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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
119/281

119 いざ 来訪者参入


ユウゾー達が開墾に明け暮れる新拠点に突然の訪問者が現れる。



「うん? 何だ 叫び声が聞こえる」


それに気づいたのは耳の良いエルフ達であった、皆が耳を(そばだ)てる。



「「「うぉー 助けてくれ こっち来るな!」」」


 いかん 誰か助けを求めているぞ。


皆が慌てて農作業を中止して門まで走り出す。

門から声のする方向を見ると数名の冒険者と思われる者達が必死に此方に逃げてくる。

その後ろから数体の魔物が・・・オークだな!


「こっちだ!門の入口はここだぞ」


ユウゾー達が声を荒立てて指示する、数名がサイコガンを抜きいつでも撃てる状態に構えた。


「「「うわぁーー」」」


門の中に冒険者たちが奇声をあげながら逃げ込んできた、と同時に銃が一斉に発射されて魔物たちが大きな叫び声と共に大地に地響きを上げて転がった。


「「「ひーっ た 助かった」」」


大地にひれ伏して荒い息の冒険者たちからすかさず安堵の声があがる。

冒険者を見ていたミューが目を丸くして叫ぶ。


「何をしているのだ カリナ!!」


何と その数名は元ミューが所属していたパーティの者達でリーダーはカリナと言う。


「お おう、久しぶりだミュー」


もう夕方に近い詳しい話しは後にして、隣の寝起きしている最初の砦の方に全員移動する。


「「「す 凄いなこれは正に城壁クラスの作りだ」」」


高さは少し不足しているが100m四方程の土壁の頑丈さは一目で分かるほどの異彩を放っている。


 うん どうしたプラハ?さっきからユウゾーの後ろに隠れるようについてくるが、、。


カリナは土壁に感心しながらも、時折誰かを探しているような視線を感じる、その視線がユウゾーの後ろにいるプラハに焦点が合う、途端にプラハがビクッとユウゾーにしがみついた。


 な なる程 そう言えばこの二人は・・。


数ヶ月前の宿屋の一夜の出来事をユウゾーも思い出した。

頑張れプラハ 別にカリナはお前を食べたり、いや 別の意味でカリナに食べられたなお前、、。



夕食の準備にライラ他数名のエルフが忙しく働いている。

食事が出来る前にカリナに訪問理由を尋ねる。


ギルド長からの特使として伝言を伝えに来たとのことだ。

しかしよくぞ慣れている森とは言え3名で来たものだ、、。


「そうなんだ 私らは反対したんだ、川の手前ならまだしも対岸へ渡るのは危険だと」


それをカリナは強引に仕切り依頼を受けたと?


「いやー 対岸と言っても数百m程度進めば良いと聞いたので、それに、、」


視線をプラハに向けにっこり微笑む。プラハが固まる・・。


 なる程 予想通り別の思惑絡みだな、ユウゾーがため息をつく。


周りのエルフ達も何となく状況を理解したようだ、皆苦笑いをしている。


 さて そこらの事情は一旦置いて伝言を聞かせてくれ。


ギルマスからの伝言はこのプロジェクトが正式に本部も認めたと言う事だ、

それにより金もかなり融通がきくので遠慮なく欲しい物を依頼してくれとの事だ。

それともう一つ森を突き抜ける道作りもスタートしたと、予定通り来年の春に開通予定だと。


 そうか 今の所不足品はないな、穀物はかなり買い占めたし野菜類はもうじき採取出来る、調味料も不足してないし塩は前回大量に岩塩採掘したよな…日用品はどうだ?


ライラを呼びそのあたりを聞いてみる、女性に必要な物もあるだろうし。


 いえ かなりの品を買い置きしてますので余裕があります。そうですね先になりますが、冬物が少し手薄かな?でも魔物の皮が大量に手に入ってますから作れば良い事です。


 おう 的確な判断有難う、、。


定期的に開拓村から現地の様子を見に来るとの事だから、万一不足品が出ればその都度で問題なさそうだな、、。


その旨をカリナに伝えギルマスの協力に感謝の言葉を伝えてもらおう。


「そ それでだな。今回の依頼は急ぐ用でもなく暫くこの拠点で私達も過ごさせて貰えないか?」 


それは構わないがタダ飯はだめだぞ。それなりの労働をお願いするが良いか?

それとあまりプラハを怖がらせるなよ。


 任せろ 約束する。それに私達は元農家の出身だ、役にたつぞ。


 ほう それは頼もしい、では宿泊施設は俺に任せてくれ。


ユウゾーはそう言うと立ち上がり、予備の中型テントを一角に設置した。

4~5人用なので多少手狭だが勘弁してくれ。

簡易ベットと寝袋等も作り出した。


「こ これが噂の動く宿屋か?」


カリナ達はベットや えあーまっと なる物に興味深々のようだ。


 でもなんだ、変な噂が広まっているのか?


ギルマス室にテント一式を飾ってあるそうだ、特に簡易ベットにエアーマットそれに寝袋はギルマスが忙しく書類作成をこなす時には、そのまま寝泊まり用に活用しているとの事だ。


 何なんだ あの婆さん。ギルマス室にて寝泊まり用に使っているのか、、。


マーラが腹を抱えて笑っている。


 飯だ 夕食にしよう、ユウゾーはやけ気味に皆に夕食の準備開始を伝える。


いつもの順番が逆になったが、夕食後は二つ作ってある風呂場にてカリナたちにも入ってもらう、初めての体験にミューが一緒に彼女達と入浴して使い方を説明している。

当然次の日からカリナ達の楽しみな場所になったようだ。



翌日からカリナ達が農耕のメンバーに加わり其の力を発揮し始めた。

農家出身に嘘はないようだ、3名は活き活きと動き回っている。


「もう少し様子を見なければ判断できないが、冒険者より此方の家業が向いてないか?」


隣で鍬を振り下ろすマーラが手を休めてカリナ達を眺める。


「そうだな、彼女達は冒険者としてはそろそろ限界に近いような気がするな。このまま細々と冒険家業を続けるか他に職を求めるか考え時の様な気がする」


どちらに進むにせよ、これもなにかの縁だ、相談事があれば聞いてやるか そうユウゾーは思いながら彼女達の働きぶりを眺めていた。


結局彼女達は半月近く滞在していやいや開拓村に帰っていった、あまりにも遅くなるとギルマスも心配するからとのユウゾーの説得に応じての旅立ちだ。


川岸まで皆に朝早く見送られ何となく淋しげに橋を渡って森の中に消えていく。

土産代わりの食材を何日か分詰め込んであげた、何がそんなにこの拠点を気に入ってくれたのだろうか?


マーラが笑いながら指を折って数えた。

一つ 食事の豊富さ  二つ 風呂の快適さ  三つ 適度な大地との農耕  四つ 気分転換の狩猟 五つ ・・ もういいぞ マーラ。


さて、今日も一日いい天気だ、野菜も順調に収穫し始めたし頑張って拠点作りの続きだな。

ユウゾー達はゆっくりと自分等の拠点に踵を返して歩み始めた。


お知らせです。明日より投稿時間を少し早めて、朝8時に投稿予定です。

場合により前後する事はお許し下さい。

冬本番です、体調にはご自愛ください。

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