表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
125/281

125  いざ 開村準備


雪が少なくなれば開拓村では道作りが急ピッチで進んでいた。

ギルマス自ら陣頭指揮に立ち、いやが上にも第二開拓村への道作りは熱が込められていた。



「すっかり雪が消えたな、畑作りも再開かな」


春先の気候は不安定だ、雪が降ることはなくなったが、時折冷たい風に震えることもある。

暖かい日は農耕 寒い日は室内作業とユウゾーは忙しく毎日を過ごしていた。


ある穏やかな春先 畑仕事に夢中なユウゾー一家は何か辺りが騒がしいのに気づく。

耳のよいエルフ達が 人の声だ 其れもかなり大人数のようだ。


皆が門に走り出す、森の入口から何やら一団が向かってくる気配がある。

第三村からの支援にはまだ早い、もう少し暖かくなってきてからの予定の筈だ となると。


 もしや 皆が期待を込めて森の入り口方面からの来訪者を見つめていた。


期待を裏切らずに現れたのは なんとギルマスを先頭にした護衛の冒険者二組と、その後に続く人足風の大集団であった。


 道が継った! 瞬間的にユウゾー達は判断した。


正確には川の手前までなのだが、残るは新しい橋と此処までの数百m程度がまだ未完成ではある、しかし一本の大きな道が森の中に完成した瞬間であった。


 おーい 互いに手を振り大きな声で叫び合う。


久しぶりの再開である、ギルマスとユウゾーが互いにしっかり手を握りあった。




宿屋予定地は内装工事がまだ完了していないが、1階の床は貼られているのでギルマス以外の皆はこれで十分と喜んで宿泊場として利用した。

寒い地べたに寝るのとは段違いである。


ギルマスはユウゾー達の家にて旅の装いを脱ぎ、ようやく一息いれる。

後でお風呂に入って疲れをとってもらう、まずはこれからの予定を確認すると新しい橋と此処までの道作りを終えて一旦戻るそうだ。


開拓村から川まで道がつながったが正確には道の完成ではない、人が通るには問題はないが馬車等の通行には適していない。

整地整備が終えて初めて開通になる、整地に関してはまだ半分ほどしか済んでいない。

それらが完了して初めて物量が大きく動き始める。


なれどここまでくれば後は早い、日に日に道は姿を変えていく。


それにしてもギルマスの頑張りは少し度が過ぎるほどだ、疑問に思い尋ねてみると立ち上げて数年はギルマスがここに住み込むとの事だ。


ユウゾーがここの責任者を断るからわしが手を上げたと笑って答えた。

開拓村には代理でなんとダンカン氏が派遣されるとの事だ。


この新拠点に並々ならぬ決意で挑んでいるのが感じられる。

おかしな妨害工作など許さんと気迫に満ちた態度から察する事が出来る。



その夜はユウゾー宅の前で巨大なバーベキュー会場が作られ、皆が残りの酒と大量の肉と野菜でおおいに盛り上がり明日からの仕事の糧とした。


職人集団の仕事ぶりは目覚ましい活躍ぶりで10日程の期間で、橋の建設と此処までの道を切り開いた。

後は後発隊が道の整備を順次行っていく。

先発隊はギルマスと共に一旦開拓村へ戻っていく、ご苦労様でした。


ギルマスによると大工職人がギルマスと入れ替わりに到着予定だと説明してくれた。

内装の仕上げと新しく注文を受けた各商店及び集合住宅の建設がはじまるのだ。


 おお 入れ替わり立ち替わりこれから賑やかな毎日になりそうだ。



雪解けと同時にユウゾーが蒔いていたレンゲが育ちぼちぼちと花を開いていく。

レンゲは花を開いた後に地面にすき込めば窒素肥料になるし、蜂が蜜を吸いに来るからだ妻達の約束を守る為に畑の一角に植え込んでみた。


巣箱も手作りで冬の間に何個か作って設置してみた。

確か春先に巣分かれして新しい場所を探し求めると聞いた事が…。

初めての事ゆえ手探り状態でのスタートとなる。


春野菜の種も蒔き終わり成長を待つだけだ。麦も一際大きくなっていく。

葉物は今年も順調そうだ、元気に育て。



大工職人が到着して更に元気に建設の音が森に響いていく。

次第に建物が増えていく様は見ていて楽しいものだ。


これこれそこのエルフ、そんなに頻繁に巣箱を覗きにいったら蜂が警戒して近寄らないぞ。

気持ちは分かるが少しは遠慮しなさい。


おっ 去年植えたアスパラガスの芽が出てきた。

確か最低二年は取らずに根を育てると…。うーむ 良く分からん。

後でカリナ達に聞いてみよう。


さて 雑草取りが大変になってきたな、全員集合手の空いてる者は手伝う事。

何? 魔物退治が忙しいと、確かにこの所元気に活動しているからな…。


ぶつぶつ言いながらユウゾーは草取りを再開する。




「「うお ここだ、何だこの拠点凄いぜ」」


 うん 騒がしいな、はて 冒険者? 

見慣れぬ者達が10名ほど近寄ってきた、どう見ても冒険者だがまだ施設も何も出来上がっていないぞ。


「「あっ ユウゾーさんだ」」


 えっ 俺を知っているの 誰だ?


親しげに挨拶する冒険者に事情を聞いてみると、開拓村では新開拓村の話で持ちきりで、今や遅しとオープンを待っている状態だそうだ。

施設が出来上がっていないのを承知で仲間を誘い誰よりも早く稼ぎに来たそうだ。


ユウゾーの件は開拓村で知らぬのはモグリだと言う、なんせあのギルマスに喧嘩を売った第一号として皆が尊敬していると…。


確かに身に覚えがありますな…。


無理はするなよ、ここの魔物は手強いぞ。慣れるまでは北の方角は行くな、西か東で地道に稼ぐのが一番だ、何か不足品があれば相談においで心意気に免じて安く分けてあげる。


門は今は南門だけが開いているが、夕方には閉めるぞ。

それまでには必ず帰ってくるんだぞ。


冒険者たちはお礼を言って意気揚々と森に向かっていく。


大丈夫かな?それほど装備も良い品ではなさそうだが、、。

後ろでミーアがユウゾーは人が良いと笑っていた。


いやいや孫娘みたいな彼女等が心配なんだ…。




案の定 魔物にぼこぼこにやられて必死に砦に逃げ帰ってきた…。

言っただろう まぁいい勉強になったかも、下級ポーションあげるから傷を直して明日村に帰りなさい。


えっ 一旗揚げるまでは帰れないと?

あのね 心意気は買うけど、世の中甘く見るのではありません。


西か東でこれだけ苦戦しているのなら、凶暴な北区に迷い込んだら骨も残らず食べられてしまうよ。

悪いことは言わないから今回は諦めて帰りなさいな。


開拓村の他の者にも正しくこの地の情報を伝えてね。

多少の腕自慢はこの地では通用しないと…。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ