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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
109/281

109 いざ アーシャ懐妊


家に帰り着くとユウゾーは早速購入した特級ポーションを前に増産体制を始める。

劣化版複写で特級品から70%落ちの上級ポーション作りを行う。

試しに1本作ると鑑定をしてみる。


間違いない、上級ポーションの誕生だ。

魔力切れ寸前まで作成すると15本分の上級ポーションが出来上がる。


 よし これで各自に予備を含んで2本もたせる事が出来る。


欲を言えば特級ポーションも各自1本持たせたいが、もう少し先の話しだろう、最悪1本購入したこの特級ポーションで何とか事が済めばよいがと枯渇した魔力をマナポーションを飲みながら考えているユウゾーだ。




一週間近くの休暇?を終え明日から北のダンジョン攻略開始となる。

不足している食料関連の買い占め(主に屋台だが)も完了して早めに休む事になる。

おっと 今日はアーシャか、任せなさい。


朝早く北の門から寝坊助マーラの手をひいて出発する。

半日田園地帯を進み森の入口に到着する。

休憩と食事を済ませると森に入り込む、あと一日半森の中を進むことになる。


魔物を倒しながら夕方には予定の野営地に到着する。

野営の準備が終わった頃、新たに6名のパーティが到着した。

何故か顔が引き付き気味に挨拶を交わした後にユウゾー達から離れた場所に陣どる。


堀と防御柵を見て少し引いたようだとミューが笑いを堪えて説明する…。

なぜだ?! 何故引くのだ…。解せん!


他の妻達もこの話題に入らぬように、顔をそむけている…。

一人マーラが もういい加減慣れたわ と呟きながらため息をついた。

非常に不満顔のユウゾーをあえて皆が無視しながら、美味しい夕食タイムに移る。


おっ 今日の夜番はプラハが一番手か、ご苦労さま。お先だよ。

ライラおいでと声をかけると小走りにライラが駆け寄ってくる、他の妻達オヤスミ、、。



ダンジョンに続く森の小道を魔物を倒しながらひたすら進み、ようやくダンジョン前の広場に到着した。

何組かのパーティが野営準備を行っている。

マーラが近寄り笑いを堪えながら 此処は目立つから陣はほどほどにな と諭すように話す。


 ・・了解だ、、。仕方ない大量に魔除け袋を撒いておこう。


どうにも今だ完全に納得出来ないユウゾーは渋々マーラの指示に従う。



 さて 今日も順調に一日が終わるな、えーとミーアは何処に? 

 えっ とっくにユウゾーのテントに入っている? そうか…では皆さんオヤスミ。


そんなユウゾーを見つめてプラハが染み染みと呟いた。


 凄いなユウゾーさん、尊敬します…。


何を尊敬するのか知らねども、異世界の夜は更けていく。




ダンジョン攻略は順調に進んでいると思われた三日目にトラブルが発生した。

魔物を倒していたアーシャが突然嘔吐して座り込んだ。

皆が慌ててアーシャを守りながら20階層の安全地帯へ運び込む。


至急野営のテントを作りアーシャを寝かして暫し様子確認に追われた。

食あたりにしては可怪しい、特別に変なものは食べていないと言う。


確かにアーシャは何処かの誰かと違い食い意地は張ってはいない。

気が付かぬ内に何か体調不良がおきていたとしか考えられなかった。

取り敢えず横になって安静していれば大分治まると言うので寝かしつけて様子見になったのだ。


テントの内部にはライラがアーシャに張り付き何かあれば知らせてくれるとの事だ。

寝ている者の邪魔になってはいけないので、テントから少し離れた場所で皆がお茶を飲みながら取り敢えずは一息入れた。


健康体の塊のようなアーシャが突然のトラブルで少し皆の雰囲気が暗くなる。

これ以上の探索は無理なのでアーシャの回復を待ち帰還する事に決定する。


そう言えばこの数日前に何かアーシャが体調がイマイチだと呟いていたのをミーアが聞いていた。

心配して本人に尋ねた所、軽い疲れかもしれないと笑っていたのでつい報告が遅れたと。


一時間ほどしてライラが皆の所に来て報告をする。

少し寝てかなり体調が良くなってきたと本人が言っている。

只相変わらず軽い吐き気と胸のむかつきに悩まされているようだ。


 「ユウゾーさん確かスッパの実を持っていたわね?」


スッパの実は調理に使うために何個か袋に入れてある。

レモンによく似た果実で結構隠し味にも向いている。


 「何か食べたいものがないかと尋ねたら、少し酸味の強い果物が食べたいと言うの」


それならレモンみたいに輪切りして食べやすくしようと、ユウゾーは実を切り皿に盛り付けしてもっていってもらう。


やれやれ食が少しでも出始めれば一安心かな?

皆もホッとして軽口も出始めた。


 酸っぱいものがいいなんてまるで妊婦さんね。


誰かの軽口に皆もつられて微笑む。


 そうだな まるで妊婦…おい!まさか本当にそうなのでは?


ユウゾーは不意に症状から可能性を考え始めた。


 あっ 言われれば、よく似ているな。


マーラが はっと思い出して皆と顔を見合わせた。

ここにいるメンバーはまだ誰も子を生していない、かえってユウゾーの方が耳年増で妻や子供達の妊娠時の状況を何回か見聞きしているのだ。


ライラが上機嫌で空の器を引き上げてきた、すごく喜んで食べていたと嬉しそうに報告する。

他の妻達が一斉に反応した。


「「「間違いない!」」」



何人かの妻がアーシャのもとに確認に走った。


「ふむ 第一村のライラ・・ライラーナの状況とよく似ているな」


マーラが隣りにいたライラに気づいて混乱を防ぐ為に第一村のエルフの本名で呼び、宿屋で見聞きしたライラーナの状況を思い出しながら語りだした。


「なんせ懐妊時の状況などあまり周りでも見かけないものだからな…」


通常は村で年に一人、場合によってはゼロが当たり前だったのだ、圧倒的に身近な者の体験者例が少なく、つい肝心な懐妊の前兆を見逃し気味になっていた。

ニーナもほとんど前兆がなく、少し体調が可怪しいからと村の薬師に相談して懐妊に気づいたようだ。


「いかんな 子など授からないと半分諦めていたからな…」


マーラが誰に言うわけでもなく独り言に近い口調で語る。



「ユウゾー ユウゾー 間違えないと思うぞ」


ミューが慌ただしく戻ってユウゾーに報告する。

アーシャは人族だ。エルフと違い年に何回も懐妊のチャンスはある。

ユウゾーとて理解していたが、エルフ達との関わりが強くつい意識が薄らいでいた。


「そうか 目出度いが、まずは安全にオレオンまで連れていき医師に見せねば…」


ユウゾーも少し混乱から回復してアーシャの体を心配する。

こんな時には男はあまり役に立たんなとユウゾーは腹ただしく感じていた。

プラハも同様で只ウロウロどうすべきか狼狽えて見ているだけだ。


まずはアーシャに会って褒めてあげよう、そして励まさねばとユウゾーは動き出す。



「そ そうかこれが懐妊の印なのだな、単なる胸のムカつきだと思っていたが…」


アーシャ本人も良く分からず戸惑っている。

正式には医師による判断が必要だが、無理は絶対に禁物だと念を押す。

アーシャがコクコクと頷いて皆の指示に従う。


テント内は一晩中薄っすらと灯りが灯り誰かが必ずアーシャの側に付き添う事になった。


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