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第23話 「ぬし」
その山奥のエメナルド色の水をたたえた湖には、人を喰らうぬしを閉じ込めたという伝承があった。
ある日、TV局のディレクターがやってきて、ぬしの正体を明かす番組を撮影することになった。
「ご先祖様が苦労して、ようやく閉じ込めたんだ!やめてくれ!」
地元の長老が必死に反対したが、ディレクターは大型ポンプを使って湖の水をくみ出し、近くの川に流し始めた。
かい掘り作業は一昼夜行われ、湖の水位は次第に下がり、明け方には湖の底が露わになった。
ディレクター達は撮影しながら、腰まで泥に浸かって湖の底を歩いていった。
「どこかに未確認動物がいないか探すんだ!」
ディレクターが手で泥をすくってみた。
手に激痛が走った。
ディレクターの手から肉が削げ落ち、骨が露出した。
慌てて逃げ出した一行を泥が、いや、湖の水が襲い掛かった。
「湖の水自体が、化け物だったんだ!」
気づいた時には遅く、ディレクター一行はあっと言う間に骨だけになった。
長年閉じ込められていた湖から解放された液状生物は、歓喜のしぶきを上げ、人里を目指して川を下って行った。




