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右手にサイコガンを持つ男  作者: 西南の風
104/281

104 いざ 東のダンジョンへ


新拠点での初めての朝を迎える。


隣で寝ているマーラを起こさぬようにユウゾーは日課の素振りの為に庭にでた。

ほぼ一時間ただ剣を振る毎日だ。

時々アーシャが剣の相手をしてくれる以外は一人で黙々と剣を振り続ける。



「ユウゾー 朝御飯の準備が出来ましたよ」


今日からライラが朝の用意を手伝ってもらっている。

この一週間朝の仕度をライラが興味深く見学していたのだ。

ユウゾーの味付けやメニューをほぼ理解し本日より彼女に任せてみた。


「おっ いけるぞ、これは」


マーラやミーア達の早起きメンバーはもう食事の最中だ。

寝坊助の他のメンバーも席に着き始めている。

部屋で着替えをすましたユウゾーもライラの料理に手を合わせる。


 うん 美味しい朝食は一日の活力になる。


ユウゾー達はライラに感謝しながら、皆が揃った所で本日の予定を話し合う。

一番に食事を終えていたマーラが、少し日用品の買い出しに行きたいと言う。


ミューとミーアも賛成するので、午前中は買い物かな。

ライラはプラハと食料関係の補充に向かいたいようだ。

ならばユウゾーもまだ半分寝ているアーシャを連れて同行しよう。


午後から皆で今後の活動方針の打ち合わせをせねば。

あっ 少しインゴット関係の補充もしなければ…。

何処かに錬金術室の部屋も用意せねば…。


何だかんだ新居を構えてたら、やりたい事が増えてくるな。

まぁ 楽しみの一つだからな。



ライラ達と食料調達を終えるとアーシャを伴い、武器屋とガラス細工店に入り込む。

武器屋は梯子して十把一絡げの安い剣を大量に購入して、細工店にてポーション入れの容器をこれも大量に手に入れる。今後はこれらが金を生む筈だ。


家に戻り1階奥の使用人部屋と思われる場所を、新たな錬金室として部材を魔法袋から取り出す。

作業机や各道具と本日購入した部材を順に並べていく。


「しかし器用なものだなユウゾーは」


暇なのか見学したいというアーシャが椅子に座りながら、次々に袋から出てくる部品や部材を眺めている。


「そうか?慣れだと思うぞ」


「いやいや 慣れで錬金術は出来ないぞ」


「魔法も錬金も根っこは同じだと思うのだが…」


ユウゾーは生活魔法から努力してここまで成果を上げてきた。

その経験からの実績が裏にある。


「うーん やはり迷人は普通と違うのだな…」


アーシャは感心とも呆れともとれるため息をつく。

一通りの設置準備が完了するともうお昼の時間だ。


台所に移動するとライラとミューが食事の準備をしている。

ユウゾーもそれに加わり腹減らし軍団が待っている食堂に品を運ぶ。



  

食後のお茶タイムに明日からの活動について皆と話し合う。

プラハとライラのレベルアップが一番の課題となるので、初級ダンジョンから順に他のダンジョンも制覇していこうと話しが纏まる。


ただライラは元4級冒険者だから、昔の感が戻る事が出来れば半分完了になるので、ここは二手に別れて効率よく……大反対をくらう。

よくよく理由を問えば、風呂と食事の問題らしい…。


了解…。全員で頑張ろうな、、。

まずは東の初級ダンジョンを明日から向かうか。


一応話し合いは決着したので、ユウゾーは再び錬金室に戻ることにする。


目の前にある購入したばかりの剣を次々に高品質のインゴットに変えていく。

100本の剣の半分程を処理すると一旦中止して、次は袋の中から上級ポーションと上級マナポーションを取り出した。

この二つをベースにしてスキル劣化版複写で増やしていくのだ。


まずはポーションから…よし、20本完成だな。

劣化版スキルでは元々の品より70%の性能になるから、中級ポーションが出来上がった筈だ。


一旦袋の中に納めて、内容を確認してみる。

よし、成功… あれ? 中級上級ポーションと表示がなっている?

……中級ポーションとして売れば良いか。次だ 次。




次の朝東門に向けて歩き出す。

途中の早朝屋台で手分けして各自好みの食材を買い込む。

魔法袋に保存しておけば何日かのおかずになるからな。


ユウゾーはふとスープの屋台に足を止めた。

お母さんの手伝いなのだろう、7歳程の子供が懸命に手伝いをしている。


「お兄さん美味しいよ いかが?」


子供が懸命に愛想をふりながら野菜スープをすすめてくる。

隣で働いている母親の顔色が悪そうだな。病気ぎみなのかもしれないな。

容器に一杯分入れてもらい味を確かめる。


 まぁ 飲めない事もないと言うレベルだな。


「うん 美味しいね。この鍋に一杯入れてくれるかな」


魔法袋から大きめな鍋を出し渡した。


「お兄さん 有難う」


嬉しそうに鍋にスープを入れてくれる。

代金を払い母親共々お礼の言葉に送られて歩き出す。


「そんなにあのスープが気に入ったのか?」


マーラが笑いながら聞いてきた。


「いや 何処にでもある出来のスープだ」


ただ香辛料を追加すればそれなりの味に変わる気がする。

屋台では高い香辛料など入っている筈もないからな。


「単なる気まぐれだよ」


ユウゾーはそう言って皆が待つ場所に向かう、あの働く小さな子に少しウルっとしただけさ ユウゾーはそう小さく呟いた。



東門から出て2日でダンジョンに着ける。

辺り一面の麦畑を見ながら進んでいく。見事な程の麦畑が続いているものだ。

今年も豊作なら良いな そんな事を考えながら只歩くのみ。


歩き通して休憩と食事を兼ねての休憩とする。

屋台での買い込み品が皆の昼飯になる、魔法袋のお陰でどの品も出来たてと変わらずに暖かい。


「うむ 魔法袋様様だな」


皆がつい笑い出す。冷めた食事はやはり味が落ちてしまうからな…。

暫しの休憩後今日の野営予定である、はずれの小さな村を目指し歩き出す。




粗末な村の門を潜り抜け、予定の村に到着する。

村長に村の広場での野営の許可をもらいテントを設置作業開始だ。


風呂場や簡易トイレを作っているともう日暮れとなってきた。

通りからも何時しか村人の姿も消えて、皆家に入り込んだようだ。


粗末な村の門ではあるが、魔物からの襲撃の心配がないのは心休まる。

食事の仕度の続きをライラ等にお願いして、朝購入した野菜スープの鍋を取り出し焚き火にて暖めながら、手持ちの香辛料と薬味のハーブを加えて味を確かめる。


「うむ 味がひきしまって美味しさが増したな」


ユウゾーは満足げに頷いて、皆にスープを配っていく。

暖かいスープが体の中に染み込んでいく。


「ふむ 美味しいなこのスープは」


皆の顔の表情が美味しさに崩れていく。


「野営で食べる食事は腹を膨らますだけのものと昔は考えていたが、これもユウゾーのお陰だな」


アーシャもユウゾーと共にしてから野営食の考えが変わってしまったと笑い出す。

それには他の誰もが賛同して頷いた。


「食だけでなく、このテントにベット・風呂にトイレまるで歩く宿屋だぞ」


ミューが大げさに戯ける。


「今回は村での野営だが、防御柵に魔物除け袋それに撃退用の唐辛子袋まであるからな…」


マーラも苦笑する。


暫し皆の笑い声が高らかに響き渡る。



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