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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
111/281

111 いざ ギルドの案件


門を守る兵士が出迎えてくれる。

基本仕事量が少なく暇なのだ、ミューとのお喋りはなかなか途切れない。


ようやく村の中に入り込んだ一行はまずは宿屋にて宿泊手続きをする、その間ユウゾーは借りた馬車の返却に向かう。

此の村から先は馬車での通行は困難な道が続くのだ。


やれやれこれで宿屋で休めると歩き出したユウゾーの背に声がかかる。


「おい小僧、何故に此処にいるのだ」


あいた。ギルマスに見つかったか・・。

この婆さん暇だから村を彷徨(うろつ)いていたな。


「・・何か失礼な事を考えていないか?」


ギルマスが突然魔法の詠唱を唱え始めた。


 じ 冗談だろ、此の婆さんめ。


「ふん 話しを聞いてやる、部屋まで来い」


あーあ 一番会いたくない人に会っちまったな。 ユウゾーはドナドナされる。




「何とアーシャが懐妊とな。それで急遽エルフ村へ行くのか」


まぁ 他に知り合いもいないからね。

お茶をご馳走になりながら話し相手になる、つまりこの婆さんも暇なのだ。


「ふむ そろそろ落ち着く先を見つけてはどうだ?金はそこそこ持っておるじゃろう」


「其の件で現在検討中です・・」


下手な説明をすれば何となく藪蛇になりそうなんだよな。

その後もあーだ こーだと詮索は続く。

のらりくらりと躱しながらユウゾーは切り上げ時を探す。


「そんなに決める先が無いなら、ギルドの案件を手伝うか?」


 うん?ギルドの案件?何のこっちゃ、、。


「ほう 少し興味があるか?ならば話してやろう」


しまった!移住に関係することだと言われて興味を持ったのが失敗か?



この開拓村が出来てもう10年近くになる、当初は森のアプローチ拠点として作られ、数年前から移住も認めてきたがなかなか希望者は増えないのが現状だ。


移住者に関しては今後共根気よく募集をかけるが、当初の本部ギルド案では更に奥地に第二の拠点作りが予定されていたが、この案件は現在ボツになっている。


理由は明白、ずばり魔物が強すぎる。

第一拠点でさえ持て余し気味なのに、更に奥地の第二拠点など夢のまた夢と言う話だ。

だがギルド本部は末端の事情など関係ない、何故いつまでも第二拠点を作らぬかと文句ばかり言う。


何度となくそこらの事情をしたためた文書を送っても、いつも一方通行の有様。

推測するに本部内部に邪魔する人物がいるものと考えられる。

平たく言えば開拓村のギルマスを追放しようと考えている人物だ。


思い当たる人物は数人いるという、場合によってはそれら全員が絡んでいる可能性も有るらしい。


 まったく 敵の多い婆さんだ、、。


「で 俺にどうしろと?」


「拠点作りを手伝え、条件としてその拠点の管理を任す。森のダンジョンの暴発を未然に防いだお前達なら問題なく対応出来るはずだ」


「拠点作りの場所と費用は?」


「一応案は決まっているが場所はある程度自由だ。費用はかなりの金額が本部から出る」


ふーむ ユウゾーは暫しの熟考に入り、やがて口を開いた。


「答えはNOだ。金を出すと言うことは口も出すと言う事だろう?所詮ギルドの紐付きに成り下がるのが運命だわな、場合によっては命がけで作った拠点から追い出される可能性もある」


そんな事はさせんとギルマスが憤るが、いつまでも目の色が黒い筈がない。やがてはなし崩しに潰される可能性がある。


何故なら本部の敵はギルマス潰しに重点を置いているからだとユウゾーは説く。

拠点作りが失敗すれば責任を取らされるだろうし、成功すれば自分等の発案で利益が出たと手柄を持っていく、その後ギルマスの息のかかったユウゾーを排除して自分等の配下に変えてギルマス潰しを再度始める筈だと。


 うーむ 考えられるな・・。いっそ先手をとり分からぬように殺るか。


まて 待て。物騒なことを言うものじゃない。最終手は任せるがその前に確認したい事がある。


「まずその拠点を個人で作ったらギルドはどう動く?」


「何と 個人費用で拠点作りだと?」


何をバカな事を考えるのだ、いくら金額がかかるか分かっているのか?

拠点を作る場所は森の奥だ。材料費に運搬費や人足手当と簡易宿泊建造費 全員のメシ代等々 考えればとてつもない金額が動く事になる。

個人で賄うことは絶対とは言わぬが限りなく無理であろう。


ギルマスの言いたい事は分かる。その上で敢えて問うのだ。


「もし作れたらギルドはどう動く?」


ギルマスは考え込む。


「仮定の話で言うならギルドとして利用しない手はない。業務提供として契約を結ぶ可能性が大だ」


「・・その条件は?」


「・・ピンからキリまでだな。何を希望する?」


「希望は後日提案だな、つまり私一人では決められない問題だ」


ユウゾーはにやりと笑う。


「確かに妻達に相談が必要な懸案だ。いつ返事を貰える?」


「そうだな アーシャを送って少し村で休んでからまた戻ってくる。その時でよいか?」


「うむ 了解だ。よい返事を期待する」


ギルマスとの密談が完了してすっかり遅くなり慌てて宿屋に戻る。




「遅い 皆腹を空かして待っていたのだぞ。何をしていたのだ」


腹空かしエルフのマーラが怒り出す、ユウゾーは理由は食事しながらとひたすら遅れた事を謝り続けた。

まったく会った当初はこんなに食には煩くなかったのだが。

マーラのご機嫌はなかなか直らない、お酒を付ける事でようやく機嫌が直る。

他の妻達が笑っていた。


あれ?もしかしてこれを狙っての頭脳戦?やられた・・。




「ふう~ん つまり森の中に私達の拠点作りをしたいと?」


「それに完成後はギルドの前線基地になる事に?」


いや それは正確ではない、あくまで一角を貸し出す契約になる予定だ。

作る拠点の大きさにもよるが、ギルド施設は最低限にしてもらうつもりだと補足する。


「ユウゾー 得意の土魔法の裏技を活用する気だろう」


おっ ミーアさん鋭いね。木での柵作りより手間がかからずに、将来増設も簡単だ。


「私は皆さんが住むならどこでも良いですよ。それにユウゾーの作る村作りに興味があります」


ライラも前向きで有難う。


「ならば居住区とギルドの商業地区を最初から分離した方が良さそうだな」


 だよね ミューも協力ヨロシクです。

 えーと マーラさんずいぶん今日は静かだが・・。


「私か、基本ユウゾーの行く所に付いて行くだけだ。ここにはいないがニーナも同意見だと思うぞ」


 おう 随分男前の意見ですな。


「だがユウゾー ギルドと契約して何を狙っているのだ?」


 おお 確信を突いてくるな。


「これについてはまだ構想途中なのだが、逆に皆に良い考えがあれば是非聞かせて欲しい。上手くギルドを利用出来る拠点作りを」


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