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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
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126 いざ 我が子達


ユウゾーの説得により泣き泣き冒険者達は開拓村へと帰路につく。


皆がヤレヤレと一息ついた数日後に別の冒険者達がやってきたが、結果は前回の冒険者と同じ。

ユウゾーの忠告も虚しく砦に真っ青になって逃げ込んでくる。


暫く砦内でガタガタ震えて中には半べそをかいてる者もいる。


 仕事にならん。ギルマス宛に無謀な冒険者の現状をしたため、虚しく帰っていく冒険者に必ずギルマスに届けろと手紙を託す。


何とか手をうたないとそのうち必ず悲しい知らせが入ってくるはずだ。

そうならぬ為に対応をお願いするしか無い。


その後も数日おきに冒険者が度々訪れるが、皆結果は同じ様なものだ。

不思議に思い冒険者達に状況を確認してみると、どうやら砦の城壁に過剰な評価が加わり、いつしかこの地でもあの城壁があれぱ魔物が防げるが、城壁があれば魔物など問題ないと甘い認識になっているようだ。


この城壁を褒めてくれたのは嬉しいが、どうも都合の良い解釈が開拓村にて広がっているみたいだ。




ギルマスがうごいてくれた。

当面3級冒険者以下はこの地への立ち入り禁止令が出され、守れないものは冒険者資格の剥奪もあり得るという断固たる方針がでる。


少しはこれで安心出来るかも、でもこれが腕自慢の冒険者達に逆に火がついた。

プライドの塊の冒険者達がオープン前にも関わらず集まりだしたのだ。


彼等は勇敢ではあるが無謀ではない、数パーティでの合同にて遠征隊を組み始めると砦の北地区にも進行してはそこそこの成果を上げてくる。


その時に何かと頼られ始めたのがユウゾー達である。

このヤバイ地域に住み込んで開拓まで行っている、オレオンでの活躍も冒険者つながりで情報が入っており、その無双ぶりに皆が興味を抱きいつしか集まってくる環境になりつつあった。


おまけにまだ冒険者向けの店もなく、ポーションや武器や鎧の補修にも頼れる存在となるといつしか判明し、何かあれば訪ねてくる者が出始めた。


僻地で頼れる有り難さはユウゾーも理解しているので前向きに対応している、なんせ人の命がかかっているからだ。


無茶な要望以外には対応しているが、基本は開拓が主目的なので手が余っているわけではない、訪ねてくる者が増えると肝心の自分達の仕事に差し障りが出始めた。


さて どうしたものかと考え始めた時に朗報が二つ届いた。


一つ目はついに道整備が完了し、明日より人と物の動きが大幅に開始される事になった。

ユウゾー達にとっても待ちわびた瞬間だ。

建物の建築に関してはまだ一部しか完成していないが、道開設に従事していた者達が今度は街の建設に関わりさらなる建設ラッシュが予測される。


2つ目はエルフ村からの支援部隊が、道の開通と前後して到着した事だ。

村のオサを先頭に総数30名にもなるエルフ部隊の遠征である。


第三村だけではなく、第一・第二村からも各5名が参加している。

ユウゾーの提案によるもので、今回計20名があつまった。


新しく出来る店の人手不足を解消する為にギルマスと打ち合わせながら、最低20名の人数確保に協力したのだ、一応一年契約なのだが個別に対応していく予定になる。


忘れてはいけないこのエルフ隊に守られるように、ニーナとアーシャが二人の赤子を抱いて到着した。

ユウゾーを初め新拠点のメンバーが大騒ぎになる。

誰もが二人が抱く赤子を見ようとたちまち人垣が出来る。


 えーと 私の子なのだが…。


人垣の外からユウゾーがぼやく。

二人共可愛らしい女の子で、ニーナの子をニーレイナ、アーシャの子がカーランダーと名付けたようだ。

共に尊敬する祖先の名をもらって名付けたとの事だ。

そうそうプラハもお役目を果たして、かなり疲れた顔で無事に到着したよ。


エルフ村で待望の男子が今回2名生まれ、それはそれは村をあげての宴会が一週間近く続いたそうだ。

補佐のミランダさんも見事男の子を誕生させ、オサが嬉しそうに今後を語り始める。

そうか 男の子か・・お祝いに何か送らねばとユウゾーはまだ見ぬ子に思いを馳せる。


その夜はオサの孫自慢が延々と続き、同行してきたエルフ達がまた始まったと苦笑い。

その後一週間滞在して開拓村のあちこちを見学しては驚いたり感心したりの毎日であった。

やがて渋々ながら村の民が心配するからと第三村に護衛と共に引き上げていった。


ユウゾー宅は今増築の真っ最中なのだが、これだけの人手があれば直ぐに目処が立つ。

大部分の者は暫くの間ユウゾーが作った大型テント暮らしで我慢して欲しい。


そうは言っても 動く宿屋と皆が噂する自慢のテントであるので、かなりの快適性は保証されている。

早速土魔法にて簡易トイレ4 それにお風呂場2を作り出し不自由が無い様対応する。



数は力だ しみじみユウゾーは実感した、増設していたユウゾー宅は20数名のエルフ達によりまたたく間に一棟追加された。


これでようやく個人部屋が各自に与えられてホッとしたユウゾーである。

後は開拓村の西門近くのエルフ達の集合住宅の建設完了を待つ。


その間ライラが講師となり接客業及び数計算の習得にエルフ20名の教育を開始した。

もうすぐギルマスを始め各店主達も移動してくるだろう。

すでに何組かの冒険者達が宿屋とギルドの開設オープンを待っている。


内装まで完成しているが、各種備品関連がまだ届いていない、あと5日程は日数が必要となる。

開拓村は職人たちの異様な頑張りにより日に日に建物が増えていく。


その日がついに来た、第一陣がギルマスを先頭に20数台の馬車が連ねて川を渡り新開拓村へ入ってきた。周りを警備する冒険者の数もばかにならない数だ。


皆が歓喜の声を上げギルマス等を出迎える。

新しい村の誕生だ。

移住者も目を輝かして新拠点の村内を馬車の中から見ている、不安もあるだろうが期待のほうが大きいだろう、これから宜しく新住民の皆さん。



各店への運び込みと整理にまる三日かかり、明日がギルドの旗揚げ日になる。

ギルド職員は計7名そのうち2名は現地採用の臨時職員となる。

つまり村のエルフ達がその役割になる。一人が経理の補佐、もう一人が窓口補佐である。


他に宿屋に2名派遣、各店の手伝いに残り10数名が派遣される。

ユウゾーが各店により報酬対応や勤務対応に問題がないように派遣業務の纏め役となり目を光らせる。


当初その方式をギルマスに話すと目を向いて驚いていたが、よくよく考えると実に合理的で無茶な労働からも守れる方式だと感心していた。


大切な各村からのエルフ達だ、嫌な気持ちで各村に帰ってもらいたくないからな。

今後は順調にいけば1年毎に外の空気を吸って、帰りにはお土産持参のパターンを作り上げる。

頼むぞ晴れなる第一号目の派遣部隊。


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