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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
141/281

141 いざ 待ち人来たり

次話は金曜日に投稿します。



補佐役のミランダさんが子供を抱いて訪ねてきた。


「お久しぶりです ユウゾーさん」


 お久しぶりです ミランダさん。そしてプラハもお勤めご苦労さま。他のエルフの皆さんようこそ我がユウゾー農園に!


ミランダさんの腕に抱かれている我が子を抱き上げようとしたが、ユウゾーの顔を見るなりベソをかいてミランダさんの胸にしがみつき離れない。


そうか 人見知りが始まったか…。よいよい しばらくすれば直ぐに懐くだろう。

とりあえず皆さん家にどうぞ、遠路ご苦労さまでした。


其の夜は庭先にて盛大なバーべキュー大会となる。

上等な肉と農園での新鮮な野菜それに酒屋から大量に仕入れた酒にて夜遅くまで大騒ぎな一夜となった。


次の日からライラによる基礎講習が一週間15名に施される。

その後一週間各配属先に仮配属され問題がなければ正式引き継ぎとなる。


その間我が子カムイはようやくユウゾーに慣れて抱かれても泣くことがなくなり、同時期に生まれた二人と一緒に敷地内を所狭しと走り回っていた。


妻達はこの可愛い三人に夢中で、仕事の合間を見ては遊ぶ様子を眺めている。

妻達の呼びかけには良く反応するが、ユウゾーが呼びかけてもあまり関心を向けてくれない…。


やがて別れの時が近づく、エルフ達の引き継ぎも完了し皆が魔法袋に沢山収めた品を持ち各村に帰る日が来た。


楽しい時間は直ぐに過ぎ去る、ミランダさんも護衛役も渋々村へ帰る準備に追われた。

まずは第三村に全員25名が向う、一年間ご苦労さまでした。


皆がこの地に未練が残る気配が感じられる、また縁があったら来て下さい。

双方が互いの姿が見えなくなるまで手を振り合い、やがて視線から消えていく。


「行ってしまったな ミランダも他の皆も…さてと」


マーラが新開拓村に足を向ける。

ダンカン氏との打ち合わせかな、そろそろギルマスが帰ってきてもよい時期だが…。

首都での活動が難航しているのかも知れない…。




朝の鍛錬が終わり自室で着替え終わったユウゾーが偶然見かけた光景は、プラハの部屋から眠たそうに出てくるカリナの姿であった。


 あれ? あの二人仲が復活したのかな?


何となく気になりユウゾーのベットでまだ微睡んでいるニーナに尋ねると、軽くベット内で背伸びしながらニーナが教えてくれた。


 何をいまさら、カリナだけではなく他のメンバーも交代でよくプラハの部屋に夜間訪れているぞ。


 そ そうだったのか…無理にではないよな?一応後でプラハに確認しておくかな…。


ニーナがほっておけと笑い出す。もう半年前からの既成事実だと教えてくれた。

カリナ達が無理に迫ったのでなければ一安心だが…。


プラハもこの数年で随分逞しくなってきたからな、去年も第三村で一番の働き手?であったと漏れ伝わっていた。


 えっ 何をそんなに働いたかと?野暮な事は聞いてくれるな。エルフ達の発情期にプラハを一旦戻すのだからその理由は推測出来るだろう。

 

 ミランダさんもプラハを褒めていたぞ。やはり内で過保護には問題あるかもとオサや長老達も今後の様子を見ながら検討事項に入っているようだ。


 そうは言っても少ない男の保護には最重要課題の一つだし、気長に様子見が必要かな?

 



「いってきまーす」


ケイトはキッチンカーでトコトコと今日も元気に出かけている。

暖かくなり冒険者数も多くなってケイトもかなり忙しいようだ。

本日の店番のミューと共に宜しくな。


ユウゾーの直営店はケイトのお陰で大賑わいだ。

開拓村の人々の手間を省こうと店の前に朝取れたての新鮮な野菜を並べ始めたのだ。

どの品も安くて美味しい、たちまち村の人々の人気になり主婦を中心に朝からこの一帯が賑わっているのは当然の結果であろう。


冒険者達はケイトの店で腹ごしらえと不足の品をユウゾー直営店にて買い求めて、西門よりお仕事に出かけていくのが流れとなっている。


野菜購入に関しては半分無人販売場の状態だ。

人々が品を自分で選び料金箱にお金を入れて持ち帰る、場合によってはよからぬ考えの者がいるかもしれないが狭い村の中だ、そんな人物は直ぐに誰かから通報される事になる。


村の皆にとってもユウゾーが新鮮で安い品を提供してくれる事が有り難い事なのだ。

この世界の人達は野菜に多少の泥がついていても気にしない、ユウゾーが村建設時掘ってくれた共同井戸が何箇所もある。


そこには少しでも楽に水が汲めるように手動ポンプが設置されているから、子供達でも親の手伝いにて気軽に頼まれて水運びをおこなっている。


そう言えばいまだにこの手動ポンプに依る登録料が定期的に振り込まれる。

ギルマスとマーラが組んでかなりな手を加えた様子で、なかなか他の模造品が出回らぬようだ。


お陰でユウゾー等三人には定期的に年数千万ゼニーの金額が入金され続けている。

特にマーラはほくほくとして高級な酒を購入している。


まぁ そのお陰でユウゾー一家及び寮で暮らしている派遣エルフ達も美味しい酒のご相伴となるから誰からも文句は出ていない。


昼前にはケイトも野菜もほぼ売り切れ状態となる、ケイトの乗るキッチンカーが西門の守衛に挨拶しながら戻っていく。


同時に店番の妻も長い昼休みとなり片付けを終えてケイトが運転するキッチンカーに飛び乗る。

そんな毎日が変わりなく続いている。



午後からはケイトは基本自由時間だが、明日の仕込みやら子供達の付き添いとパタパタと動き回っている、もっとのんびりしろとユウゾーが気にかけて時折口にだすが、ケイトは大丈夫だと笑い母親の手伝い等に動き回っている。


 うーむ 何とかしないとな とユウゾーはマイペースすぎるマーラをちらっと目を移す。


何かを感じたマーラが口を尖らせて抗議をするが、一切無視だ。


 うん せめてマーラ並みの動きならケイトも楽になるのだがとユウゾーは考える。


そんな様子を他の妻達が見ていてクスクス笑い出す。

この世界では子供でも有効な働き手となる。出来るならもっとケイトに教育の場を…。


 そうか 何故に今まで思いつかなかったのだ、ケイトに必要な事は教育の場だとユウゾーは慌ててその下地作りを開始した。


講師にはライラを任命。午後からの数時間をマンツーマンにて過ごしていく。

時折ユウゾーも臨時講師としてケイトに教え込む。

元がかなり出来の良いケイトは恐ろしい位に知識の吸収に貪欲だった。


砂地に水が吸い込まれる如く、基礎的な事は無論で疑問に感じた事を的確に質問してくる。

人に教える事はそれは教える自分も分からぬことから抜け出すチャンスになる。

後日談だが、ケイトの知識吸収欲にユウゾーは個人教師を新たに採用していた。





季節は春から初夏に移りだし、畑仕事も一段落してきたそんな昼下がりに事件が発生する。

久々にギルマスが新開拓村に戻り着いた事により端を発した。


ギルマスがお客を伴い帰ってきたからだ。


次話は金曜日に投稿します。


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