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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
138/281

138 いざ ギルマス本部へ

お待たせしました。本日より再開致します。只誠に申し訳ありませんが、当面一週間に数回の投稿ペースとなります。 その理由は新しく投稿予定の新小説を全面的に見直しての書き換え作業も同時進行していますので時間がなかなか足りずに苦労しています。 新小説に関してはまだ当面発表できずに申し訳ありませんがその時期には皆様にお知らせ致しますので、ご期待下さい。


「ユウゾー 久々の大物だ、四ツ牙が現れた」


ミューとミーアーが喜び勇んで外へ駆け出していく。

他の妻達も目を輝かして二人の後を追う。久々の大物に皆が反応しているようだ。


「そうか そろそろ春だからな」


ユウゾーも大きく背伸びをして立ち上がった。

外は雪が日陰にしか残っていない、魔物たちも活動開始かな? ユウゾーは辺りを見渡し妻達の走り去る姿を眺めていた。



大きな悲鳴と共に重量物が大地に倒れ込む響きが伝わってくる。

同時に妻達の大きな歓声が上がった。


「おっ 仕留めたか?」


家の前で妻達の凱旋を待っていると、上機嫌な妻達が門から敷地内に入ってくるのが確認された。


「ユウゾー 仕留めたぞ!」


ミューが大きな声と手を振って喜びを伝えてきた。

ユウゾーもそれに答え大きく手を振りそれに答える。


「どうする?解体かギルドか?」


大猪の解体作業かギルドに売りに行くかの確認だ。

正直肉はまだかなりの量が魔法袋に入れて倉庫に保管してある、俗に売るほど残っている状態だ。


「そうだな 大猪なら高い金額で売買出来るので、ギルドで換金するかな。其の帰りにお菓子屋で少し多めに好きな品を買ってきてくれるかな」


ミューとミーアが嬉しそうに頷いて門に踵を返す、その後にマーラが続いていく。


 マーラはお酒かな?


菓子屋の隣に酒屋があるので、それが目的だなとユウゾーは判断したのだ。

それは半分当りで半分は不正解だ。

マーラはギルドに定期訪問するつもりだ、一週間ほど前からギルマスの代理に開拓村からダンカン氏が赴任してきている。


ギルマスは本部の度重なる嫌がらせ行為に腹を立てて裏工作と抗議を兼ねて首都に向かった。

ダンカン氏がしばしこの新開拓村に兼務にて赴任し、そのフォローを頼まれたマーラが定期的に打ち合わせに行くのだ。


  

ミューとミーアが仕留めた大猪の換金をしている間にマーラは二階のギルマス室に向かう。


「よお どうだ 何か問題は?」


勝手知ったるギルマス室にノックもなくマーラは入り込む。


「あっ マーラさん、いつも手間をかけますね」


ダンカンが山積みの書類を懸命に分類している。


「なんのキリアーナからの依頼だ、お前が気にする必要はない」

 

一休みを兼ねてダンカン氏はお茶を入れ始めた。


「しかし この地に新開拓村が出来たなんて、今更ながら感心していますよ」


「ああ それは私も同じだ、当初ユウゾーがこの地を選択した時には流石に私も驚いた。なれど今では楽しく暮らしているよ。迷い人の力は侮れんと言う事に尽きるな」


「確かに。オレオンでの新ダンジョン調査においてそれは十分身に染みていますよ。あの時は本当に驚きました、その後1パーティであの上級ダンジョンを制覇するとは、、、今では語り草になって皆から尊敬されているのが当然ですね」


「それを本人はあまり気にもとめていないばかりか、何処か他人事の様にユウゾーは捉えている」


「うーん 面白いと言うべきか恐ろしい感性と言うべきか理解に苦しみますな、、。あの方は現在レベルはどの位なんですか?」


「うむ 聞いたら驚くぞ、確かこの前17に上がったばかりの筈だ」


「な なんとたかが17なのにあの活躍とは、、、、」


マーラが楽しそうに呆れて固まっているダンカンを見て笑い出す。

個人レベル17ならようやく中級レベルの冒険者クラスだ、つまりこの世には掃いて捨てるほどいる冒険者の一人に過ぎない。


「そう驚くな、お前も迷人のこれまでのとんでもない行為を聞き及んでいるだろう?」


「はい されど聞くと見るとではこれほどまでに違うとは、、、。あの方は怒らせてはいけませぬな」


「当然だな、だがそれを理解していない馬鹿者が居るのも事実だ」


今回のギルマスの首都行きに関して本部の中にユウゾーの正しい理解をしていない者がいる事が一つの原因になっている。


ユウゾーに関してはギルト本部にても上部クラスは承知の事案だ。

其の上で 触らぬ神に…状態を決めつけている。無論監視の目は常にあるが…。


なれどそんな男が居る事を承知で一部の者が跳ねっ返りを繰り広げている。

表面上はキリアーナギルマスの引き下ろしとなっているが、その内情はギルマス排除後にユウゾー達の力を自分達の欲に利用しようと画策しているとの情報をギルマスが掴んだのだ。


「さてさて 今頃ギルマスも首都に到着した時分。しばし良き連絡までは時間が掛かりそうですな」


ダンカンは窓に移動して二階の窓越しにこの新拠点を眺めて深い溜息をついた。


「話しは変わりますが、この拠点は正に要塞クラスの頑丈さに驚いていますが、実際この拠点は何の位の日数にて建てられたのですか?」


「聞いてないのか?外壁に関してはエルフ村から土魔法の得意な者5名とユウゾーでほぼ一日で完成したぞ」


「な なんとこの城壁にも匹敵する外壁を一日で…?!」


「ユウゾー一人なら日に100m程度、いやかなり余裕を残していたからその気になれば日に200m程度は可能では?」


 200m…ダンカンは大きく目を開き固まっていた。


「…万一 あくまで万一の可能性ですが、更に外側に二重目の外壁を作るとなったときには計算上4日あれば可能であると?!」


その問いにマーラがキラリと目が光った。


「お前が何を考えているのか敢えて問わぬが、確かに計算上は4日多くても5日あればユウゾーなら二重目の外壁作製が可能ではないかな」


二重目の外壁が必要な状態、それは魔物対策だけではないとマーラは気づいた。

人…つまり攻め込まれた時の防御用に必要な事項であると。


「…そんな()()()があるのか?」


「いえ 今はまったくその前兆はありませんが、ギルマスの()()()()においては…」


ダンカンとマーラは暫し無言にて見つめあった。


「ふむ 良く覚えておこう。なれどそんな事になれば我がエルフ族は黙って見ていないぞ。ユウゾーを助ける為に助力は惜しまない筈だ」


「…そうですか、それは頼もしい援助です。万一の場合には……」


「…お前は何方につくつもりなんだ?」


マーラから厳しい視線がダンカンに飛ぶ。


「…正直言いますと、私は上を望んでいました」


「…いました?」


「はい 将来はギルトの中核にと、、、。なれどあのユウゾーさんに知り合ってからは少し考え方も変わってきたかな?」


「ほう それは興味深い、是非その考えを聞きたいのだが?」


「ははは ならばまずは裏事情の事からですが、、」


此度の動きの裏側にはこの国が絡んでいるとダンカンは語り始めた。

元々はスネア王国とチャチャ王国との紛争騒動が端を発した、現在は共に互角の力関係において小康状態を保っているがいつ何時紛争に発展しても可笑しくない状態だ。


この紛争にて一番の危機的位置にあるのが実はユウゾー達がいるユーラシア国であるのだ。

両国に比べ圧倒的に軍事力も国力も落ちるこの国では生き延びる事に全力を尽くしていて、いざ開戦状態においてどの立場を貫くかで揉めに揉めている状態なのだ。


そんな折飛び込んできたのはユウゾーに関しての情報だ。

迷人 異邦人が現れた!

その不確かな情報にユーラシア国は一筋の光明を見た。


その出所ははっきりしないが、どうやら冒険者ギルドが絡んでいると。

基本国との関わりに中立を保つのがギルド方針であるが、ギルド内も一枚岩ではない。


当初その情報入手はなかなか困難であったが、裏からこの国に協力する者が現れた。

無論それなりの条件がその者達に裏で動いたのは当然な事である。


ユウゾーにどれだけの力があるかは依然不明であったが、それなりに伝わってくる情報を分析すると何かの時にはこの国の切り札としても使えそうだと結論が出て、ユウゾーの居場所確認にやっきになっていたが、どうやら大森林のエルフが絡んでいると判明。


エルフ達は先の内乱時に先兵として迷人に付き添い暴れまわられた苦い思い出でが語り残っている。

その後は以前と同じく森生活にておとなしくしているが平野部での力合わせなら別だが、森の中では人族は力押しとなるとそれなりの被害が予測される。


この国力にて力技で迷人を引き込むには正面からでは甚だ問題が大きすぎる。

ただこのまま指を咥えて待っていた場合、紛争の両国からもいつ迷人に触手が伸びるかも知れない。


まずは大森林の開拓村を管理しているエルフのギルマスを排除して迷人とのコンタクトを強化しろと方針が出て、ギルドの中枢に居る者が欲に目を眩ませてその策に乗ったと…。


「…なる程 それが裏の事情か。それを話しても良かったのか?」


「ギルマスからも承諾されています。折があれば話せと」


マーラは漏れ聞いた一連の流れをゆっくり自分なりに分析を始めた。


当面一週間に数回の投稿予定となります。ご理解の程お願い致します。

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