2 『幼馴染=美少女』
「おはよー、健太郎。見て見て健太郎に教えてもらったおかげでこんなに成績上がったんだよー。」
ホームルームが終わって駆け寄るようにして声を掛けてきたのは幼馴染の三好凛だ。言外に“褒めて褒めて~”と言っているのが伝わってくる。幼馴染なこともあって凛には勉強を教えている。今回はやばかったが、凛よりも俺の成績はいいから勉強を教えることがある。
駆け寄ってくる時に制汗スプレーの甘い独特の匂いがする。
テニスの朝練をしてきたのがわかる。
凛はスポーツをしている女の子らしく茶色に染めた髪をポニーテールに束ねて黄色のシュシュでとめている。
その姿はスポーティーな印象を与える。だが、女らしさがないなんてことはない。
健康的な可愛さというものが滲み出ている。小耳に挟んだ話(クラスの奴の盗み聞きをした話)だとクラスの半分以上がこいつのことが気になっているらしい。
実際、幼馴染で凛の容姿なんて何万回と見ていて見慣れているはずの俺でも可愛いなと思う。はっきりした目鼻立ちに動物のようにぴょんぴょん動き回る可愛さが年下に対する保護欲のようなものをかきたてる。
それでいて、普段は頼れるテニス部の部長なのだ。ギャップ萌えだ。
そして、勉強を教えている時は少し心細そうな上目遣いで見てくる。これがホントにヤバい。うっかり惚れそうになってしまう。凜より頭が良くてよかったと心から思う。
とはいえ、男子高校生なら可愛い子に対しては、容貌だけでなく色々なところに眼がいってしまうものだろう。
だけど、安心して欲しい。凛はそちらに関してもパーフェクトなのだ。
引き締まったウエストに制服からは目立たない豊かな胸の膨らみ。それらを俺は知っている。親たちの仲がいいので毎年キャンプに行って川遊びをしているから知っている。今年は受験なので行けないだろうからちょっぴり残念だなって思っている。
くそっ。今年はどうやったら凜の水着を見れるんだ。俺は水着が見たいんだ。
「う~ん、俺は今回は微妙だったかな。凛は?」
そんなことを考えながら凜の質問に答える。
「えっへん!志望校にA判定がついているんだよー!健太郎のおかげだよね。ありがとー!」
なんて満面の笑みを伴って言ってくる。凛の笑顔の表情を見ていると自分まで嬉しくなってくる。