表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が美少女女子大生に恋をしたら幼馴染からの拷問が始まった件について  作者: 男の娘はブラジャーをしているのだろうか?
第一章 覚醒と封印
11/57

10 『天然=無自覚』

 千里さんの休憩なしのS気たっぷりの勉強特訓も二週間が過ぎようとしたころ千里さんはこんなことを言ってきた。

「時間がないから、効率の良い勉強をするために色々な方法を試して、健太郎君にあった勉強法を見つけようと思うの。」

 そう言って渡されたのは、丁寧に黒色の丸文字で書かれた㊙勉強法ノートと言う水色のノートだった。


「これは?」

「私がネットで拾ったり医学部の皆から聞いてみたりした勉強法のまとめだよ~。厳しいこと言っちゃったけど、健太郎君が頑張るからには私もできることは全部やるよー。」

 

 そう言って微笑んでくれる。

「ありがとうございます。」

 凄く嬉しくてお礼を言った。そのノートをめくると、どれくらいの成績の人のどの教科における勉強法か、とかが丁寧にまとめてあった。千里さんがその勉強法に対して感じたことも一言書いてある。邪魔にならないように控え目な字で書かれているのが千里さんの気遣いを感じさせる。


 例えば、


 方法

 英単語は見て覚える勉強法をしていた。

 英語の偏差値

 85



 一言

 見ることは英語への忌避感を減らしてくれるよ(^^)覚えれなかった単語でも長文とかで見かけたらどっかで見たなって思って「ちゃんと覚えないとな」ってなるからおすすめだよ!


 とか書いてくれている。一つ一つ丁寧にその勉強方法のいい所が書いてある。四〇ページ。ノート丸々一冊に及ぶ勉強法ノートは千里さんの愛情と期待を感じさせた。彩りも鮮やかで見ているだけで心の中が暖かくなる。


 こんな美人が自分のためだけにこれ程のノートを一週間で作ってくれるってだけでも思春期男子はやる気になってしまう。

 それに加えてエビデンスがあるものなども書いてあるのが嬉しい。(例: 効果量1.5倍 ○○大学で70人に行った実験など)

 調べる時間や一言を書く時間も含めれば俺の勉強時間よりも多いのではないかと思えるほどの努力の塊が分かった。二十時間以上かかったんじゃないかなぁと思う。

(この人の期待に応えるためにはこの人以上の努力をしないとな。)


「それで、どの勉強法から試すのがいいですか?」

「一応、効果量が多そうだったりするおすすめのものから順番に並べたつもりだから最初から試してくれると嬉しいかな。」


 満面の笑みで千里さんが応える。

 その言葉で俺はまだ知らなかった千里さんの努力に気付いてしまう。


「もしかして、勉強法をメモした後に改めてノートにおすすめ順で清書し直してくれているんですか?」


 ルーズリーフとかでもない、しっかりとした()()()なので調べてメモをした後に、後から順番を直すのは不可能なのだ。効果の高いものから並んでいるということは調べた後に改めて効果量の高い順に勉強方法を丁寧にまとめてくれたということを意味した。


「あはは、気付かれちゃったか。最初はルーズリーフに書いて後で並び替えるだけにしようかと思っていたんだけど、健太郎君が頑張っているのが宿題見ていると分かっちゃったからね。手は抜けないなって思ったんだぁ。」

 

 白雪のように真っ白な頬を手でかきながら恥ずかしそうに言ってくる。


「ありがたいですけど、無理はしないでくださいね。医学部の勉強、大変でしょうし。」

 自分のために頑張ってくれる千里さんの可愛さににやけをこらえながらも年上の教師を注意する。これで千里さんの成績が下がってしまったら申し訳ない。


「もちろん、分かっているよ。私がやりたくてやっただけだから若者は気にするな!」

 千里さんらしくないもの言いと共にしみ一つない手で拳を作って、俺の胸にコツンと当ててきた。

「ははは。」

 千里さんの気遣いと千里さんのらしくない言葉とポーズに思わず嬉しくなって笑みが零れる。

「もー、健太郎君。私のこと馬鹿にして。年上だって思ってないでしょ?笑うの禁止。」

 唇を尖らせて拗ねたように言ってくる年上美人。

「そんなことないですよ。千里さんみたいな年上の、気遣いもできる可愛い人に教えてもらって幸せですよ。」

 もちろん、自分のために一生懸命にこんなことをしてくれる人に対する本心だった。けれど恥ずかしくて凛に言うような揶揄い口調で言ってしまう。勉強中は凄く厳しいのに、勉強中じゃない時の千里さんは案外天然で優しくて可愛い。

「もー。罰として英単語の宿題三日後までに二〇〇覚えること。合格点は八割だからね。」

 白い肌を真っ赤に染めながら言ってくる。

「はい。喜んで。」

 俺は千里さんの努力に答えたかったのでそう言った。


(お、お淑やかな年上の威厳を示すつもりが健太郎君にからかわれている気がする。それに、からかわれて宿題多めに出すなんてなんか人としてダメなんじゃ・・・。そろそろ健太郎君の前でも素が出ちゃいそう。「最初見たときは大人びて見えたけど、千里って結構天然だよねー」ってよく言われるから、気をつけなくっちゃ。今度こそ、私は天然じゃないしっかりものだってとこを見せなきゃ!健太郎君にはぜーったい言われないようにしたいな。)


 数学の公式を覚えたり、千里さんお手製の基礎問題をやっている間そんな言葉が聞こえてきた気がした。


『千里さん。その呟きが漏れている時点で十分、天然ですよ。』


 千里さんの意外な一面が可愛すぎてやる気マックスになる。千里さんにいい所を見せたいって気持ちと千里さんの努力に恩返しがしたい。ハイブリッド型の気持ちで満ちあふれている。

 そんな思いで千里さんが帰ってからも太陽が空を紫色に染めるまで勉強した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ