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第45話 「ヲタク」
小学校の頃から引きニートでコミュ障だった智哉は、一度死んで中世風の異世界に転生しました。
女神様が智哉にチート能力を授けて下さったおかげで、彼は軽く魔王を倒しました。
智哉はみんなに感謝され、美少女だらけのハーレムを築きましたとさ。
めでたし、めでたし。
「――智哉は元気でやっているかね?」
「脳波を見るとかなり興奮していますわ」
「彼はどんな世界にいるんだ?」
「いつものテンプレです。リアルでは何もできないヲタクの夢の世界ですわ」
「君!ヲタクを馬鹿にしてはいけないよ。あれでも大切なお客様だ」
「どうして主任は、彼のことを気に掛けているのですか?」
「私の娘は彼の心臓を移植して今は元気に小学校に通っている。彼が自分の臓器を売ったおかげで、大勢の患者の命が助かっているんだ。彼はその代金で、こうして大好きな夢の世界で暮らせている。Win―Winの関係だ。彼らヲタクがいてくれるから、社会は成り立っているのだよ」
主任はそう言って、栄養チューブを付けられた何千という数の脳みそが、人工夢を見ながら水槽の中に浮かんでいるところを満足げに見つめ続けた。




