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第41話 「流浪」
「このままだと共倒れだ。別れて移動しよう」
極寒の吹雪の中、少年の一族と少女の一族は北と南に別れた。
「いつかまた、出会えた時は………」
恋仲だった少年と少女は引き裂かれ、二度と会うことはなかった。
北に向かった少年の一族は寒冷地に適合し、背が高く、面長になり、凹凸の少ない顔になっていった。
体毛も薄く、肌の色も色白に変わっていった。
少年の一族は獲物を追って南下し、当時陸続きだった日本列島に北側から移り住んだ。
一方、南に向かった少女の一族は熱帯雨林に適応し、肌の色が浅黒く、体毛も濃くなっていった。
背も低くなり、頬骨が発達し、横広で掘りの深い顔に変わっていった。
少女の一族は海面が上昇し島国になった日本列島に、海を渡って南側から移り住んだ。
数万年後、スクランブル交差点を渡ろうとしていた時、少年の子孫と少女の子孫と出会った。
二人ともハッと立ち止まり、交差点の真ん中でお互いの顔を見つめた。
何かの記憶が蘇りそうだった。
と、青信号が点滅し、赤に変わろうとした。
二人は再び北と南に分かれ、それぞれの道を歩んで行った。




