銃は思念力と魔力のハイブリッド方式となったのだ。


「うーん 威力と引き換えにマガジン内の魔力も利用させているのでこれが限界だ」


もう少しマガジン内の魔石容量を大きくするか…今後の課題だな。


「だが この威力は魅力だ。交換用のマガジンを持たせれば無敵だぞ」


マーラがニヤリと悪い顔で笑う。


ともあれテスト結果は上々の成果だ。

細かい点は改良していけば良いだけだ。


ユウゾーは今回のテスト結果を頭に思い浮かべる。

ミーアクラスで飛距離400メートル、爆発威力は直径5・6メートル。

マーラクラスになると飛距離600メートル、爆発威力はミーアの約倍となる。


まずは第一段階はクリアだな。


「さて そろそろ日暮れだ、帰って食事にしよう」


皆がわいわい賑やかに森の中の我が家に戻っていく。





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