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いじめられてみた(旧)  作者: ケト
いじめられてみた
8/33

対処してみた(①声をだす)

「今回の『対処してみた』、全部やったので3部構成となっていますが、最後の『逃げる』を除くとほぼ音声のみです。

 映像があったとしても、どうせほとんどにぼかしがかかるし、あんまり関係ないですかね。

 

 はい、それではまず『①声をだす』です。


 本来は、いじめられた後に、親に相談するところから始めたいんですが、今回の場合は、ね。ケッチャンがミタパパとミタ君を担当しますよ。 

 1人2役の迫真の演技を披露してもいいんですが、いい年こいた...はもう止めときますか(笑)


 あ、ちなみに大事なことを言い忘れていましたが、①の行動日時は、10月2日金曜日、午後7時35分です。

 そう、いじめられた日の夜です。鉄は熱いうちに打て、鉄板が熱いうちに喰え、って言いますからね。


 ミタ君の迅速な報告により、ミタパパは即座に、担任の先生に電話をしたのでした。という設定です。

 今回は電話の音声のみなので、声は編集していません。

 ただ、もちろん固有名詞は編集してますよ。ちなみに先生の名前は愛着が持てるように『てっちゃん』にしてます。ティーチャーから、ね。

 あと、聞き取りづらいところもあるかもしれないので、画面に字幕表示しますよ。

 ということで、ケッチャンは右下で小さくなってますので。

 

 それでは聴いてください。『声をだす』です。ドーゾ!」

 

 呼び出し音が鳴っている。1回、2回、3、4、5、6、ガチャ。

『はい、もしもし?』

『あ、もしもし、”ケッチャン”高校の”てっちゃん”の携帯電話でしょうか?』

『はい、”てっちゃん”ですが』

『わたくし、”てっちゃん”にお世話になっている、”ミタ”の父、”ミタパパ”と申します』

『はい、あぁ、昨日の朝連絡くださった、お父様ですね。

 ”ミタ君”、今日は学校に来てくれました。ほっとしましたよ』

『はい、おかげさまで。それで、学校でのことなんですが、”ミタ”の様子はどうでしたか?』

『えっと、わたしは今日はホームルームでしか教室に顔を出せていなかったのですが、少なくとも、そこでは特に変わりはなかったかと思いますが。何かありましたか?』

『はい。どうやら、いじめ、ですか、にあったようで...』

『えっと、いじめですか?それは本当ですか?今日のことですか』

『はい、わたしが仕事から家に帰ったところ、”ミタ”が部屋から出てこなくて。とりあえず中に入ってみたら、”ミタ”の部屋にあったゲームとか、漫画とか、いろいろ無くなっていて。

 それで、聞いてみたら、クラスメート3人に盗られたって...』

『...3人、ですか...その、3人が誰か、なんてのはわかるんでしょうか』

『はい。あ、いや、顔はわかるんですが、何しろ”ミタ”もまだ学校に行った時間が少なくて、名前がわからないらしいんですよ。

 でも、間違いなく同じクラスだとは言っています』

『そうですか。問題は、その、”ミタ君”を疑うつもりは、無いんですが、本当に...』


『本当に、盗られたのか?ですよね。

 そこは間違いありません。そして、盗った人物も明らかです』

『えっと、どういうことでしょうか。それは、”ミタ君”の証言で、ということでしょうか』

『はい、まぁ、証言と、証拠ですね』

『証拠?ですか...それはどういった』

『実は、4月から不登校になった原因も、今日と同じようなことだったらしいんです。

 ただ、そのことを”ミタ”から聞けたのは、不登校が始まってから1か月も経ってからでしたし、何より証拠も無くて、そのときは何もできなかったんです。

 でも、今回ようやく立ち直って、学校に行くことができるようになったんですが、もしもの、万が一のために、家の中にカメラを設置していたんです』

『なっ、てことは、そこに全部映っている、と?』

『そういうことです。カメラは”ミタ”の部屋の他にも数か所に設置していましたし、音声も拾っていたので、十分な証拠になると思います』


『そうですか。わかりました。

 では、どうしましょう。えと、今は7時...42分ですが、そちらに伺いましょうか?映像を見ながらだと今後の話もしやすいかと』

『いえ、息子が今、ちょっと精神が不安定なもので、できれば電話で。えっと、”てっちゃん”は自宅にパソコンをお持ちですか?』

『えぇ、ありますが...』

『できれば、メールか何かで、動画を送りたいんですが。

 さっき、カメラの映像データをわたしのパソコンにコピーしたので。

 画質はそんなに良くないんですが、その分、容量もあまり大きくなくて、その、証拠となる部分だけ切り取ればさらに容量も小さくなりますので、送ることはできると思うんですが』

『そうですか。では、こちらからデータを受け取るメールを送りますので、そこに添付して返信してもらえますか?

 では、メールアドレスを教えていただけますか?』

『はい。今、言いますね。

 全て半角で、mitapapa-to-mitamanma-lovelove@......です』

『確認しますね。mitapapa-to-mitamanma-lovelove@......ですね。あ、えっと、いや、何でもないです』

『では、メールが届いたらすぐに返信しますので。映像を確認できるようになったらまた電話をいただけますか?』

『はい、わかりました。それでは、また』

『はい、では、失礼します』


 しばしの沈黙の後、再開した。


『もしもし、”ミタ君”のお父様の携帯でしょうか。担任の”てっちゃん”です』

『はい、ミタです』

『映像のデータですが、ファイルが3つ、ですね?届きました。

 今、再生して確認しているところです。えっと、”ミタ”部屋っていうファイルが、”ミタ君”の部屋のものですよね。

 その映像から観ていますが...そうですね、この3人は間違いなくわたしの生徒です。

 信じたくは無かったんですが、これを観てしまったら事実としか言えませんね。

 えっと、まずは、わたしからうちの教頭に報告をしたいと思います』

『はい。こんな週末の夜分に申し訳ありませんが、お願いします。

 あと、すみません、勝手なお願いなんですが。できれば、また月曜日から”ミタ”を学校に行かせたいんです。

 なので、本当に申し訳ないのですが、日曜日までに何らかの結果がほしいかと...』

『そう、ですか。えっと、こちらもこれから大至急で対応は進めます。

 ただ、もしかしたら教育委員会とかも関係するかもしれないですし、土日に対応できるかどうかは...』

『でも、緊急時の体制というかあると思うので、連絡はとれますよね。もちろん、可能な範囲で構いませんので、対応をお願いします』

『はい、わかりました。確約はできないのですが、できることはやりたいと思いますので。

 もし、何かありましたら連絡したいと思いますが、この番号にかけても構いませんか?』

『はい、大丈夫です。あと、その...映像で全てを証言できると思っていますので、本当はミタにも証言はさせたいとも思ってはいるのですが、こんな状態なので...できれば、その映像だけで対応していただけると助かります。

 本当に、こんな時間に申し訳ありません。よろしくお願いいたします』

『いえ、わかりました。では、何かありましたら連絡させていただきますので。

 失礼いたします』

『はい、失礼いたします』



「今のが10月2日金曜日、夜の電話のやりとりです。

 えっと、まず、ケッチャンのメールアドレスなんですが、これは編集なしの本物です(笑)

 このシリアスな展開であのアドレス!?先生もちょっと何か言いかけましたね。

 あと、証拠のカメラ映像なんですが、『いじめられてみた動画の主観映像』だとちょっと、やりすぎかなと。

 変に疑われそうなので、家の中にもカメラを仕掛けて撮ってました。これはケッチャンが借りた家だから、余罪には入りません。

 

 それでは、続きです。

 10月4日日曜日の午前9時、先生からの電話です。ドーゾ!」



『もしもし、”ミタ君”のお父様でしょうか。わたし、”ミタ君”の担任の”てっちゃん”です』

『はい、”ミタ”です。先日は遅い時間に申し訳ありませんでした』

『いえ、金曜日から少し時間が経ってしまい、こちらこそ申し訳ありません。ようやく対応方針が決まりましたので、お知らせさせていただきます。

 昨日、土曜日にですね、教育委員会の数名と、うちの高校の校長、教頭、わたし、そして映像に映っていた3人の生徒と両親を交えて、会議を行いました。

 まず、提供いただいた映像をみんなで視聴したところ、”ミタ君”からゲーム機などを許可無く持っていった、ということについて、ほぼ全員の合意が得られました。

 そして、会議の結果、加害者の3人には、1か月の停学処分を言い渡すことになりました』

『そうですか。1か月...』

『はい。一応、うちの高校は進学校ということもあって、停学期間が長いと成績に響いてしまう、という意見がでまして。

 あと、”ミタ君”の部屋から持って行った物は、前回分もあわせて全てお返しすることになりました』


『わかりました。物については、わたしの家の住所に郵送させてください。できれば、相手方とは顔を合わせたくないので』

『クラスの住所録に登録されている住所でよろしいですか?』

『あ、えっと、すみません。タイミング逃してしまっていたんですが、ちょっと間違いがありますので、今から言う住所にしてもらいたいのですが。

 住所は、市のあとからですが、”まじまんじ町えもいえもい、ばんば番地の、ごーご号”です』

『繰り返します。”まじまんじ町、えもいえもい、ばんば番地の、ごーご号”ですね。

 わかりました。では、当事者からはこちらの住所に送るよう手配しますので。

 それで、”ミタ君”は月曜日から学校に来れそうですか?』

『そこなんですが、今日先生からいただいた電話の内容を”ミタ”に伝えれば、安心はすると思います。

 ただ、精神的なショックがかなり大きかったみたいで...まだ立ち直れていないんです。

 今後のことも含めて、”ミタ”と話をして、どうするかわかり次第、”てっちゃん”に連絡したいと思います』

『わかりました。学校側は、できる限り”ミタ君”が学校に来やすい環境を整えたいと思っていますので。

 それでは、連絡をお待ちしています』

『わかりました。では、失礼します』



「はい、停学1か月と盗品の返品でした。どうなんでしょうね。長いような短いような。

 まぁ、でも進学校にいて停学処分受けるようなことがあれば、良い大学には間違いなく行けませんよね。

 長い目でみると、それ相応の罰なのではないじゃないでしょうか。

 

 あと、ミタ君、というかケッチャンなんですけどね、今後の話なんですが。

 月曜日からの登校なんて...したくありません(笑)

 なので、月曜日の朝に、もう1回、担任の先生に電話しました。これも録音はしたんですが、結果だけお伝えします。


パパ『いじめっこと1か月後に顔を合わせることを想像すると、学校に足が向かない。あと、出席日数が足りないので、どうせ進級できないのであれば、今年度はこのまま自宅での療養を兼ねて勉強をさせたい』


先生『わかりました』


 以上です。

 ふぅ。学校に通わなくて済んでホッとしているケッチャンなのでした。


 はい、これで①の行動は終わりです。ちなみに、警察には被害届けを出していません。

 なんかそっちはケッチャンがミタパパに扮して表舞台に立たないといけなそうなので、やめときました。


 講評ですが、今回は、確実な証拠があったので、うまくいきましたね。

 親と担任がちゃんと対応してくれるか、というところも大きいですけど、この『対処してみた』を1つのマニュアルのように使ってもらえると、いじめられた甲斐があったというものです。

 世のいじめられっこ達よ、声をだせ!デス。

 

 よし、決まった!

 えっ、そういうのはいらない?厳しい!


 あと、最後に、今回ネット上で個人情報が漏れたのは、この3人が停学処分となって、月曜日から学校に来なくなったからです。

 クラスメートからSNSでどんどん広まったんですね。前回の動画観た人からしたら、もう、タイムリーですもんね。

 こいつらだー!ってなっちゃいますよね。

 ま、想定していた、というのはこういうことです。

  

 ということで、次は『②訴える』です」

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