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第34話 「メール」
「このたびのご当選、誠におめでとうございます。あなたには毎日一通だけ、未来世界のあなたからメールが届きます」
変な迷惑メールが届いた。
送信日は十年後の今日だった。
その日から毎日、十年後の自分からショートメールが一通だけ届くようになった。
メールには競馬の結果や宝くじの当たり番号が書いてあった。
何度か確認してみたが、メールの内容はすべて的中していた。
メールは本当に未来世界から送られていたのだ。
私はメールに書いてある通りにして大金を手に入れた。
またメールには時々注意事項が書かれていた。
明日、出かけたら事故に遭うから家にいろ。
将来、胃を壊すから毎年しっかりと検査をしろ。
その女とは離婚するから付き合うな。
私はメールの忠告を守り、順風満帆の人生を送ってきた。
ある朝、いつものようにメールが届いた。
「時間がない。これが最後のメールだ。とにかく早く逃げろ」
このメールが本当に最後のメールになった。
一体私はいつまでに何から逃げたらよいのだ。
私は十年間、毎日不安に苛まれる地獄の日々を送るのだった。




