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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
113/281

113 いざ 新拠点打ち合わせ


村から離れる一週間の間、ユウゾーはこまめに村の不足している作業に力を発揮していた。

一輪車の増設や泥塩現場の手直し、評判の街灯設置の追加、村の堀の強化等エルフも感心する程の働きで次から次に村の為に要望をこなしていく。



「どうだ 塩の選別は?」


「お兄さん 大変順調だよ。有難う」


年少組の子供達が皆喜んでいるようだ。

機器の選別機能も問題なく稼働してかなりの手間が省力化できたように見える。

子供達も今では交代で機器を動かしているので、少し遊び時間が増えたのかな。



「ユウゾー少し休めばどうだ?動きすぎだろう」


マーラが呆れたように忠告するが、貧乏性のユウゾーは大した事などないと次の場所に移動する。

村の人々が楽しそうにお喋りしているが、その様子を満足気に見ながら挨拶を交わす。


「よし これでいつでも村から離れる事が可能だな」


するべきことをこなしてユウゾーは明日村から離れる予定をオサに伝えに行く。

お世話になる妻達の面倒をお願いしつつ、持参したポーションを万一の場合に使って貰うために手渡す。

上級ポーション5本と中級ポーション20本を置いてきた。


エルフ達も独自のポーションを作製しているが、ユウゾーの作製したポーションの方が性能はよい。

出産を控えている妻達の為にも預けておく。




村人や妻達の見送りを受けながらユウゾー一行は再度開拓村に向けて村を離れる。


「何か慌ただしい一週間だったな・・」

ユウゾーは村が見えなくなり何となく思い出しながら呟く。

周りの妻達は苦笑いしながら頷く。


「そうだな よく働いた一週間だったぞ」


「マーラ 新拠点の場所に良いところはあるかな?」


「ふむ 何箇所かある事はあるが、キリアーナとの話合いが必要だろう」


そうか 闇雲に森を動き回る必要がなければそれに越したことはないしな。


「ならば少し安心したが、ギルドは何処に予定地計画をしているかに依るな・・」


ギルマスとの交渉をせねばならぬと歩を進める。




「おう 帰ってきたか。村は変わりないか?」


ギルマスが何故か上機嫌でユウゾー達を出迎える。

不思議に思いギルマスに理由を尋ねると、本部にいる者の人事異動がこの半月の間に行われ、ギルマスが懸念していた人物の一人が汚職に依る不祥事が発覚して地方へ飛ばされたらしいのだ。

どうやらこの半年以上を費やしギルマスが裏から手を回していたらしい。


「まだ 問題の人物が二人ほどおるが、当面は大人しくなるだろう」


ギルマスが悪い顔を浮かべながら微笑む。

ユウゾーは軽いため息をつく、まぁ少し大人しくしてくれればその間に此方も動きやすい。


「で 例の話しの結論は出たのか?」


「ああ 妻達も概ね了解してくれた。後は詳しい話しを聞きたい」


ならばとギルマスは皆がいる席にて詳細な話しを語りだした。

ギルド案としてはここから3日ほど西に移動すると森を横断する川にあたる。

その岸の何方か近くに新拠点を作る案が有力視されている。


岸の近くと言っても川を渡るかどうかで魔物の強さが桁外れに違ってくる。

安全面を考えれば川を渡るより、川の手前で新拠点を作るほうが色々と有利となる。


万一魔物達の暴動が起きればどれほどの強い魔物が集まるか予測がつかない。

せっさく作った拠点ごと破壊される可能性が大なのだ。


「正直川を渡った場所に拠点を設置すると、守りの人数がかなり必要となるしギルドとしてもそれにかかる費用がバカにならない金額となるからな」


「キリアーナ、警備兵はどれほどの数を置くつもりだ?」


マーラがギルドの体制を尋ねる。


「・・予算的には10名以内が限界だ」


「・・ならばもう結論は出たな」


「そうだな、とても川を渡った地点では対応出来んな」


川を渡る場合そこそこの冒険者達でも数パーティで行動するのがこの大森林の慣習になっている。

過去には単独パーティで挑んだ者がいたが、生存率は酷いものだった、その為にいつしか単独パーティでは挑まないルールが定着していた。


「マーラ、川を渡った地点で拠点作りに向いている場所があるのか?」


黙って聞いていたユウゾーが口を開いた。


「まさか 川の向こうに渡るつもりか?」


ギルマスが驚きを込めて尋ねる。


「土地次第だ。農業に向いている土地は何方も変わらないのか?」


「・・土地の肥沃度から判断すると、川の向こう側が圧倒的に豊かだ。理由は分からん」


「ふーむ ならば土地を確認してから判断するか」


「ま 待て。土地が豊かなのは私も知っているが、危険が大きすぎる。無謀だ」


その言葉に反応せずにユウゾーは再びマーラに問う。


「マーラどうだ、お前の判断は?」


「・・今の私達ならさほど問題は無いと判断する。ただ魔物の数が多いのと岩塩地帯が近くにあるかが調査しなければ分からん」


「その地点で今分かっている近場の岩塩地区は何処に有る?」


「川の手前側でおよそ片道3日は必要になる」


「・・ならば冒険者達の依頼に使えるな。ミュー お前の意見はどうだ」


「マーラが左程問題ないと言うならそれに従う。また塩運びは冒険者の良い副収入になるし」


ユウゾー達の会話を呆れた様子でギルマスが聞いている。


「土地がある程度決まったら、周辺の魔物を殲滅しなければならないな」


「ふむ 腕が鳴るぞ」


ミーアとミューが顔を見合わせて笑っている、その隣でライラとマーラも苦笑いで二人を見ていた。


「何と そこまでお前達は自信を持っておるのか?その自信は何処から来るのだ?」


「自信もなにも、森のダンジョンでの暴発時に魔物から完璧に守ったユウゾーの土魔法での砦なら大概の魔物を防ぐことが出来るからな。それに我等にはこれが有る」


マーラが腰のサイコガンを握り締めると皆も同じく銃を触る。


「クッ それを皆が使いこなすのか・・」


サイコガンに関しては前にギルマスもユウゾーと揉めた時にその威力の一端を目にしている。

その時の驚きを今も鮮明に覚えているギルマスであった。


「まぁ 最終決定は土地をよく見てから決めたい。その他の話だが、、」


ユウゾーは他の取り決めに関して話しを進め始めた。




「ふむ これであらまし確認事項は互いに話終えたかな」


「うむ ギルドとしても全面協力は惜しまないつもりだ」


後は現地検分後に再度条件面の話合いを持ち、契約書を交わすだけになる。

ユウゾー達はギルドから出て宿屋へと向かう。


「ユウゾー 土地はどれくらいの広さを考えているのだ」


「基本広ければ広いだけ良いが、最初は適当な広さで良い。後で状況を見ながら拡大すれば良い」


「へへ 私達の土地作りか、楽しみだなぁ」


誰も気負う事なく皆が実に楽しそうに会話を続け宿屋に到着する。



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