表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が美少女女子大生に恋をしたら幼馴染からの拷問が始まった件について  作者: 男の娘はブラジャーをしているのだろうか?
第二章 天使
47/57

2-4 『ビッチ×優秀×美女=生意気』

また遅くなってしまいました。ごめんなさい!

 公立高校とはいえ、進学校である俺らの高校の授業は、ほとんどすべての教科で高校の履修範囲が終わっている。

 よって、この時期の授業で何をしているのかというと、大学共通テストや二次試験に出やすいところの補習である。


「ぶっちゃけ、授業サボって内職やってればいいと思うよ」


 前述したことを踏まえて、千鶴さんは家庭教師が始まるなり、いきなりぶっとんだことを言ってきた。

 ちなみに内職というのは、授業を聞かずにその授業とは関係のない他の勉強をすることをそう呼ぶのである。

 授業を聞かないとキレる先生もいらっしゃるので、諸刃の剣とも言えるだろう。


「で、あんたはどうせ内職しかしなかったんでしょ?」


 俺は千鶴さんの性格を鑑みて聞いてみた。

 この人が大人しく授業を聞いているところとか相像がつかない。


「当ったり前じゃん!」


「先生に怒られたりしなかったんですか?」


「えっ?授業の内容を先生が聞いてきた時に、満点の解答と満面の笑みを返せば大抵何とかなったけど?」

 成績優秀な顔だけ良いビッチほど厄介なものはないんだな。


「でも、授業は理解を助けてくれるし指示通りにした方がいいんじゃ…」


「うーん、そりゃそうかもしれないけど、そうは言っても先生たちだって生徒一人一人に合わせて授業をすることはできないわけだし状況によるんじゃないかな?」

 意外にも腕を組みながら真剣に千鶴さんは考えてくれる。


「でも、一緒のことをやっておいた方が周りに差をつけられないんじゃ…」


「何言ってるの?医学部を目指す童貞君は差をつけなければいけない側なんだから、人よりも、効率よく勉強しなきゃ!それに、健太郎君の指導をするのは、高校の先生なんかより百億倍優秀な私が先生だしね」


「…とはいえ、先生たちも一応その分野の専門家では?」


「何言っているの?高校範囲が正確に何でも分かるなら、全員先生たちは東大出身になっちゃうよ?」


 相変わらず微妙に否定しずらい正論のような屁理屈のようなものを言ってくる。


「いや、でも指導してきた長年の経験とかが…」


「そりゃ何にも話を聞かないなんてことは論外だけど、先生たちも受験の当事者じゃないから、どうしても受験生とは感覚が違ったりするんだよね。その点は数年前に受験生だった私なら安心でしょ?」


 そう言って、俺の顔を蒼い澄んだ瞳で覗きこんでくる。

 確かに千鶴さんの言うことは一理あるところもあると思う。

 周りにいる人と当事者では、その事柄に対する感じ方がまるで違う。

 恋愛とかも、人に相談した方が上手くいくっていうしな。

 それと同じようなことだろう。

 …まあ、そんな経験ないけど。


 ただ、この人はこの人で、優秀すぎて参考にならない気もするんだよね。


「というか、正式な家庭教師になったから言っちゃうけど、受験なんて所詮は確率論なんだよ!だから、その確率を高めるための勉強をすることが大事なんだよ」


 千鶴さんは宇宙人みたいな会話を連発してきた。なんとなくのニュアンスは分からないでもないけれど、正確に何がいいたいのかはさっぱりわからん。

 確率を高めるというのは、できる問題を増やすということと何が違うのだろうか?


「はあ、これだからコミュ障は理解が低くて嫌になるわ!何をボケっとしているの?言っている意味が分からないの?」


 あの夏の授業の時みたいに俺にも分かりやすいように言ってくれませんかね?

 あと、コミュ障なのは否定しないがそもそも、内容が難しいせいもあると思うよ。


「で、どういう意味ですか?」


「行きたい学科と大学にあわせた勉強をしていこうってことだよ?」


 勿体ぶったように口を開く銀髪女(性格ブス)

 言外に、そんなことも分からないの?という言葉が聞こえてくるような聞き方だ。

 国語力が上がってくると、色々なことに気付くようになってきた。

 ウザイことにも気付くようになってしまった。そう思うと、空気を読む能力が上がることは、一長一短ではないかと思う。


「それが、確率論がどうとか、授業に沿わないで内職することとかと、どう関係してくるんすか?」

 俺は半眼で千鶴さんを見つめた。

 結局、なんも意味が分からん。


 俺の問いに対して、これだからぼっちは、と言いながら、千鶴さんはわざとらしい大きなため息をついた。

 ウザい。


「もったいぶってないで言ってくださいよ」


「いい?二次試験というのがあるのは知っている?」


「バカにしないでくださいよ!俺だって今年、受験生なんだからそんなことくらい知っているに決まっているでしょ⁉」


 二次試験というのは、大学共通テストで基準を満たした人が受けられるテストであり、最終的な合否も、大学共通テストと二次試験で決まる。

 どちらを重要視するか(配点の割合)は、大学によって異なっている。


「うちの大学の配点割合は知っている?」


「半々でしょ?」

 確か、大学共通テストと二次試験の配点の割合は同じだった気がする。

 流石に受ける大学の配点くらいは分かる。


「正解‼じゃあ、東大は?」


 今度は知らないことを聞かれて返答に窮した。だって、東大に行くつもりもないしな。


「ブッブー。時間切れ~。正解は一対四でーす」


 高いテンションで千鶴さんが時間切れを宣言する。


「それで、このクイズの意味は?」

 俺は睨み付けるようにして銀髪女の真意を探る。


「例えば、東大目指す子が大学共通テストの勉強ばかりしているのってどう思う?」


 ゆっくりとした口調で千鶴さんが質問をしてくる。


 ああ、そういうことか。


 ここにきてようやく千鶴さんが言いたいことが分かってきた気がした。


「つまりは、東大目指す子と千鶴さんたちの大学の医学部を目指す俺みたいな奴ではやるべきことが違ってくる。なのに授業では同じことしかしていないから、もっと自分に合った勉強、すなわち内職をした方がいいってことですか?」


「そう、正解!」


「それは、わかりましたけど、確率論というのは何なんですか?また別の話なんですか?」


「えっ?同じ話だけど?」


 素でキョトンとした顔をされてしまった。

 そんなに分かりきったことを聞いてしまったのだろうか?


「どういう意味ですか?」


「う~ん、なんて説明しようかな?じゃあ、例えば、数学を例にしてみようか。うちの大学だと、虚数の範囲はほとんどでないけれど、ベクトルの教科書レベルの問題はよく出るの。じゃあ、今年、出やすいものはどっちだと思う?」


「う~ん、ベクトルですか?」

 俺は半信半疑の様子で答える。

 もしかして、最近出ていないから、虚数の方が出やすいとか言わないよね?


「正解だよ。基本的には、問題を作る先生が変わったりしない限りは同じような問題がでるの。」


「じゃあ、俺だったら、虚数よりもベクトルをやった方がいいってことですか?」


「そういうこと!自分の大学に出る確率の高い単元からやっていくべきなんだよ。それに、得意分野とか苦手分野とかでも何をすべきかは変わってくるかな!?」


「でも、やっぱり先生に怒られるんじゃ…」


「ガンバ」


 拳を小さく作ってぶりっ子のように首をかしげてくる千鶴さん。


 何はともあれ、真面目な千里さんとは違った、効率の良さを最大限に重視した千鶴さんの家庭教師が始まったのである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ