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第44話 「輪」
自分の部屋で目覚めた時、私は今日という壱日が輪のようにつながって、何度も何度も繰り返していることに気付いた。
冷蔵庫の食料品を食べても次の日には元に戻り、何か買ってきても次の日には無くなっている。
車や飛行機に乗って出来るだけ遠くに逃げてみたが、深夜十弐時を過ぎると、元の部屋に戻ってしまう。
ヤケを起こした私は部屋に火をつけたり、外で暴れて警察に捕まったりもしたが無駄だった。
深夜十弐時を過ぎると、私を取り巻くこの世界は元の状態に戻ってしまう。
そのことを認識しているのは私だけで、変化していくのは私の脳に刻まれた記憶だけなのだろうか。
何らかの変化が起きることを期待して、私は毎日この短い文章をネットに投稿している。
そして文章の最後には記録のために「第壱回目の投稿」、「第弐回目の投稿」と投稿回数を記録し続けた。
残念ながら今のところこの文章は、毎回深夜十弐時を過ぎるとネットから消えてしまう。
だが、今日の投稿はキリが良い数字なので、何かが起きるのではないかと期待している。
第壱無量大数壱不可思議壱那由多壱阿僧祇壱恒河沙壱極壱載壱正壱澗壱溝壱穣壱予壱垓壱京壱兆壱億壱万千百十壱回目の投稿。




