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帝国学院編  5タップ-2  作者: パーナンダ
帝国学院入学編
98/204

98 閲兵行進 

 約束通り七月十三日木の曜日は晴れていた。九時に始まった式典は、滞りなく式次第を消化していく。


 長すぎる挨拶や紋切り型の祝辞。失笑してしまう小話に短すぎる激励。記念品の交換や賞状の授与などを終えてやっと閲兵行進である。秋の連隊閲兵式という軍の正式行事とは違い、洪水作戦の終了とリーパの町が被害を被ることが無かったことへのお祝いとついでに教育大隊の終了式とを合わせたお祭り気分を含んだ祝賀行事であった。


 その為か、恒例の閲兵式に参加しなれた者は何か違和感のようなものを感じたが、特に口にすることはなかった。それどころか昨晩の前夜祭に参加した者は多少の期待めいたものがあった。今年の帝国学院生は例年とは違う雰囲気があったからだ。


 様々な思いが確信に変わったのは、第一大隊の精鋭200人が入場ゲートから隊列行進して来た時だった。


「いきなり、ゴールデンヴァーム大隊か」


誰かが呟く。


 今回のオディ川氾濫・洪水作戦の一番の立役者がいきなりの登場である。それはそれで歓声を呼ぶ。町の住民は大喜びで迎えた。磨き上げられて光り輝く金具やボタン、いかにも精鋭らしい身のこなしに拍手を送る。


 貴賓席の前には式台が設けられユニヴァ連隊長が立っている。号令で一斉に(かしら)を連隊長に向け次の号令で挙手の敬礼を行う。敬礼ゾーンを通過と共に次々に直り、直進していく。観客席が途切れる前に左にグルっと180度大回りを描き向こう正面を通過して退場ゲートに向かう。


 貴賓席正面を第一大隊が通過する頃、第二大隊が入場してくる。軍靴の音が倍となり気持ちも昂る。第二大隊も精鋭200名での登場である。第一大隊に劣らぬ練度であることが誰の目にも明らかながら、それでいて控えめ感が漂うのは事情を知る者のひいき目だろうか。


第一大隊が退場ゲートに到達する頃、第四大隊の第三中隊250名が入場してきた。心なしか華やいだ感じがするのは第五小隊50名のスカートの所為だろうか。町の住人も多数観覧席に居るためか女性(マリーの名前を叫ぶ者がいるのはご愛敬か。


 第四大隊第三中隊が貴賓席前を通過する頃、入場ゲートに近い客席がざわついた。大礼装服に黄土色(オーカー)ベレー帽の男が指揮杖を右手に捧げ持ち入場してきたからだ。その後ろを十分に間隔をあけて青、赤、黄、白、黒それぞれの色のドレスを纏った五人が同色の教育大隊の各中隊旗を掲げている。その後列には二列横隊で12人のカラーガードが赤白の大ぶりの手旗をもって行進をしてくる。


 スネアドラムのトン、トン、トントンという小さな音に合わせて20名のドラム隊がやってきた。式台の連隊長に正対したドラムメジャーの後ろに五本の中隊旗とカラーガードとドラム隊が順次整列する。スネアのコールサインで全体が停止。ドラムメジャーが一歩前に進み敬礼。再びコールサインでドラム隊がドラムを叩きだす。ドラムメジャーが横に一歩出て回れ右をしてそのまま歩き出す。ドラムメジャーの通過に合わせて一列づつ同じように回れ右をして後方に歩いて行く。十分に後方に下がり行進のための空間を確保したところでドラムメジャーが再び回れ右をして先頭に出る。中隊旗たちが次々とそれに続き所定の位置に止まる。


 その頃調度スネアドラム1、バスドラム1、テナードラム1、マルチタム1、マーチングシンバル1のドラムチームを殿に第1中隊が入場してきた。第1中隊オリジナルのドラムマーチに乗せて敬礼ゾーンに入った第1中隊は、回転したりしゃがみこむような歩きをしたりして青いリボンをたなびかせ一杯に広がった後、式台前を中心にまとまって整列する。スネアのコールサインに合わせて敬礼をすると左向け左で前進を始める。ドラムチームは中隊から外れて先着のドラム隊の一列目の横に並ぶ。入り替わりに青い中隊旗が第1中隊を先導して観客席の前を通過して左に回旋して行く。

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