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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
116/281

116 いざ 新拠点設立


ユウゾー達は開拓村から新拠点に移動を開始する。


魔物対策はユウゾー達が引受、冒険者達は後方の安全確認とギルマスの警備に注力してもらう。

エルフ達は特に村からの支援部隊が張り切っている、久しぶりのサイコガン使用に気分が高まっているようだ。

次々に魔物を倒しては嬉しそうに魔石を回収している。


夕方の野営地では一騒動があった、ユウゾーが増員のエルフ達の為に大型テントを二張追加で魔法袋から取り出して設置すると、計三張の大型テントは目立ちすぎた。


冒険者たちが集まりワイワイガヤガヤとそれは大騒ぎの序幕となる。


プラハがようやく簡易トイレとお風呂場を各2つ作り終えると、物珍しそうにまたワイワイガヤガヤ、決め手はユウゾーによる堀工作と防御柵の設置に流石に初見者はあんぐりと口を開いて言葉も出てこない。


ユウゾーとて目立ちたくはなかったが、皆の安全を預かる責任者として設置せざるを、、。


「ごほん 何だそのユウゾー達は常にこの様な野営を?」


テント内にある簡易ベットと柔らかそうな えあーまっと に寝袋・・。

外にはトイレとお風呂場それに堀と防御柵・・。


 何なんだ これは?


流石のギルマスもしばらく感心するやら呆れるやら、、、。


「全てユウゾーの手作りだ」


ミューとミーアが当然という顔でギルマスに説明する。


 えーと 食事の準備を手伝ってもらえれば・・。


何も出来ずに固まっている冒険者達とエルフの新規5名に言葉をかける。

異世界の夜はまだまだ騒がしく時間が過ぎていく。




「驚いた 何だあの快適な睡眠は」


次の朝 ギルマスは妻達のテントに泊まり目覚めてからの第一声をユウゾーに問いかけた。

食事の準備をエルフ達としていたユウゾーは朝の挨拶を交わしてギルマスに答える。


 えーと 初めての方は皆さん同じ様な感想を・・。


「移動する 宿屋か?」


 はい それもよく聞く感想ですね。


「・・持って帰る」


 はい?! それは流石に初めてかな?


「持って帰るのだ」


 ・・はいはい 個人用テント一式で良ければ作ります。

 でも 今後使うチャンスがあるのかな?


ユウゾーはギルマスの要望を受け入れた。

それを聞いていた他の冒険者たちが羨ましそうにギルマスを見ている。


 君達もう少し我慢してね、新拠点設立時には販売予定です、毎度。


昨晩の夕食もそうだが、朝の朝食も皆がつがつとよく食べること、、。

変な癖がつかぬよう簡易な食事にしたいが、口の肥えた妻達からのブーイングが怖くて作れません。




「この川を渡れば目的地なのだな」


目の前に流れる川から対岸を望む、3日目の夕方にようやくこの川まで到達した。

今日は此方側で野営の準備を行い明日は朝一で新拠点に移動する予定となる。


夕方以降に対岸に渡るのは危険が増大するからだ。

明日は拠点の砦化を進めていく予定になる。


夕食後にギルマスや関係者を集めてギルドの建設予定図を再度確認し、手早い作業で安全地帯を作り上げる作戦を話す。


「施設や街並みは100m四方で良いのだな」


「そうだ 現段階では出来るだけ小規模な必要最低限の街並みにしたい、その後必要に応じて拡大するのがこの地区ではベストだろう」


最初から余裕を見ての村作りが一番良いが、この地では魔物の襲撃を受けた時に大きな区画だと防衛に必要な人数が不足し、結果的に被害の拡大につながる恐れがある。

身の丈に合った村作りが求められる。


「よし 明日は私と土魔法の使い手のエルフ達との正念場だな」


更に細かい点を打ち合わせて、エルフ達に明日の手順を十分に理解してもらった。

さて今夜は明日の為に早寝で体力保存だ、その言葉に少し不満気味のマーラがいた、、。




朝食完了後に全員で丸太橋を渡り対岸に着く。

ここから臨戦体制で注意深く進んでいく、森の中を進むと少し開けた広場的な一角があり、その中心に10m四方の土壁が築かれていた。


その土壁にユウゾー・マーラーとギルマスが近づいて調査開始となる。

他の者は土壁をぐるりと一周取り囲み警戒態勢で森の中を監視する。

ユウゾー達は丁寧に土壁の破損状態を確認した。


「見てくれ この箇所を、かなりの攻撃が加わりほぼ限界に近い」


「ふむ よく持ったと言うべきだな、高さから判断してオークかオーガ?」


「オーガは流石にこの地点ではいないはずだ、もっと奥地に住んでいる。オークのソルジャーかジェネラル級?」


「うーん そのクラスであるのは間違いないだろう。ユウゾー土壁は更にこれ以上強化出来るのか?」


「任せろ この土壁は全力の6割程度の強化だ」


「ほう それは頼もしい、なら今回は最低9割以上の強化で頼むぞ」


調査と今後の打ち合わせが完了した、土壁は完全に破損された箇所は無かったが、破損寸前まで痛めつけられた箇所が何箇所か見つけられた。


「よし 作業開始だ、皆打ち合わせ通りに頼むぞ」


おおー!!! 頼もしい声が辺りに響く。


 ユウゾー 基点はここでいいのだな?  そうだ 頼むぞ。


エルフが二人一組になり基点場所から森の中へ紐を持って走り出す。

紐の長さは約100m程度に目印の印をつけている、その印が出るまで真直ぐに進んでいく。

途中邪魔な木は切断の魔道具により切り倒される、その作業を二方向同時に行う。


数名が各測量隊の護衛について他の者は森の監視に余念がない。

やがて二本の紐が直角に張られるとユウゾーは簡単な器具で角度を調べ、多少の移動を行いつつ合格の指示を出すと、残りの二辺に向い動き出す。


「よし 土魔法隊作業開始だ」


プラハも入れて6名が引かれた紐の横に等間隔に並び土魔法にて土壁作りを開始した。

個人によって出来上がる土壁の強度が多少違うが気にしない、まずは素早く壁作りの完成を目指す。

最終的にユウゾーが補正していくのだ。


「ユウゾー紐を引き終わった 確認してくれ」


その声に反応して駆け出す、角度の調整を若干行い合格となる。

測量班の仕事は完了しその場で辺りの警戒に移る。


「ユウゾー 北方面から魔物が出たぞ」


「此方からも3体出現」


現場が一気に賑やかになる、警備隊が攻撃を加え撃退していく。

魔物は次から次に現れるが群れをなしていないのが幸いだ、その度に魔物たちは駆逐されていった。


「よし 一辺が完了だ」


土壁が6名の協力により100m分完了した。

次の一辺にマナポーションを飲みながら魔法隊が移動していく。


ここから先はユウゾーの出番だ、完成した土壁に取り付きユウゾーは魔力を注入していく。

高さの調整と強度の強化が終わった壁が20m程完成した、移動してさらに魔力を込める。




「二辺目も完了した」


此処までは魔法隊もよく頑張っている、だが少し疲れが見えるので小休止してもらう。

その間にユウゾーが最初の一辺の補修を終わらせた。


高さ3mの完成した一辺の壁に数名の戦士が飛び乗り前面の敵監視に移る。

出来上がった壁をギルマスが手の甲で叩きその強度を確かめた。


「凄い強度だな これが完成したら大概の魔物は怖くはないわ」


改めてユウゾーの並外れた土魔法の威力に感嘆の声を上げた。


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