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第35話 「モノローグ」
僕はずっと植物人間として病院に入院していました。
ある日、僕は近くにいる人の肉体に自分の魂を憑依できるようになりました。
手始めに医者や看護師や見舞いに来た家族に自分の魂を憑依させてみました。
僕は憑依した相手に話しかけたり体を操ったりはできません。
ただ相手の体を通して外界を見聞きするだけです。
僕が話しかけても相手には聞こえず誰とも対話することはできません。
しばらくは病院内をうろついては自分の身体に戻っていたが、やがて外の世界に飛び出したくなってきました。
僕は自分の肉体を捨てる決心をしたのです。
僕は病室を抜け出し、当てのない旅をするため次から次へと他人の肉体に憑依していきました。
遂に僕は外国人バックパッカーの肉体に憑依して国外に出て行きました。
言葉はわからなかったけど、僕は初めて見る異国の風景に魅了されました。
ところがそのバックパッカーが登山中、雪山で遭難して死んでしまったのです。
周囲には人の姿もなく、バックパッカーの身体は腐ることもなく何年も万年雪の下に埋もれています。
こうして僕は魂の抜けたバックパッカーの身体の中でずっとモノローグを呟いているのです。
誰か僕を見つけて下さい。




