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第21話 「ナレーション」
俺には「ナレーション」と名付けた超能力がある。
俺の声を聞いた人間は、必ずその通りの行動をするのだ。
俺が欲しいと言った物は何でも貰え、死ねと言えばすぐに死んだ。
例え言葉の通じない外国人でも、俺の声を聴くと俺の意思の通りに行動した。
だが、次第にこんな生活も飽きてきた。
ふと、どこまで、俺のナレーションは有効なのか試してみたくなった。
出来るだけ大勢の人間に俺のナレーションを聞かせ、殺し合いをさせたら面白いんじゃないか。
俺は世界各国に同時生中継しているオリンピックの開会式に潜り込み、選手宣誓が始まろうとした時、堂々と出て行った。
「静まれ!!俺はこれから宣言台に立つ。誰も俺の邪魔をできない。TVもラジオもネットも、俺の声を世界中に放送し続けるのだ!」
俺は宣言台に立つと、右手を挙げてマイクに向かって叫んだ。
「さあ、みんな!殺しあうのだ!!」
俺の声を聴いた世界中の人々が一斉に殺し合いを始めた。
俺は大声を上げ、高らかに笑った。
だが、周囲の人間が俺に襲い掛かってきた時、俺は自分のミスに気が付いた。
「みんな」の中には俺も含まれていたのだ。




